その一

「横島くん、いったい何を使ったの?」

美神は横島達を見て聞いた

「あれは魔鈴さんの植物を腐らす魔法薬を、カオスに頼んで打ち込む弾にしてもらったんですよ」


「へー よく考えたわね。」

美神は珍しく感心していた

「あの薬は強力すぎて使い道が難しいんですよ。 なので相手に限定で当たるように、カオスさんにお願いしたんですよ」

魔鈴が話してカオスを見る


「ワシにかかればたいしたことはないわい」

カオスは自信満々で話した


「今ので全滅したかしら?」

美神は考えながら話した


「わかりません。 もう一回付近を調べた方がいいですね。」


そうしてマリアと横島の心眼で調べたが結局見つからなかった


横島達が神社に戻ると、おキヌと昔の道士のコピーがいた


横島達はおキヌの生きていた時の記録を見ていた


「結局あんたにおキヌちゃんが殺されたんでしょ?」

美神は道士を睨んで話した

「人聞きの悪いこと言わんでくれ! ワシは殺してないぞ! 全てが終われば生き返れる」

道士の話に美神は驚き考えた

「反魂の術ですね。 若い女の霊に、地脈のエネルギー、そして保存状態のいい肉体があれば可能ですね」

魔鈴が答える


「そうか… その手があったわね。 でもあなたも失敗したわね 今回はたまたま私達が来て、あなたが現れたから良かったけど、おキヌちゃんが生き返れるなんて誰も知らなかったわよ」

美神は道士を睨みながら話した


「本当か? 長い時間の中で伝わらなかったのか……」


横島達はおキヌの遺体がある祠に移動した
周囲の壁を壊し
おキヌの遺体が現れた


「あの~ しばらく幽霊のままでいられないでしょうか……」

おキヌは静かに美神に話す


「記憶の話ね…」

美神は答えた


「美神さん知ってたんですか!」

おキヌが驚き答えた

「300年も死んでたのよ、生きてた頃のことさえ覚えてるかどうか… それに幽霊の体験なんてなおさら………」

美神は悲しそうに話す

「私、美神さんや横島さんのことを忘れるくらいならこのまま……」

おキヌも悲しそうにつぶやく

「おキヌちゃん、夢は必ず人の心に残るものよ 素敵な夢ならなおさら… 幽霊のままよりも、生きてる方が何倍も価値あるのよ 生き返ってまたお友達になりましょう!」

美神は目に涙を浮かべながら話した


「大丈夫じゃ。 例え肉体が忘れても魂は忘れない。 おぬしのように安定した霊体ならなおさらの。」

カオスも安心させるように話した

「ミスおキヌ・マリア友達・また会いましょう」

マリアも柔らかい笑顔な気がした

「おキヌちゃん、あなたは生きるべきですよ。 それがあなたを犠牲にするしかなかった姫さま達も喜びますよ」

魔鈴も微笑む

「おキヌちゃん、俺達は何があっても仲間だろ、何もなくしたりしない。 今度は生きて、また会おうな。」



「美神さん… 横島さん… 皆さん… ありがとう 私きっと思い出します……」


横島は霊波刀を、おキヌの遺体が封印されている氷に突き刺した


氷はヒビが入り……

おキヌは体に戻り生き返った


横島は下りてくるおキヌの体を受け止めた


「良かったな… おキヌちゃん」


それから横島達は
おキヌを一旦氷室神社へ運んだ


その後
美神と氷室家との話し合いで
おキヌは氷室家の養子になり、美神が東京で預かることにした


前回と違い氷室家でなく東京の美神が預かるのは、未来を知る横島と魔鈴が
反魂の術によるおキヌへの影響が未知数なのを美神に説明し、人工幽霊の結界のある美神事務所の方が、安全だと判断したためである



こうして前回は
死津藻比女によってたくさんの犠牲が出された歴史は変わったのである

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