その二

修学旅行から帰った翌日、横島はタマモやケイ達と京都のお土産を食べていた


「うーん、記憶に無いからわからないけど、昔とは少し違う味な気がするわ」

パクパクと京都名物を摘むタマモだが、微妙に想像と違ったようだ


「平安時代と比べれば味は違うじゃろう。 日本の歴史は詳しく無いゆえなんとも言えんが、料理も進歩するでな…」

少し不思議そうに首を傾げるタマモに、カオスは笑って説明する


「兄ちゃん美味しいよ!」

「味付けの仕方が違うんですね~」

一方ケイは初めての味を嬉しそうに食べており、美衣は味付けの仕方に感心していた


タマモや美衣とケイなど妖怪は嗅覚や味覚が人間より鋭いらしく、かなり細かな味の違いがわかるようである



その頃、唐巣の教会では唐巣と雪之丞が歓喜の涙を浮かべてお土産を食べていた

それは横島と魔鈴が、唐巣と雪之丞のお土産にとピートに持たせたお土産である


「一週間ぶりにおかずが2品もあるな…」

「主よ… 感謝します」

久しぶりの豪華なおかずに喜びを隠せない雪之丞と唐巣

ちなみに、ごく普通のお土産であり泣いて喜ぶほどの品物ではない


「いただきます」

ピートが見守る中、二人は凄い勢いで食べてゆく

どうやら横島や魔鈴が少し目を離した間に、また食べ物に困っていたようだ



そしてエミのオフィスでは、タイガーがエミにお土産を渡していた


「タイガーがお土産を買って来るなんて… 珍しく気が利くワケ」

いろんな意味で変わり者のタイガーが普通にお土産を買って来た事実は、エミにとってはかなり驚きだったようだ


「いや… 横島さんが持たせてくれたんですケン」

少し言いにくそうに事情を話すタイガーは、素直に全て話してしまう

この辺要領が悪いと言うか馬鹿正直と言うか…

横島はそんなつもりではなく、タイガーのお土産としてエミに渡せば少しは扱いが良くなるだろうと思って渡したのだったが、タイガーには伝わってなかった


「ああ、そう言う訳ね…」

事情を納得したエミは心の中でため息をはく

(横島のヤツ随分いい男になったワケ。 ちょっと前までタイガーより役に立たなかったのに… あの時、真面目に引き抜けばよかったわ)

かつて令子に勝つために、横島を利用した時の事を思い出すエミ

あの時、真面目に引き抜いてれば、今頃は令子に勝ち誇れたと思うと残念で仕方なかった



残るは愛子と加奈だが、二人は魔鈴の事務所を訪れていた

加奈は家族が居るが、愛子は一人である

本日は休みなため、二人で魔鈴の事務所に遊びに来ていた


先日の修学旅行で仲良くなった愛子達に、魔鈴は今度事務所に遊びに来て下さいと誘っていたのだ


「ヤッホー。 遊びに来ました!」

元気良く現れた二人に、タマモと美衣は少し警戒をしてしまう


「あら、いらっしゃい。 ちょうど京都のお土産を食べてたんですよ。 一緒にどうぞ」

魔鈴に誘われるままに椅子に座る二人

そんな二人を観察するように見ていたタマモと美衣は、愛子が妖怪なのに気が付き危険は無いと悟ったようだ

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