その一

しばらくした
年末のある日横島のアパートにおキヌが来た

「横島さんこんにちは~」

「おっおキヌちゃんいらっしゃい 最近調子どう?」

横島がおキヌに聞いた

「私は元気ですよ。死んでますけどね。 ただ、美神さんが……」

おキヌは悲しそうにいろいろ話した。
ハッピー事件のことや、横島が辞めて以来、美神が笑うことが無くなったとか…

「うーん、俺にはどうしょうもないんだよな~ 俺が美神さんの犠牲になるの嫌だし。 あんまり居づらいならおキヌちゃんも家くるか? めぐみさんも歓迎するよ」

おキヌは驚いた顔をして少し考えたが

「今の美神さんをほっとけないですから……」

おキヌが落ち込んでるので横島は明るく

「いつでも遊びにきなよ。 美神さんの相手はキツいだろうしな」


そんな感じで
おキヌは夕方には帰っていった



その日の夜

「そうなんですか… おキヌちゃんも大変ですね」

夕食を食べながら魔鈴は横島におキヌの話を聞いていた

「ところで死津喪比女はどうしますか? ほっとけば被害がかなり出ますよ」

横島は難しい顔をして

「それは難しいんだよな~ おキヌちゃんに隠れて死津喪比女を倒してしまうか?」


「おキヌちゃんの人生に重大な問題ですし、 隠れて倒して生き返らせるのはちょっと……」

魔鈴もおキヌを心配していた


「おキヌちゃんに知らせるなら美神さんにもバレるしな~ いっそ美神さんも巻き込むか? 美神さんはおキヌちゃんには優しいし」


横島は未来を思い出していた
未来で美神はおキヌを実の妹のように可愛がっていたから


「そうですね… 私が昔のことを調べているうちに、偶然知ったことにして美神さんも一緒に連れていった方いいかもしれません。 おキヌちゃんも真実を知り選ぶ権利はありますから」


「今回はカオスとマリアも連れて行くか。 後は死津喪比女をどう倒すかだな 文殊なら可能だが、まだ人に知られたくない。 他の方法も考えて行かないと…」

魔鈴は少し考えて…

「植物を腐らせる魔法薬を使いましょうか。 死津喪比女に直接撃ち込めばピンポイントで倒せます。 マリアに装備をお願いしましょう。」
横島は魔鈴を見て

「準備はどのくらいかかる?」

「マリアの調整もありますから一週間ですかね。 今年中には間に合います」


「じゃあ、明日美神さんに話にいくか。」


「ええ、それがいいでしょう」

横島と魔鈴は話を終えると二人でバスルームに行った…



次の日
横島と魔鈴は久しぶりに美神事務所に来た


「美神さんお久しぶりっすね」

「美神さんこんにちは」

横島と魔鈴は営業スマイルで美神に挨拶した


「あんた達何しにきたの? 特に横島! 恩を仇で返したくせに…!」

美神は露骨に嫌な顔をした

「いや~ 荷物持ちのバイトを辞めただけじゃないっすか。 今日はおキヌちゃんのことで来たんすよ」

横島は苦笑いしながら話した

「あんた! 今度はおキヌちゃんを引き抜きに来たの!!」

美神は声を荒げて睨みつけた


「美神さん、落ち着いて下さい。 おキヌちゃんを引き抜きではなく、おキヌちゃんの過去です。」
魔鈴は話が進まないので自分が話した


「私は最近調べた資料に、気になることを見つけまして…」

魔鈴はおキヌが死津喪比女を封じる為に犠牲になった巫女ではないかと話した。 時代や場所は一致しているからと。


「俺と魔鈴さんが話してて気が付いたんですが、偶然にしては話が似てませんか? おキヌちゃんが300年も悪霊化しないで浮遊霊だったのもそのためではないかと…」


美神は話の内容に途中から真剣に聞いていた


「わかったわ。 おキヌちゃんのことは私も調べてみるわ」
美神は自分で解決しようと考えたが横島が話しかけた


「美神さん、俺達も行きます。 おキヌちゃんには世話になりましたし、この話を持ってきたのは俺達ですから」


美神は嫌な顔をしたが考えた
話によればかなり強力な妖怪かもしれない。
自分だけではおキヌを守りながら戦えない


「しかたないわね。 今回だけだからね! おキヌちゃんの為に」

美神は渋々許可を出した


「こちらは準備に一週間かかります。行くのは来週でお願いします」

魔鈴が美神に話した

「わかったわ。 一週間後行きましょう。 朝事務所に来て」

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