その二

そんな修学旅行3日目だが、横島の周りは再び騒がしくなっていた

今朝になりテレビや新聞で昨日の件を知ったクラスメート達が、部屋に押し寄せて来たのだ


銀一との関係やドラマ出演の話題などで突っ込まれる横島だが

同時に愛子と加奈もクラスメート達に囲まれて、銀一に会ったことやドラマ出演を羨ましがられている


そんな調子で始まったその日の横島の周りは、終始騒がしい様子が続く

一応メガネで変装はしている横島だが、今朝からテレビに散々顔が映っていたので、一般人にもバレバレである


ただ幸いだったのはその日が団体行動だったこと

大阪や神戸付近の観光だった為、どこに行っても人がたくさんおり、横島やピートは注目を集めるが…

たくさんのクラスメート達の中に居る横島に声をかけれる者はほとんど居なく、離れた場所から騒がれる程度であった


噂が噂を呼び、修学旅行に来ている横島を見物に集まる人も現れるが、昨日のような混乱も無くその日は過ぎていく



そしてその日は夕方に京都に向かって、京都の旅館で一泊することになる


「今日はすごかったですね… 観光に来たはずなのに、逆に見られに来たみたいですよ」

人に見られることに慣れないピートは、いろいろ気疲れしたようだ


「霊波迷彩服でも持ってくれば良かったな~」

笑ってそんな冗談を言う横島は、まだピートに比べれば余裕があるらしい


「横島さん笑い事じゃないですよ」

ピートは横島に少し抗議するような視線を向けるが、疲れたようですぐに目を閉じてしまう


「まさかこんなことになるとはな~」

「横島サンは余裕じゃノー」

他人事のように感心する横島を見て、タイガーは感心半分呆れ半分と言った様子である


「まあ、そのうち飽きるだろ? 俺達芸能人じゃないし」

軽く笑う横島を見て、ピートとタイガーは再び同じようなことをするのではと、不安になったのは言うまでもない


(魔鈴さんも連れてくるべきだったのでは…)

ピートは1人そんなことを思う

今回でわかったのは魔鈴が居ないと横島は危なっかしいと言うことであった



そんな横島達とクラスメートは、その日も夜遅くまであれこれ騒ぐことになる

いろいろ注目を集めてる為、さすがに酒は飲まなかったが…

賑やかな楽しい夜になったのだった



そして次の日

この日は完全自由行動だったので、横島達と愛子と加奈は京都市内を散策していた


「横島君、お昼は豪華に懐石料理でいいわよ」

「そうね。 一流のスターらしく、高級な店でよろしく!」

散策を始めた頃、愛子と加奈は笑顔で横島にお願いした


「どこの世界に修学旅行で懐石料理食いに行くやつがいるんだよ…」

苦笑いを浮かべる横島だったが、愛子達は変わらない笑顔を向ける


「一昨日にお昼おごってくれる約束したでしょ?」

加奈はボソッとつぶやく


「それに修学旅行中にドラマ出演する人に比べれば珍しくないはずだわ」

トドメとばかりに愛子に一昨日の件を持ち出されては、横島としては断れない


「わかったよ… 何処でもいいぞ」

ちょっと渇いた笑みを浮かべる横島だったが、愛子達は嬉しそうに店を探し始めた
19/100ページ
スキ