その二

横島達がどうするか悩み、監督と銀一が口論しているところに新しいスタッフが部屋に入って来る


「監督。 取材に来てるマスコミが撮影終了後、近畿さんと一緒に横島さんにも会見を開いて欲しいと要望が来てますが…」

監督と銀一の口論にビビったスタッフは、遠慮がちにマスコミからの要望を伝えた


「会見!? いや、俺出演者じゃないんだけど…」

困ったようにつぶやく横島は、この事態をどうするべきか悩んでしまう


基本的にこういった問題は魔鈴と相談して決めていた

相手のあるデリケートな問題な為、魔鈴がうまく断っていたのだ


これから激化していくアシュタロス一派との戦いなどの為、横島は有名になるつもりはない

ただでさえ学校やGSの仕事や霊能の修行で忙しいのだから、これ以上仕事を増やすのは無理なのだ

問題はこれが銀一の出世作になるはずのドラマだと言うこと

横島としては銀一が望むなら、一回だけのエキストラくらいなら協力してもいいかと思っている


しかし、問題は会見の方だ

素人の横島がマスコミに対して印象を悪くせずに上手く話す自信は無い


かつて未来のアシュタロス戦において、横島はマスコミに人類の裏切り者と叩かれた

あの件は後で潜入捜査だったと訂正されたが、訂正されるまではそれは酷い扱いであった

街行く人から学校のクラスメートまでみんな横島を裏切り者と呼び、酷い人に至っては横島を殴り殺そうとする人までいた

報道が訂正され、世界的大霊症(コスモプロセッサーの時)などが起きた為、横島の件は人々に忘れられて問題は収束して行ったが…

あの時の苦い記憶は未だに横島の傷になっていた


そのため、横島は人よりもマスコミに対して臆病なのである

実際今の横島は、未来とは違いマスコミに悪く報道されることは無いだろう

しかし、横島本人はその辺の自覚が薄い為、未だに未来のようになるのではと不安になっていた



「横っち… 横っち…」

「うん? 銀ちゃんどうした?」

横島が深く考え込んでいると、心配そうな銀一が声をかけていた


「出演は無理にしなくてもいいけど、会見はした方がいいと思う。 さっきの騒ぎはカメラで写されてる可能性が高いんや。 会見してちゃんと説明せんと有ること無いこと書かれるで?」

横島が悩んでるのを見た銀一は芸能人としてアドバイスをする

トップアイドルの銀一はマスコミの事をよく理解していた

下手に会見を避けると私生活まで付きまとわれる

その上、横島が芸能界進出などと有りもしない事を大々的に書くのは目に見えていた


「うーん、何て言ったらいいか難しいな…」

この時代に来て有名になってしまった横島は、有名になった当初マスコミのインタビューを数回受けた事がある

しかし、その時には常に魔鈴が隣に居て丁寧に断っていたのだ

しかし今回は一人なため、対応に苦慮していた


「あんまり心配せんでも、俺が上手く説明してやるって」

困ったような横島を銀一は明るく励ます


「とりあえず、相談せんとな」

銀一はそう話すと撮影スケジュールや会見の時間

会見で話す内容などをスタッフと相談し始める

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