朝から小竜姫の手料理をお腹いっぱい食べた横島は幸せそうな表情であった

食後パピリオと一緒に外を掃除してる姿は微笑ましく見える

一方小竜姫は、台所で鼻歌混じりに洗い物をしている


そんな妙神山の姿を見ていたのは老師とジークとヒャクメである

お茶を片手にタバコを吸う老師は嬉しそうに微笑む

「あやつの本当の才能は霊能力ではなく、あの性格かの…」

老師は横島を眺めてつぶやく


「不思議な人ですね…」

ジークは少し不思議そうに笑う


「人誑しの才能は天才じゃな」

「横島さん、もう少し自覚を持てばモテモテなのねー」

老師の言葉にヒャクメは笑っている


「無自覚なだけに始末が悪いの…」

老師は少し呆れ気味に話すが、表情は笑顔である

この老師もこの状況を楽しんでいるようだ


洗い物をしていた小竜姫は、続けて老師達の昼食を用意していた

それが終わったのが、時刻は１０時を回った頃だろうか


小竜姫はいつもの下界に行く服装で、横島と共に出かけていく


「これからが面白いのねー！！」

ヒャクメは気合いを入れて小竜姫と横島を覗く


「うむ、小竜姫対美神令子か…　はたしてどうなるかの」

老師もしっかり覗く気である


「２人共懲りませんね…　バレたらまた大変ですよ？」

ジークはワクワクした２人を一応止めにかかるが…


「世紀の大決戦なのねー」

ヒャクメは興奮して聞いてないようだ


「弟子の成長を確かめるのも師の使命じゃ…」

真面目な口調でジークに答える老師だが、その楽しみが待ちきれないような表情で台無しである


「ジークは嫌なら見なければいいでちゅ」

いつの間にかおやつまで用意したパピリオがヒャクメの隣に座る


「気が利くのねー　みんなで小竜姫を見守るのね！」

ヒャクメはパピリオと意気投合していた


「いや…　僕も後学の為に…」

ジークは言い訳するようにつぶやき、一緒に見るようだ

妙神山に来て以来、ジークはヒャクメや老師に染まって来たのかもしれない



その頃、横島と小竜姫は美神事務所への道を歩いていた


嬉しそうに並んで歩く横島と小竜姫

電車の中でも笑顔の耐えない２人は周りの視線を集める


「横島さん、何やら私達目立ってませんか？」

小竜姫は周りからの視線が気になるようだ


「小竜姫様は美人っすからね～　そりゃ目立ちますよ」

横島は当然のように小竜姫を誉める


「えっ！？　あの…」

小竜姫は真っ赤になり下を向く

周りに人が居るにも関わらず、美人と言い切って誉められる

小竜姫は初めての経験であった


「小竜姫様？」

そんな小竜姫を鈍感な横島は不思議そうに見つめる


「いえ…　何でもありません」

小竜姫は子供のように首を大きく横に振る


横島はそんな小竜姫の姿にチビ小竜姫が重ねて見える


ナデナデ…


横島はいつの間にか、小竜姫の頭を撫でていた


小竜姫は赤い顔が更に真っ赤になる

そしてあまりの恥ずかしさに、横島の腕にしがみついてしまう


「横島さんのバカ…」

小竜姫は小さな声でつぶやく