幻の初恋

   幻の初恋


その日は暑い夏の日…

横島は事務所からの帰り道を歩いていた……


「ヒック…ヒック… エーン!! エーン!!」


ふと誰かの鳴き声が聞こえた…


横島が鳴き声のところへ行くと、小さな女の子が泣いていた

「どうしたお嬢ちゃん」


横島は見過ごすことも出来ずに、その女の子に話しかけた


「おうちが、わかんないの……」

女の子は目に涙を貯めて、今にもまた泣き出しそうだった


「そっか~ 俺がうちまで連れて行ってあげるよ」

横島は女の子の頭を撫でて優しく話した

「…グス…グス…、う…ん…」

女の子は泣き止んできて、横島を見た

「お嬢ちゃん名前は?」

横島は女の子を抱き上げて聞いた

「しょうりゅうき…」


女の子は不安そうに話した


「………」

横島は固まっていた……


「お兄ちゃん…?」

チビ小竜姫は、不思議そうに横島を見つめた


「そう言えば、角に赤い髪… この服装は間違いない… ま… ま… まさか… 小竜姫様の隠し子だー!!」

横島は慌てて叫んだ

「ひぃっ!?」

チビ小竜姫は突然叫んだ横島にビックリして泣きそうになった…


「あ… ごめん、ごめん… 今お母さんの場所に連れて行ってあげるからな~」

横島はチビ小竜姫を必死にあやした


「うん… おなかすいた…」


チビ小竜姫は泣く前に機嫌を直したが…

目に涙を残したまま、横島を見つめて訴えた…


「か… 可愛い… さすがは小竜姫様の隠し子だ…」

横島はチビ小竜姫が可愛いのに感動していた


「ごはん……」


チビ小竜姫はお腹をさすりながら話した

「おう… ご飯か~ そうだな… 事務所に行こうか。 おキヌちゃんに何か作ってもらおう!」

横島はチビ小竜姫を抱きかかえて、事務所に戻っていった…


「ちわーす。 おキヌちゃんいる?」

横島が事務所に入ると美神とおキヌが居た

「あら、横島クン帰ったんじゃないの?」

美神は書類を見て話した


「横島さん!? その女の子どうしたんですか!?」
おキヌが驚いて横島に抱かれてる

チビ小竜姫を見た

チビ小竜姫は少し怯えて横島にしがみついた

「ああ、帰り道で泣いてたんだ。 どうやら家に帰れなくなったみたいで…」


横島はチビ小竜姫を撫でてあやしながら話した


「横島クン、迷子なら警察に連れて行ってよ。」


子供嫌いな美神は嫌な顔で、横島に抱かれてるチビ小竜姫を見た


「「………」」

美神とおキヌは固まってしまった


「そ…その子、竜神族じゃない!? しかも、小竜姫様にソックリだわ!」

さすがの美神も驚いていた


「どうやら小竜姫様の隠し子みたいで… 名前も小竜姫って言ってたんですよ」

横島は美神に怯える小竜姫をあやしながら話した


「えっ!? 隠し子!? 小竜姫様に限ってまさか~ それに名前も同じって変よ?」

美神はチビ小竜姫を見た


「うえーん!! うえーん!!」

チビ小竜姫は美神を見て泣いてしまった

「ちょっと… 私何もしてないわよ!?」


美神は困ったように言った


「ほーら… 大丈夫だよ 小竜姫ちゃん よしよし…」


横島が優しくあやすとチビ小竜姫は泣き止んで横島にしがみついた


「横島さんに懐いてますね~ 私と美神さんは怯えるのに…」

おキヌは不思議そうに見ていた


「とりあえず、妙神山に連れて行こうかと思ってるんすけど… 今日はもう遅いですし、小竜姫ちゃんがお腹すいたって言うんで、ご飯でも作ってもらおうかと思って来たんすよ」

横島は苦笑いして話した


「ふーん、私は関わらないからね… お金になりそうに無いし、子供って嫌いなのよね」


何もしてないのに泣かれた美神は機嫌悪く話して、自分のデスクに戻った


「じゃあ、何か作りますね… 何が食べたいのかしら…?」

おキヌは横島とチビ小竜姫を見た


「小竜姫ちゃん、何が食べたい?」

横島が優しく聞くとチビ小竜姫は首を傾げて考えだした…


「お魚さん…」

チビ小竜姫は小さな声で話した


おキヌはそれを聞いて台所に料理に向かった
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