その一
さて家族や仕事について語っていたかおりだが、横島はそれに対して明確な意見を口にせぬまま静かに話を聞いていた。
正直なところ横島の価値観では理解出来ない家族というか父親であるが、軽々しくそれを口にしていいのか分からなかったというとこだろう。
ただまあかおりも横島に何か答えや意見を求めた訳ではないので、その話題は自然と途切れ水族館を楽しんでいくことになる。
「あら、そこに居るのは弓さんではなくて?」
そのまま水族館を楽しんでいた二人だが、かおりは突然背後から声をかけられ振り向くとその表情が少し険しくなった。
そこに居たのは横島やかおりと同年代の男女二人で、双方ともに美男美女のカップルのようである。
「久しぶりですわね。 真田さん。 中学の卒業式以来かしら?」
声をかけて来たのは女性の方で美人ではあるが、かおり以上にプライドが高そうで何より攻撃的な表情をしていた。
どうやらかおりの中学の同級生のようだがお世辞にも仲がいいようには見えない。
「ええ、そうですわね。 弓さんは一文字さんと同じ学校に進学したので会う機会がありませんでしたもの。 隣は彼氏かしら?」
真田とかおりが呼んだ相手の女性はかおりに続き横島にも値踏みするような視線を向けるも、明らかに小馬鹿にしたようにクスクスと笑い自分の隣に居る男性を見せつけるように男性に腕を絡める。
しかも彼女は聞かれてもないのに自身の近況を語り始めるが、どうやら彼女は六道女学院よりもランクが高い日本でも屈指のお嬢様学校に通ってるらしい。
「初めまして。 横島です。 どうぞよろしく。」
「ゴーストスイーパー? 美神除霊事務所って!?」
「ニセモンじゃねえのか?」
一方横島は真田とかおりの関係と彼女が何を言いたいのか悟ったらしく、彼氏かと聞かれて一瞬言葉が詰まった隙に自己紹介して滅多に出さない名刺を目の前の二人に手渡す。
相手の二人もまさか学生にしか見えない横島が名刺を出して来て、しかも素人でも一度は名前を聞いたことがある美神除霊事務所の名前に驚いてしまう。
ちなみにこの名刺は大分前に令子が横島に少しは社会人としての自覚を持たせようと作ったものだが、使う機会がほとんどなくて財布の肥やしになっていた名刺であった。
「本物ですわよ。 横島さんは高2の春に十六才でGS免許を取得してますから。 免許取得の史上最年少タイ記録のGSですわ。」
結果的に横島の名刺はかおりと相手の女性の駆け引きに一石を投じることになり驚く女性に加え男性もニセモノだと疑い出すが、そこで自分のペースを取り戻したのかかおりは疑う男性に軽蔑するような表情を見せると横島のことを説明し始める。
現行の法律ではGS免許は受験資格が十六才以上となっているので、一応高2の春に免許を取得した横島は史上最年少タイ記録ではあった。
実は令子やエミよりも免許取得した年は早く過去を見ても十六才で一発合格したGSは数えるほどしかいない。
「それで、そちらの男性は彼氏はですの?」
結局かおりは自慢げに恋人を見せびらかしに声をかけて来た真田を悔しげな表情で撃退というか退けることに成功していた。
彼女としては見た目では負けてないと言いたげだったが、彼氏の男性は横島と同じランクの普通の都立高校の学生でしかない上にかなりチャラい男だったことで、下手に張り合ってもダメだと悟ったからか今度お茶でもと心にもない捨て台詞を吐いて去っている。
まあ実際に見た目は相手の男性の方が良かったのだが。
正直なところ横島の価値観では理解出来ない家族というか父親であるが、軽々しくそれを口にしていいのか分からなかったというとこだろう。
ただまあかおりも横島に何か答えや意見を求めた訳ではないので、その話題は自然と途切れ水族館を楽しんでいくことになる。
「あら、そこに居るのは弓さんではなくて?」
そのまま水族館を楽しんでいた二人だが、かおりは突然背後から声をかけられ振り向くとその表情が少し険しくなった。
そこに居たのは横島やかおりと同年代の男女二人で、双方ともに美男美女のカップルのようである。
「久しぶりですわね。 真田さん。 中学の卒業式以来かしら?」
声をかけて来たのは女性の方で美人ではあるが、かおり以上にプライドが高そうで何より攻撃的な表情をしていた。
どうやらかおりの中学の同級生のようだがお世辞にも仲がいいようには見えない。
「ええ、そうですわね。 弓さんは一文字さんと同じ学校に進学したので会う機会がありませんでしたもの。 隣は彼氏かしら?」
真田とかおりが呼んだ相手の女性はかおりに続き横島にも値踏みするような視線を向けるも、明らかに小馬鹿にしたようにクスクスと笑い自分の隣に居る男性を見せつけるように男性に腕を絡める。
しかも彼女は聞かれてもないのに自身の近況を語り始めるが、どうやら彼女は六道女学院よりもランクが高い日本でも屈指のお嬢様学校に通ってるらしい。
「初めまして。 横島です。 どうぞよろしく。」
「ゴーストスイーパー? 美神除霊事務所って!?」
「ニセモンじゃねえのか?」
一方横島は真田とかおりの関係と彼女が何を言いたいのか悟ったらしく、彼氏かと聞かれて一瞬言葉が詰まった隙に自己紹介して滅多に出さない名刺を目の前の二人に手渡す。
相手の二人もまさか学生にしか見えない横島が名刺を出して来て、しかも素人でも一度は名前を聞いたことがある美神除霊事務所の名前に驚いてしまう。
ちなみにこの名刺は大分前に令子が横島に少しは社会人としての自覚を持たせようと作ったものだが、使う機会がほとんどなくて財布の肥やしになっていた名刺であった。
「本物ですわよ。 横島さんは高2の春に十六才でGS免許を取得してますから。 免許取得の史上最年少タイ記録のGSですわ。」
結果的に横島の名刺はかおりと相手の女性の駆け引きに一石を投じることになり驚く女性に加え男性もニセモノだと疑い出すが、そこで自分のペースを取り戻したのかかおりは疑う男性に軽蔑するような表情を見せると横島のことを説明し始める。
現行の法律ではGS免許は受験資格が十六才以上となっているので、一応高2の春に免許を取得した横島は史上最年少タイ記録ではあった。
実は令子やエミよりも免許取得した年は早く過去を見ても十六才で一発合格したGSは数えるほどしかいない。
「それで、そちらの男性は彼氏はですの?」
結局かおりは自慢げに恋人を見せびらかしに声をかけて来た真田を悔しげな表情で撃退というか退けることに成功していた。
彼女としては見た目では負けてないと言いたげだったが、彼氏の男性は横島と同じランクの普通の都立高校の学生でしかない上にかなりチャラい男だったことで、下手に張り合ってもダメだと悟ったからか今度お茶でもと心にもない捨て台詞を吐いて去っている。
まあ実際に見た目は相手の男性の方が良かったのだが。