その一
「なんかあったの?」
「なんで俺に聞くんだよ。」
翌日、横島のクラスは数名の男子がお通夜のように静かで微妙な雰囲気に包まれていた。
彼らは今朝から様子がおかしく横島の姿を見ると目を合わせないようにと逸らしていて、クラスメートの誰もがあからさまな彼らの態度に疑問を抱くが避けられている横島は関わりたくないからか特に何も言わないので余計にクラスメート達の興味を引いている。
「いや~、だって……。」
「やっほー、おや聖人君子諸君は元気ないわね?」
こういう場合に訳を聞かれるのは決まって横島で一部のクラスメートの男子達は元々横島以上にクラスの女子と話をしたことがないので、たいがいは聞きやすい横島にみんな話を尋ねることが定番だった。
この時ちょうど昼御飯と昼休みで教室は数名の男子以外は割と賑やかだったが、隣のクラスの女子二人組が教室に入って来るとお通夜のような男子数名を見て笑って聖人君子と呼びクラスメート達の視線が集まる。
「ねえ、聖人君子ってなに?」
「あれ? まだ聞いてないの? いつもの様子だと真っ先に逆襲されてると思ったのに。」
入って来た隣のクラスの女子二人はクラスの反応に不思議そうに横島を見てしまい、やはり彼らの態度の変化には横島が絡んでるとクラスメート達に悟らせる。
「横島君ってやっぱ基本お人好しなんだよね。 普段あれだけ好きなこと言われてるんだから、普通あんな面白い話しあれば真っ先に話すよ。 なんなら私が話してあげようか?」
「別にそんなんじゃねえよ。 関わりたくないだけだっつうの。 ってかお前ら昨日あそこに居たのか?」
「うん。 横島君達の席から死角になってたから私達も最初気付かなかったけどあれだけ騒げばねぇ。」
一方横島はまた近くに自分を知る人が居たのかと内心でため息をこぼしてしまうが、どうやら昨日の一部始終を見ていたらしい。
日頃横島をあれだけネタにして吊し上げのごとく騒ぐ男子達が相手だけに、二人は逆襲される姿を見物に来たようである。
「ねえねえ、何があったの!?」
「実は昨日……。」
隣のクラスの二人は横島が言わないなら自分達が話すと言い出し横島のクラスメートが男女問わず注目する中、聖人君子と呼ばれた数名の男子は教室から逃げ出してしまうも二人は昨日の一部始終をそのまま語り出す。
「いや~、格好良かったわよ。 本当に。 横島君の彼女。」
「自分達が人の嫌がるネタをいじる癖に立場が逆になったからって逃げ出しちゃダメよね。 本当たいした聖人君子だわ。」
話の内容は大筋で合っているがどうも二人はかおりの反論に惚れ惚れしたらしく、流石はお嬢様学校の六道女学院の生徒だとかおりの評価が高まる一方だった。
正直見ていただけの横島の評価は相変わらずにも関わらず、あれだけ正々堂々と徹底的に反論した姿にはただただ感心するしかなかったらしい。
「それで聖人君子なのね。 ウケるわ。」
「ピート君ならともかく確かにあの連中じゃ人のこと言えないわよね。 普通の彼女なら誰だって怒るって。」
ここまで来ると最早横島の意思とは関係なく話が広まるが、日頃の行いが良くないのか彼らの味方は今のところ居ない。
これが横島からの話ならば内容の信憑性が問われるが元々横島と関係ない隣のクラスの女子なだけに、信憑性が疑われることなどなかった。
まして彼らは日頃から横島に嫌がらせ紛いの行動をして笑いを取っていただけに、立場が逆になったからといって手加減しようとする者が居ないのも大きい。
「なんで俺に聞くんだよ。」
翌日、横島のクラスは数名の男子がお通夜のように静かで微妙な雰囲気に包まれていた。
彼らは今朝から様子がおかしく横島の姿を見ると目を合わせないようにと逸らしていて、クラスメートの誰もがあからさまな彼らの態度に疑問を抱くが避けられている横島は関わりたくないからか特に何も言わないので余計にクラスメート達の興味を引いている。
「いや~、だって……。」
「やっほー、おや聖人君子諸君は元気ないわね?」
こういう場合に訳を聞かれるのは決まって横島で一部のクラスメートの男子達は元々横島以上にクラスの女子と話をしたことがないので、たいがいは聞きやすい横島にみんな話を尋ねることが定番だった。
この時ちょうど昼御飯と昼休みで教室は数名の男子以外は割と賑やかだったが、隣のクラスの女子二人組が教室に入って来るとお通夜のような男子数名を見て笑って聖人君子と呼びクラスメート達の視線が集まる。
「ねえ、聖人君子ってなに?」
「あれ? まだ聞いてないの? いつもの様子だと真っ先に逆襲されてると思ったのに。」
入って来た隣のクラスの女子二人はクラスの反応に不思議そうに横島を見てしまい、やはり彼らの態度の変化には横島が絡んでるとクラスメート達に悟らせる。
「横島君ってやっぱ基本お人好しなんだよね。 普段あれだけ好きなこと言われてるんだから、普通あんな面白い話しあれば真っ先に話すよ。 なんなら私が話してあげようか?」
「別にそんなんじゃねえよ。 関わりたくないだけだっつうの。 ってかお前ら昨日あそこに居たのか?」
「うん。 横島君達の席から死角になってたから私達も最初気付かなかったけどあれだけ騒げばねぇ。」
一方横島はまた近くに自分を知る人が居たのかと内心でため息をこぼしてしまうが、どうやら昨日の一部始終を見ていたらしい。
日頃横島をあれだけネタにして吊し上げのごとく騒ぐ男子達が相手だけに、二人は逆襲される姿を見物に来たようである。
「ねえねえ、何があったの!?」
「実は昨日……。」
隣のクラスの二人は横島が言わないなら自分達が話すと言い出し横島のクラスメートが男女問わず注目する中、聖人君子と呼ばれた数名の男子は教室から逃げ出してしまうも二人は昨日の一部始終をそのまま語り出す。
「いや~、格好良かったわよ。 本当に。 横島君の彼女。」
「自分達が人の嫌がるネタをいじる癖に立場が逆になったからって逃げ出しちゃダメよね。 本当たいした聖人君子だわ。」
話の内容は大筋で合っているがどうも二人はかおりの反論に惚れ惚れしたらしく、流石はお嬢様学校の六道女学院の生徒だとかおりの評価が高まる一方だった。
正直見ていただけの横島の評価は相変わらずにも関わらず、あれだけ正々堂々と徹底的に反論した姿にはただただ感心するしかなかったらしい。
「それで聖人君子なのね。 ウケるわ。」
「ピート君ならともかく確かにあの連中じゃ人のこと言えないわよね。 普通の彼女なら誰だって怒るって。」
ここまで来ると最早横島の意思とは関係なく話が広まるが、日頃の行いが良くないのか彼らの味方は今のところ居ない。
これが横島からの話ならば内容の信憑性が問われるが元々横島と関係ない隣のクラスの女子なだけに、信憑性が疑われることなどなかった。
まして彼らは日頃から横島に嫌がらせ紛いの行動をして笑いを取っていただけに、立場が逆になったからといって手加減しようとする者が居ないのも大きい。