その一
それから数日後、おキヌは一度みんなで会って話し合いをしようと言い出していた。
実は今回の除霊でおキヌは、かおりと魔理に横島のいいところも知って欲しいと密かに気合いが入っている。
横島本人は正直そんなこと望んでないが、おキヌはおキヌなりの考えがあるのだろう。
「依頼は秋田県の古い温泉旅館よ。 二十年ほど前に使わなくなった旧館にいつの間に悪霊が住み着いたらしいわ」
この日、連絡が取れてない雪之丞以外の除霊参加者は美神事務所に集まっていた。
横島・おキヌ・ピート・タイガー・かおり・魔理の六人に依頼を受けた令子が居る。
横島とおキヌ以外は両親や師匠からの承諾書を貰い、令子自らが確認した後に説明を始めた。
依頼は東北地方の秋田県の田舎であり、はっきり言って現地に行くまでが大変だった。
東京からだと新幹線などを乗り継いぐ最短でも四時間近くかかる。
加えて現地ではGSによる正確な調査が行われておらず、実際の悪霊の数や強さは推定でしかない。
ただ周辺に被害が出るほどでもなく、総合的な危険性はかなり低いと見られている。
「依頼料は二百万よ。 これは移動費も込みね。 依頼人は旅館を経営してるから宿泊する場合は宿泊費は依頼人持ちよ」
二百万という依頼料を聞くと魔理は一人驚きの声をあげるが、他のメンバーは横島以外は真剣に考え込んでる様子だった。
経験のない魔理は気付かないが、依頼料は安くはないが移動にかかる時間を考えれば東京の一流GSが受ける仕事ではない。
加えて精密な調査が行われてないので、危険がある場合によっては現地で調査後に依頼人と再交渉も必要だろう。
ある意味若手の修行にはうってつけの依頼だった。
「除霊道具は一式貸してあげるわ。 もちろん消耗品は使えば経費として請求するし、道具を壊しても請求するわよ。 ただ依頼料を越えた経費がかかった部分は免除してあげる」
かおりや魔理の尊敬の眼差しに若干居心地が悪そうな令子だが、それでも淡々と条件を説明していく。
必要な道具やお札などに関しては、令子が貸し出し失敗しても依頼料を越える金額以上は請求しないと言うと横島やピートは驚いていたが。
「あなた達はほとんど道具を使わないから、全部上手くいけば一人二十万は利益がでると思うわよ」
最後に令子はおおよその一人当たりの利益を告げると、横島以外は素直に嬉しそうな表情をする。
横島の反応が薄いのは、横島の場合は彼らと違い美神事務所の仕事であり時給だからだろう。
それに横島は令子のこの手の話に乗って上手くいった試しがないのだから、テンションが上がる訳がない。
「後はアンタ達で話し合って決めなさい」
令子は前提条件を伝え終わると何処かに出掛けてしまい、事務所には横島達だけが残された。
やる気を見せるおキヌ達を前に、横島は一人静かにカップラーメンにお湯を注ぐ。
一応令子の話の時には自制していたのだが、横島に重要なのは朝から何も食べてない空腹を満たすことだけだった。
実はかおりとカラオケに行った影響でここ数日は朝昼抜きであり、美神事務所に買い置きしてあるカップラーメンで飢えを凌いでいたのだ。
実は今回の除霊でおキヌは、かおりと魔理に横島のいいところも知って欲しいと密かに気合いが入っている。
横島本人は正直そんなこと望んでないが、おキヌはおキヌなりの考えがあるのだろう。
「依頼は秋田県の古い温泉旅館よ。 二十年ほど前に使わなくなった旧館にいつの間に悪霊が住み着いたらしいわ」
この日、連絡が取れてない雪之丞以外の除霊参加者は美神事務所に集まっていた。
横島・おキヌ・ピート・タイガー・かおり・魔理の六人に依頼を受けた令子が居る。
横島とおキヌ以外は両親や師匠からの承諾書を貰い、令子自らが確認した後に説明を始めた。
依頼は東北地方の秋田県の田舎であり、はっきり言って現地に行くまでが大変だった。
東京からだと新幹線などを乗り継いぐ最短でも四時間近くかかる。
加えて現地ではGSによる正確な調査が行われておらず、実際の悪霊の数や強さは推定でしかない。
ただ周辺に被害が出るほどでもなく、総合的な危険性はかなり低いと見られている。
「依頼料は二百万よ。 これは移動費も込みね。 依頼人は旅館を経営してるから宿泊する場合は宿泊費は依頼人持ちよ」
二百万という依頼料を聞くと魔理は一人驚きの声をあげるが、他のメンバーは横島以外は真剣に考え込んでる様子だった。
経験のない魔理は気付かないが、依頼料は安くはないが移動にかかる時間を考えれば東京の一流GSが受ける仕事ではない。
加えて精密な調査が行われてないので、危険がある場合によっては現地で調査後に依頼人と再交渉も必要だろう。
ある意味若手の修行にはうってつけの依頼だった。
「除霊道具は一式貸してあげるわ。 もちろん消耗品は使えば経費として請求するし、道具を壊しても請求するわよ。 ただ依頼料を越えた経費がかかった部分は免除してあげる」
かおりや魔理の尊敬の眼差しに若干居心地が悪そうな令子だが、それでも淡々と条件を説明していく。
必要な道具やお札などに関しては、令子が貸し出し失敗しても依頼料を越える金額以上は請求しないと言うと横島やピートは驚いていたが。
「あなた達はほとんど道具を使わないから、全部上手くいけば一人二十万は利益がでると思うわよ」
最後に令子はおおよその一人当たりの利益を告げると、横島以外は素直に嬉しそうな表情をする。
横島の反応が薄いのは、横島の場合は彼らと違い美神事務所の仕事であり時給だからだろう。
それに横島は令子のこの手の話に乗って上手くいった試しがないのだから、テンションが上がる訳がない。
「後はアンタ達で話し合って決めなさい」
令子は前提条件を伝え終わると何処かに出掛けてしまい、事務所には横島達だけが残された。
やる気を見せるおキヌ達を前に、横島は一人静かにカップラーメンにお湯を注ぐ。
一応令子の話の時には自制していたのだが、横島に重要なのは朝から何も食べてない空腹を満たすことだけだった。
実はかおりとカラオケに行った影響でここ数日は朝昼抜きであり、美神事務所に買い置きしてあるカップラーメンで飢えを凌いでいたのだ。