その一
「そうだ、少し弓さんの修行を見てやってくれませんかね?」
そのまま横島は無責任にもパピリオに引っ付かれてゲームをしようとせがまれゲームを始めてしまうが、物のついでと言わんばかりに小竜姫に修行を見てやって欲しいと言い出す。
「滅相もございません、そんな恐れ多いことを!」
「構いませんよ。 私もゲームとやらはやりませんから。」
しかし本来の妙神山は心技体すべてにおいて己の限界まで修行した歴史に残るような霊能者が、最後の最後に辿り着く場所だとオカルト業界では言われていた。
そんな物のついでに頼んでいいことではないのだからと慌てて謝罪するように頭を下げるかおりだが、小竜姫は横島と同じような軽さであっさりと承諾して修行をすることになる。
「あの、本当によろしいのでしょうか?」
「ええ、横島さんには少なくない借りがありますから。 それに……、横島さんが初めて連れてきた女の人である貴女に私も興味があります。」
さっそく始めようかと小竜姫の案内で異界の修行場に移動するかおりは、初めて見る異界に唖然としながらも未だに自分のような未熟な者が修行を見てもらっていいのかと不安げであった。
だが小竜姫は逆にかおりの実力を見るのを楽しみにしてる様子である。
「横島さんが小竜姫様に借り? それに初めて女性を……?」
「知りたいですか? 貴女が知らない横島さんの過去を。」
修行を始めるに辺りどんな修行をしようかと考える小竜姫だが、かおりは小竜姫が何気に語った言葉が引っ掛かるようで思わず疑問を口に出してしまう。
「いいえ。 せっかくの御好意ですが遠慮させていただきます。 私は横島さんが話してくれるのを待ちたいと思いますから。」
今この瞬間まで柔らかい笑顔を見せていた小竜姫から笑顔が消えて真剣な表情になると、まるでかおりを試すかのように唐突に横島の過去を知りたいかと問いかける。
それはかおりの気持ちを揺さぶるには十分だったが、何故か即決で小竜姫から聞くのを拒否していた。
小竜姫の語る過去は恐らくおキヌの横島に対する不可解な態度の謎を解明することなのだろうと理解するが、何も言わずに雪之丞との問題から守ってくれた横島を裏切るようで第三者から聞こうとは思わなかったのだ。
いつか横島が話してくれるその日まで自分は待ちたいと心から決めている。
「そうですか。 では修行を始めましょうか。」
結局かおりの返答に小竜姫は何も語ることはなかったが、真剣に見つめていた表情が僅かに緩んでいた。
小竜姫も特にかおりを試すつもりはなかったが、現時点で横島に一番近い女性であるかおりがあの問いかけにどう答えるか知りたいとは思った。
令子やおキヌは横島を想い好意も抱いているが、横島を過去も未来も全て受け止める覚悟がないために止まってしまっている。
それはこのまま時が解決するのかもしれないが、時が解決する前に過去を知らないかおりが横島の懐に飛び込みつつある。
若く未熟な二人だけにいろいろ不安もあるものの、かおりは横島と共に生きていく第一関門は突破したのかもしれないと小竜姫は密かに思っていた。
そのまま横島は無責任にもパピリオに引っ付かれてゲームをしようとせがまれゲームを始めてしまうが、物のついでと言わんばかりに小竜姫に修行を見てやって欲しいと言い出す。
「滅相もございません、そんな恐れ多いことを!」
「構いませんよ。 私もゲームとやらはやりませんから。」
しかし本来の妙神山は心技体すべてにおいて己の限界まで修行した歴史に残るような霊能者が、最後の最後に辿り着く場所だとオカルト業界では言われていた。
そんな物のついでに頼んでいいことではないのだからと慌てて謝罪するように頭を下げるかおりだが、小竜姫は横島と同じような軽さであっさりと承諾して修行をすることになる。
「あの、本当によろしいのでしょうか?」
「ええ、横島さんには少なくない借りがありますから。 それに……、横島さんが初めて連れてきた女の人である貴女に私も興味があります。」
さっそく始めようかと小竜姫の案内で異界の修行場に移動するかおりは、初めて見る異界に唖然としながらも未だに自分のような未熟な者が修行を見てもらっていいのかと不安げであった。
だが小竜姫は逆にかおりの実力を見るのを楽しみにしてる様子である。
「横島さんが小竜姫様に借り? それに初めて女性を……?」
「知りたいですか? 貴女が知らない横島さんの過去を。」
修行を始めるに辺りどんな修行をしようかと考える小竜姫だが、かおりは小竜姫が何気に語った言葉が引っ掛かるようで思わず疑問を口に出してしまう。
「いいえ。 せっかくの御好意ですが遠慮させていただきます。 私は横島さんが話してくれるのを待ちたいと思いますから。」
今この瞬間まで柔らかい笑顔を見せていた小竜姫から笑顔が消えて真剣な表情になると、まるでかおりを試すかのように唐突に横島の過去を知りたいかと問いかける。
それはかおりの気持ちを揺さぶるには十分だったが、何故か即決で小竜姫から聞くのを拒否していた。
小竜姫の語る過去は恐らくおキヌの横島に対する不可解な態度の謎を解明することなのだろうと理解するが、何も言わずに雪之丞との問題から守ってくれた横島を裏切るようで第三者から聞こうとは思わなかったのだ。
いつか横島が話してくれるその日まで自分は待ちたいと心から決めている。
「そうですか。 では修行を始めましょうか。」
結局かおりの返答に小竜姫は何も語ることはなかったが、真剣に見つめていた表情が僅かに緩んでいた。
小竜姫も特にかおりを試すつもりはなかったが、現時点で横島に一番近い女性であるかおりがあの問いかけにどう答えるか知りたいとは思った。
令子やおキヌは横島を想い好意も抱いているが、横島を過去も未来も全て受け止める覚悟がないために止まってしまっている。
それはこのまま時が解決するのかもしれないが、時が解決する前に過去を知らないかおりが横島の懐に飛び込みつつある。
若く未熟な二人だけにいろいろ不安もあるものの、かおりは横島と共に生きていく第一関門は突破したのかもしれないと小竜姫は密かに思っていた。