その一
そのまま妙神山に入る横島とかおりは母屋である小竜姫達の生活スペースに案内される。
横島は慣れてるのか勝手知ったる他人の家といった感じに寛ぐが、かおりは当然ながらガチガチに緊張していた。
「驚かせてごめんなさいね。 弓さんの話は横島さんから聞きましたがどんな反応をするのかなと思っただけなんですよ。」
「いえ、私ごときの為にありがとうございます。」
なんというか突然妙神山に連れて来られたかおりは緊張のあまり頭が大混乱しているようであった。
流石に小竜姫も可哀想だと思ったのか謝るが、かおりは何故かありがとうございますとお礼を口にするほどなのだからまだ落ち着いてないらしい。
「そんなに緊張しなくても大丈夫っすよ。 小竜姫様は優しいっすから。」
「横島さんが変なんです!」
「確かに横島さんは横島さんで変ですよね。 初対面で私の帯に手を掛けてましたし。 会うたびに口説いてくるのも横島さんだけですよ。」
小竜姫はなんとなくかおりの気持ちが分かるらしく落ち着くのを優しく見守っているが、横島は緊張感の欠片もない様子で笑って大丈夫だとかおりの緊張を解そうとするがそれが逆にかおりの怒りに火をつける。
目の前に小竜姫が居ることも忘れ横島を睨むと変だと言い切るが、小竜姫がそれに便乗する形で初対面の時の横島の話をするとかおりは信じられないような表情で横島を見つめていた。
「いや~、それは小竜姫様があんまり綺麗だから。 挨拶みたいなもんっすよ。」
「貴方という人は何処まで非常識なんですか!! そんな畏れ多いことを。 ……しかも私には何も言ってくれないのに。」
「へっ? 弓さん迷惑そうに怒るじゃないっすか。 小竜姫様は笑ってくれますけど。」
そのままかおりは緊張が解けたというよりはキレたように横島の非常識さを怒るが、やはり頭が混乱してるのだろう。
自分には全然口説いてくれないのに小竜姫を口説いていたことを口に出して文句を付けてしまった。
一方の横島は横島でかおりと会うようになった最初の頃に完全に否定されたことを割りと真剣に受け止めていて、かおりに気を使って言葉には気を付けていたのだ。
それなのに何で何も言ってくれないと怒るのか全く理解出来なかった。
「そういう問題ではありません!」
「まあまあ、少し落ち着いて下さい。 横島さんに悪気はないんですよ。 今日だって弓さんがいろいろ悩んでるようだからと私の元に連れてきたんですから。」
もう緊張と混乱と怒りでちょっと変になってるかおりに流石に可哀想だと小竜姫は宥めていくと、かおりはようやく落ち着きを取り戻し始めて顔を真っ赤にしてうつ向いてしまう。
仏道を学ぶかおりが仏法の守護者にして武神である小竜姫を前に取り乱してキレたなど末代までの恥だと本気で頭を抱えている。
なんというか怒ったり落ち込んだりと忙しいかおりに横島も少し困った表情をしていた。
ぶっちゃけ横島の周囲では小竜姫にここまで緊張する人は初めてなのだ。
横島としては小竜姫に会わせるとかおりが喜ぶだろうと完全に善意からの行動だったのである。
横島は慣れてるのか勝手知ったる他人の家といった感じに寛ぐが、かおりは当然ながらガチガチに緊張していた。
「驚かせてごめんなさいね。 弓さんの話は横島さんから聞きましたがどんな反応をするのかなと思っただけなんですよ。」
「いえ、私ごときの為にありがとうございます。」
なんというか突然妙神山に連れて来られたかおりは緊張のあまり頭が大混乱しているようであった。
流石に小竜姫も可哀想だと思ったのか謝るが、かおりは何故かありがとうございますとお礼を口にするほどなのだからまだ落ち着いてないらしい。
「そんなに緊張しなくても大丈夫っすよ。 小竜姫様は優しいっすから。」
「横島さんが変なんです!」
「確かに横島さんは横島さんで変ですよね。 初対面で私の帯に手を掛けてましたし。 会うたびに口説いてくるのも横島さんだけですよ。」
小竜姫はなんとなくかおりの気持ちが分かるらしく落ち着くのを優しく見守っているが、横島は緊張感の欠片もない様子で笑って大丈夫だとかおりの緊張を解そうとするがそれが逆にかおりの怒りに火をつける。
目の前に小竜姫が居ることも忘れ横島を睨むと変だと言い切るが、小竜姫がそれに便乗する形で初対面の時の横島の話をするとかおりは信じられないような表情で横島を見つめていた。
「いや~、それは小竜姫様があんまり綺麗だから。 挨拶みたいなもんっすよ。」
「貴方という人は何処まで非常識なんですか!! そんな畏れ多いことを。 ……しかも私には何も言ってくれないのに。」
「へっ? 弓さん迷惑そうに怒るじゃないっすか。 小竜姫様は笑ってくれますけど。」
そのままかおりは緊張が解けたというよりはキレたように横島の非常識さを怒るが、やはり頭が混乱してるのだろう。
自分には全然口説いてくれないのに小竜姫を口説いていたことを口に出して文句を付けてしまった。
一方の横島は横島でかおりと会うようになった最初の頃に完全に否定されたことを割りと真剣に受け止めていて、かおりに気を使って言葉には気を付けていたのだ。
それなのに何で何も言ってくれないと怒るのか全く理解出来なかった。
「そういう問題ではありません!」
「まあまあ、少し落ち着いて下さい。 横島さんに悪気はないんですよ。 今日だって弓さんがいろいろ悩んでるようだからと私の元に連れてきたんですから。」
もう緊張と混乱と怒りでちょっと変になってるかおりに流石に可哀想だと小竜姫は宥めていくと、かおりはようやく落ち着きを取り戻し始めて顔を真っ赤にしてうつ向いてしまう。
仏道を学ぶかおりが仏法の守護者にして武神である小竜姫を前に取り乱してキレたなど末代までの恥だと本気で頭を抱えている。
なんというか怒ったり落ち込んだりと忙しいかおりに横島も少し困った表情をしていた。
ぶっちゃけ横島の周囲では小竜姫にここまで緊張する人は初めてなのだ。
横島としては小竜姫に会わせるとかおりが喜ぶだろうと完全に善意からの行動だったのである。