その一
「お待たせしました。」
「いやいや、全然待ってないっすよ。」
そして約束の日曜になると横島は約束の三十分も前に待ち合わせ場所に来ていた。
正直なところ本当にかおりが来るのか今の今まで半信半疑な部分もあったが、興奮と不安で寝れなかったという言い方が正しいだろう。
まともなデートなど前に小鳩に誘われたデジャブーランド以来であり、あの時は余計なこぶつきだったりキャラクターのメカ故障に巻き込まれたりとあまりいい思い出がない訳だし。
「それでは、いきましょうか?」
季節的に春だということもあってかかおりは爽やかな服を着て来ていて、横島も数少ないよそ行きの服を着て来ている。
今まで雪之丞の件で何度か会ってはいるもののお互いに私服で一緒に歩くとなると妙に意識してしまい、二人の距離は微妙に離れたまま歩くことになってしまう。
「それにしても本当に来てくれたんっすね。 てっきり来ないもんかと。」
「……横島さんの中の私のイメージがいったいどうなってるのか、今度ゆっくり御伺いする必要がありそうですわね。」
とりあえず目的地まで電車に乗る二人だが、あまり会話が弾まない状況に焦ったのか止せばいいのに横島はかおりが来ないかもしれないと思ったと余計なことを口走る。
横島的には軽い冗談のつもりだったのかもしれないが、言われた方は気持ちがいい発言ではない。
「いや~、弓さんがとかいうんじゃなくて普通の女の人ってそんな感じかと。」
横島の知る女性は大概は笑ってくれそうなネタなのだが、予想外に気分を害した様子のかおりに横島は慌ててフォローするも余計どつぼにはまってしまいかおりは呆れた表情でため息をつく。
この時かおりが改めて感じたのは横島の要領の悪さと不器用さだろう。
恐らくこうして日頃から自分を落として笑いを取っていたことは理解するが、度が過ぎると不快感が出てくる。
元々プライドが高いかおりから見ると、プライドを捨ててるような横島のやり方はあまり気持ちがいいものではない。
「美神お姉さまや氷室さんがそんな扱いなのですか?」
「いや具体的な例を上げられると返事に困るんだが。」
加えて女性に対して微妙に偏見があるのは以前から感じてもいた。
会話の節々に出てくる横島の中の一般的な女性はろくな女じゃないと感じたのは一度や二度ではない。
かおり自身も決して誉められた性格でないのは自覚するが、それでもそこまで酷くはないと思う。
そしてここまで来ると気になるのが横島とおキヌや令子の関わりであった。
おキヌに関しては先日の話をした時のことが、かおりとしてはいまいち理解出来ないものがある。
何か訳ありなのは分かるが第三者から見ると普通に横島と話し合えばいいと思うのだ。
なんというか無意味に壁を作ってる気がしてならない。
次に令子に関しては前回の除霊旅行関連で何度か事務所にお邪魔した結果、正直なところ美神事務所全般として横島の地位や待遇の悪さが透けて見えていた。
以前までは憧れの存在だった令子であるが知れば知るほど等身大の令子を見る機会が多く、幻滅とまでは言わないが令子も人の子なのだと実感している。
まあ他人の事務所をとやかく言うつもりはないが、あれだけの実力を持ち日本一とも言われる美神事務所で働きながらも貧乏そうな横島を見てると令子にがっかりしたというのが本音だろう。
GSは実力の世界だという心情があるかおりだけに、特に令子が弟子の実力を正当に評価してないかもしれない現状は残念だった。
例え横島と令子がどれほど信頼関係があっても公私の区別は付けるべきだと思うし、闘竜寺で幼い頃から多くの弟子を指導する父を見てきただけに師匠としての令子の理想と現実は理解できない。
(彼は美神お姉さまや氷室さんに何かを期待してるのでしょうか?)
いろいろな考えが頭をよぎるかおりであるが少し困った様子の横島を見ていると、ふと横島は令子やおキヌに何かを期待してるのかとの疑問が浮かぶ。
決して関係が悪い訳ではないと思うが、なんとなく与えられるモノ以上は何も期待してないのではと思ってしまう。
それは一見すると楽な関係かもしれないが非常に危険ではと思う。
まあ部外者のかおりが口出しする問題ではないが。
「いやいや、全然待ってないっすよ。」
そして約束の日曜になると横島は約束の三十分も前に待ち合わせ場所に来ていた。
正直なところ本当にかおりが来るのか今の今まで半信半疑な部分もあったが、興奮と不安で寝れなかったという言い方が正しいだろう。
まともなデートなど前に小鳩に誘われたデジャブーランド以来であり、あの時は余計なこぶつきだったりキャラクターのメカ故障に巻き込まれたりとあまりいい思い出がない訳だし。
「それでは、いきましょうか?」
季節的に春だということもあってかかおりは爽やかな服を着て来ていて、横島も数少ないよそ行きの服を着て来ている。
今まで雪之丞の件で何度か会ってはいるもののお互いに私服で一緒に歩くとなると妙に意識してしまい、二人の距離は微妙に離れたまま歩くことになってしまう。
「それにしても本当に来てくれたんっすね。 てっきり来ないもんかと。」
「……横島さんの中の私のイメージがいったいどうなってるのか、今度ゆっくり御伺いする必要がありそうですわね。」
とりあえず目的地まで電車に乗る二人だが、あまり会話が弾まない状況に焦ったのか止せばいいのに横島はかおりが来ないかもしれないと思ったと余計なことを口走る。
横島的には軽い冗談のつもりだったのかもしれないが、言われた方は気持ちがいい発言ではない。
「いや~、弓さんがとかいうんじゃなくて普通の女の人ってそんな感じかと。」
横島の知る女性は大概は笑ってくれそうなネタなのだが、予想外に気分を害した様子のかおりに横島は慌ててフォローするも余計どつぼにはまってしまいかおりは呆れた表情でため息をつく。
この時かおりが改めて感じたのは横島の要領の悪さと不器用さだろう。
恐らくこうして日頃から自分を落として笑いを取っていたことは理解するが、度が過ぎると不快感が出てくる。
元々プライドが高いかおりから見ると、プライドを捨ててるような横島のやり方はあまり気持ちがいいものではない。
「美神お姉さまや氷室さんがそんな扱いなのですか?」
「いや具体的な例を上げられると返事に困るんだが。」
加えて女性に対して微妙に偏見があるのは以前から感じてもいた。
会話の節々に出てくる横島の中の一般的な女性はろくな女じゃないと感じたのは一度や二度ではない。
かおり自身も決して誉められた性格でないのは自覚するが、それでもそこまで酷くはないと思う。
そしてここまで来ると気になるのが横島とおキヌや令子の関わりであった。
おキヌに関しては先日の話をした時のことが、かおりとしてはいまいち理解出来ないものがある。
何か訳ありなのは分かるが第三者から見ると普通に横島と話し合えばいいと思うのだ。
なんというか無意味に壁を作ってる気がしてならない。
次に令子に関しては前回の除霊旅行関連で何度か事務所にお邪魔した結果、正直なところ美神事務所全般として横島の地位や待遇の悪さが透けて見えていた。
以前までは憧れの存在だった令子であるが知れば知るほど等身大の令子を見る機会が多く、幻滅とまでは言わないが令子も人の子なのだと実感している。
まあ他人の事務所をとやかく言うつもりはないが、あれだけの実力を持ち日本一とも言われる美神事務所で働きながらも貧乏そうな横島を見てると令子にがっかりしたというのが本音だろう。
GSは実力の世界だという心情があるかおりだけに、特に令子が弟子の実力を正当に評価してないかもしれない現状は残念だった。
例え横島と令子がどれほど信頼関係があっても公私の区別は付けるべきだと思うし、闘竜寺で幼い頃から多くの弟子を指導する父を見てきただけに師匠としての令子の理想と現実は理解できない。
(彼は美神お姉さまや氷室さんに何かを期待してるのでしょうか?)
いろいろな考えが頭をよぎるかおりであるが少し困った様子の横島を見ていると、ふと横島は令子やおキヌに何かを期待してるのかとの疑問が浮かぶ。
決して関係が悪い訳ではないと思うが、なんとなく与えられるモノ以上は何も期待してないのではと思ってしまう。
それは一見すると楽な関係かもしれないが非常に危険ではと思う。
まあ部外者のかおりが口出しする問題ではないが。