その一
そして映画に行った日から二日が過ぎるとかおりは横島から一切連絡がないことに落ち込み始めていた。
普通に考えれば最低限改めて映画のお礼という理由で電話くらいはくれて、その流れで次の約束も出来るだろうと思っていたが横島にそんな理屈が通用するはずがない。
そもそもかおりは自分から映画に誘った時点で自分の気持ちをさりげなく伝えたつもりだったし、相手が普通の男性ならばそれなりに好意はあると理解してくれるはずなのだが。
まあおキヌと横島の関係を見ればある程度こうなるのは予測済だったとはいえ、落ち込まずにはいられなかった。
一方の魔理に関しては相変わらずであるが、しつこいくらい心配するおキヌに根負けしたのか昨日辺りからおキヌに教わり始めたらしい。
相変わらず除霊の報酬は受け取ってないようだが現実問題としてタイガーとて毎日魔理に構ってるほど暇ではなく、かといって教師陣にも基本的には放置されてる魔理が頼れるのはおキヌしかいなかった。
この件に関してはかおりとしては手を貸すべきか悩むが現状では静観しており、令子も言った通り安易に教えることは必ずしも魔理の為にはならないと考えている。
まあヤンキースタイルを改めない限りは霊能者以前に人としてどうなのよとは思うらしい。
「雪之丞のこと分かったぞ。 どうやらオカルト犯罪の組織に関わってるらしい。」
それから更に数日が過ぎかおりはそろそろ自分から横島に連絡をしようと考えていた頃、ようやく横島からの連絡がかおりに入る。
用件はもちろん前回のお礼ではなく雪之丞の件であった。
「犯罪組織ですか?」
本音を言えばかおりは雪之丞の件はあまり気にしてなかったが横島が語る内容には驚きを隠せない。
込み入った話になるからとこの日はカラオケボックスに来ての話になっているが、その話にはいろいろあってかおりでさえ怒ることを忘れてしまう。
「あいつGS免許ないだろ。 だからもぐりの仕事してるみたいなんだけど、その手の仕事はオカルト犯罪の組織とかヤクザとかマフィアが絡んでることが多いんだってさ。 前に組んでた香港の友人がへまして組織に捕まってるらしくって、あいつはその友人を助け出そうとしてるみたいなんだ。」
「ちょっと待って下さい。 それじゃあ……。」
「ああ、俺や弓さんが聞いた話は全部嘘。 あの女の人はその捕まった友人の奥さんだってさ。」
まるで三流の映画のような話にかおりは正直信じられない様子であったが、横島は至って真面目であり幾つかの証拠写真まで見せていた。
結論から言えば雪之丞は万が一の為にかおりを巻き込まないようにと関係を切り、横島にまで嘘をついたとのことである。
「本当に勝手な人ですわね。」
「人のこと言えんけどあいつはヘビーな人生送ってるよ。」
あれほど自分と横島を騒がせた雪之丞の行動の真相は、良くも悪くも雪之丞らしいものだった。
かおりも雪之丞がもぐりのGSであることは以前から気にしており、きちんと免許を取るように何度か言った記憶がある。
もぐりのGSは日本にもそれなりに居て、必ずしも悪とは断言できないが法律では罪になることは確かなのだ。
「そうですか。」
かおりは自分でも冷たい女かもしれないと思うが、これで雪之丞のことを完全に終わらせられると内心でホッとしていた。
まあ本音を言えば最初から素直に話して欲しかったとは思うし、そこまで自分は信用されてなかったのかと考えるとショックではある。
共に戦い背中を任せられるからこそかおりは雪之丞に惹かれたのに、雪之丞は背中を任せてくれなかった。
この事実はかおりにとって雪之丞の存在を完全に終わらせることになってしまう。
普通に考えれば最低限改めて映画のお礼という理由で電話くらいはくれて、その流れで次の約束も出来るだろうと思っていたが横島にそんな理屈が通用するはずがない。
そもそもかおりは自分から映画に誘った時点で自分の気持ちをさりげなく伝えたつもりだったし、相手が普通の男性ならばそれなりに好意はあると理解してくれるはずなのだが。
まあおキヌと横島の関係を見ればある程度こうなるのは予測済だったとはいえ、落ち込まずにはいられなかった。
一方の魔理に関しては相変わらずであるが、しつこいくらい心配するおキヌに根負けしたのか昨日辺りからおキヌに教わり始めたらしい。
相変わらず除霊の報酬は受け取ってないようだが現実問題としてタイガーとて毎日魔理に構ってるほど暇ではなく、かといって教師陣にも基本的には放置されてる魔理が頼れるのはおキヌしかいなかった。
この件に関してはかおりとしては手を貸すべきか悩むが現状では静観しており、令子も言った通り安易に教えることは必ずしも魔理の為にはならないと考えている。
まあヤンキースタイルを改めない限りは霊能者以前に人としてどうなのよとは思うらしい。
「雪之丞のこと分かったぞ。 どうやらオカルト犯罪の組織に関わってるらしい。」
それから更に数日が過ぎかおりはそろそろ自分から横島に連絡をしようと考えていた頃、ようやく横島からの連絡がかおりに入る。
用件はもちろん前回のお礼ではなく雪之丞の件であった。
「犯罪組織ですか?」
本音を言えばかおりは雪之丞の件はあまり気にしてなかったが横島が語る内容には驚きを隠せない。
込み入った話になるからとこの日はカラオケボックスに来ての話になっているが、その話にはいろいろあってかおりでさえ怒ることを忘れてしまう。
「あいつGS免許ないだろ。 だからもぐりの仕事してるみたいなんだけど、その手の仕事はオカルト犯罪の組織とかヤクザとかマフィアが絡んでることが多いんだってさ。 前に組んでた香港の友人がへまして組織に捕まってるらしくって、あいつはその友人を助け出そうとしてるみたいなんだ。」
「ちょっと待って下さい。 それじゃあ……。」
「ああ、俺や弓さんが聞いた話は全部嘘。 あの女の人はその捕まった友人の奥さんだってさ。」
まるで三流の映画のような話にかおりは正直信じられない様子であったが、横島は至って真面目であり幾つかの証拠写真まで見せていた。
結論から言えば雪之丞は万が一の為にかおりを巻き込まないようにと関係を切り、横島にまで嘘をついたとのことである。
「本当に勝手な人ですわね。」
「人のこと言えんけどあいつはヘビーな人生送ってるよ。」
あれほど自分と横島を騒がせた雪之丞の行動の真相は、良くも悪くも雪之丞らしいものだった。
かおりも雪之丞がもぐりのGSであることは以前から気にしており、きちんと免許を取るように何度か言った記憶がある。
もぐりのGSは日本にもそれなりに居て、必ずしも悪とは断言できないが法律では罪になることは確かなのだ。
「そうですか。」
かおりは自分でも冷たい女かもしれないと思うが、これで雪之丞のことを完全に終わらせられると内心でホッとしていた。
まあ本音を言えば最初から素直に話して欲しかったとは思うし、そこまで自分は信用されてなかったのかと考えるとショックではある。
共に戦い背中を任せられるからこそかおりは雪之丞に惹かれたのに、雪之丞は背中を任せてくれなかった。
この事実はかおりにとって雪之丞の存在を完全に終わらせることになってしまう。