その一
結局突き放したような令子の言葉におキヌは説得を自分ですることにして、魔理の報酬は雪之丞とタイガーの報酬と共に令子が当面預かることになる。
そのままこの日は美神事務所で仕事があったので横島は夜遅くまで仕事をして、翌日の放課後にかおりに呼び出された横島はお互い懐が暖かいこともありファーストフードに入っていた。
「まだ揉めてるんか。 おキヌちゃんもよくやるな。」
臨時収入があったとはいえ貧乏性の横島は一番安いセットメニューを頼み食べ始めるが、かおりが今日もおキヌと魔理が報酬の扱いで揉めていたと教えると横島はあまり興味無さげに呆れていた。
「私、氷室さんがあれほど頑固だとは思いませんでしたわ。」
「そんだけ一文字さんが心配なんだろ。」
横島もかおりもおキヌの気持ちが分からんでもないが、それでもおキヌのやり方は些かお節介ではと思ってしまう。
ただ二人とも基本的にそこまで魔理の行く末に興味はないので、かおりもこの話は横島と話をする取っ掛かりに話題に出しただけで終わっていたが。
「あの、実は頂き物の映画のチケットがありまして。 良かったら一緒に行きませんか? いろいろご迷惑をかけましたし。」
その後は先日の除霊旅行の話をしながらファーストフードを食べる横島とかおりだが、かおりは何やら落ち着かない様子で話をしていた。
横島としてはまたなんか悩みがあるのかと思う程度であったのだが、かおりは落ち着かない様子で意を決したように映画のチケットを見せると突然横島を映画に誘う。
「映画を俺と一緒に?」
「檀家の方から頂いたのですが、あいにく一緒に行く相手も居ませんし無駄にするのも勿体ないので。」
それは横島にとって予想もしない提案であり、なんでかおりが自分なんかを映画に誘うのかと普通に不思議そうな顔をしてしまった。
流石に除霊旅行もあって毛嫌いされてはいないようだと気づきはした横島であるが、それでも好かれてるとは全く思ってなく一種の秘密を共有した結果話しやすいだけだろうと思っている。
ちなみに頂き物だと強調する映画のチケットは本当はかおりが自分で買ったものであり、一緒に映画に行きたいと言うと断られるかもしれないとかなり悩んだ結果頂き物ということならば断られないだろうと考えた結果であった。
「そうだ、どうせならピートでも呼ぼうか? その方が弓さんはいいだろうし。」
「いえ、そこまでして頂かなくても。 頂き物ですから!」
なんか様子がおかしいかおりに横島は少し考えてピートを呼んで欲しいとの本音かと勝手に誤解してしまい、すぐに呼ぼうとするがかおりは当然ながら慌ててそれを止める。
これが普通ならば横島は泣いて喜ぶ話ではあるが、おキヌの友達であり少し前まで雪之丞の件で悩んでいた相手なだけに変に気を使った結果だった。
「そうか? 遠慮しなくていいんだが。 まあ俺で良ければ喜んで付き合うよ。 なんかこうしてるとデートみたいだな!」
電話でピートを呼ぼうとしたのを何故か慌てて止めるかおりは普段は決して見れないような困った表情だ。
横島は意味が分からんと首を傾げるも、元々美人なかおりに誘われて嬉しくない訳ではないので喜んで映画に付き合うことになる。
一緒に食事をして映画に行くなどまるでデートみたいだと浮かれる横島に対しかおりは何故か口数が少ないまま表情も硬い。
正直どういう表情をして何と返していいか分からないのがかおりの偽らざる本音だった。
雪之丞とは何度かデートはしたが互いに好きだと言ったこともなければ、デートだと言ったこともない。
何というか口げんかをしながら食事や映画やショッピングをしただけであり、雪之丞もかおりもシャイで不器用なのでそれ以上は何も進展しなかったのだ。
「俺、女の子と二人で映画見るの初めてなんだ。 今日は一生忘れない記念日になるわ。」
一方の横島は基本的に自分とかおりがデートするなどあり得ないと思っているので、逆にデートみたいだと一人舞い上がっていた。
かおりは呆れてるんだろうなとは思うが、美人と映画を見れるだけで雪之丞の件で苦労した甲斐があったと思うようである。
そのままこの日は美神事務所で仕事があったので横島は夜遅くまで仕事をして、翌日の放課後にかおりに呼び出された横島はお互い懐が暖かいこともありファーストフードに入っていた。
「まだ揉めてるんか。 おキヌちゃんもよくやるな。」
臨時収入があったとはいえ貧乏性の横島は一番安いセットメニューを頼み食べ始めるが、かおりが今日もおキヌと魔理が報酬の扱いで揉めていたと教えると横島はあまり興味無さげに呆れていた。
「私、氷室さんがあれほど頑固だとは思いませんでしたわ。」
「そんだけ一文字さんが心配なんだろ。」
横島もかおりもおキヌの気持ちが分からんでもないが、それでもおキヌのやり方は些かお節介ではと思ってしまう。
ただ二人とも基本的にそこまで魔理の行く末に興味はないので、かおりもこの話は横島と話をする取っ掛かりに話題に出しただけで終わっていたが。
「あの、実は頂き物の映画のチケットがありまして。 良かったら一緒に行きませんか? いろいろご迷惑をかけましたし。」
その後は先日の除霊旅行の話をしながらファーストフードを食べる横島とかおりだが、かおりは何やら落ち着かない様子で話をしていた。
横島としてはまたなんか悩みがあるのかと思う程度であったのだが、かおりは落ち着かない様子で意を決したように映画のチケットを見せると突然横島を映画に誘う。
「映画を俺と一緒に?」
「檀家の方から頂いたのですが、あいにく一緒に行く相手も居ませんし無駄にするのも勿体ないので。」
それは横島にとって予想もしない提案であり、なんでかおりが自分なんかを映画に誘うのかと普通に不思議そうな顔をしてしまった。
流石に除霊旅行もあって毛嫌いされてはいないようだと気づきはした横島であるが、それでも好かれてるとは全く思ってなく一種の秘密を共有した結果話しやすいだけだろうと思っている。
ちなみに頂き物だと強調する映画のチケットは本当はかおりが自分で買ったものであり、一緒に映画に行きたいと言うと断られるかもしれないとかなり悩んだ結果頂き物ということならば断られないだろうと考えた結果であった。
「そうだ、どうせならピートでも呼ぼうか? その方が弓さんはいいだろうし。」
「いえ、そこまでして頂かなくても。 頂き物ですから!」
なんか様子がおかしいかおりに横島は少し考えてピートを呼んで欲しいとの本音かと勝手に誤解してしまい、すぐに呼ぼうとするがかおりは当然ながら慌ててそれを止める。
これが普通ならば横島は泣いて喜ぶ話ではあるが、おキヌの友達であり少し前まで雪之丞の件で悩んでいた相手なだけに変に気を使った結果だった。
「そうか? 遠慮しなくていいんだが。 まあ俺で良ければ喜んで付き合うよ。 なんかこうしてるとデートみたいだな!」
電話でピートを呼ぼうとしたのを何故か慌てて止めるかおりは普段は決して見れないような困った表情だ。
横島は意味が分からんと首を傾げるも、元々美人なかおりに誘われて嬉しくない訳ではないので喜んで映画に付き合うことになる。
一緒に食事をして映画に行くなどまるでデートみたいだと浮かれる横島に対しかおりは何故か口数が少ないまま表情も硬い。
正直どういう表情をして何と返していいか分からないのがかおりの偽らざる本音だった。
雪之丞とは何度かデートはしたが互いに好きだと言ったこともなければ、デートだと言ったこともない。
何というか口げんかをしながら食事や映画やショッピングをしただけであり、雪之丞もかおりもシャイで不器用なのでそれ以上は何も進展しなかったのだ。
「俺、女の子と二人で映画見るの初めてなんだ。 今日は一生忘れない記念日になるわ。」
一方の横島は基本的に自分とかおりがデートするなどあり得ないと思っているので、逆にデートみたいだと一人舞い上がっていた。
かおりは呆れてるんだろうなとは思うが、美人と映画を見れるだけで雪之丞の件で苦労した甲斐があったと思うようである。