その一
まあGS業界全体から見ると魔理や雪之丞のように業界の空気や体質が合わない者も相応に存在することも確かだった。
特にGS免許は取得する条件や試験に関して国際的な規格は本当に大まかなもので、実情はそれぞれの国の状況や宗教によってかなり違っているのだ。
日本のGS業界に合わなかったりして居場所が無くなった霊能者が、比較的GS免許取得の条件が甘い東南アジアやアメリカに渡ることも決して珍しいことではない。
それに海外でGS免許を取得して日本で活動するGSもそれなりに存在していて、こちらは日本で新たにGS協会への申請が必要にはなるが犯罪歴などがない限りは認められることが多い。
尤も海外で免許取得したGSは事実上日本では部外者扱いなためにGS協会経由で受けれる仕事に制限があったり、他者との共同での依頼をなかなか受けれないとの弊害もあるが。
まあそれでも海外に夢を見て日本を離れる霊能者は近年増加傾向にあり、その中のごくごく少数はGSになれることも事実ではあった。
正直普通に考えるなら日本で大人しく努力した方がいいのは間違いない。
「昨日依頼人から報酬の振り込みがあったわ。 報酬の七百万から事前に貸した経費を引いておいたわよ。 後は貴女達で分けなさい」
さてそんな話をしていたこの日かおりはおキヌと共に美神事務所を訪れていた。
先日の除霊の報酬が早くも振り込まれており、この日それぞれに受け取れるはずだったのだが魔理とタイガーと雪之丞は来てない。
雪之丞は例によって香港に帰ってしまった為に連絡が取れなくタイガーは仕事で都合がつかなかったのだが、魔理は忙しいからと言って来なかったのだ。
「七人で割って単純計算で六五万か。 これで当分は食費に困らないな」
「うちも先生がそろそろ限界なので助かりますよ」
結果としてこの日集まったのは横島とピートにおキヌとかおりの四人だったが、横島とピートは生活が相当厳しかったらしく臨時収入に心底ほっとしている。
一方のかおりは横島達同じく素直に喜んでいるがおキヌの表情は芳しくない。
「どうしたんだ?」
「それが一文字さんが今になって自分は報酬を要らないって言ったようでして…」
困ったような悩むようなおキヌに横島とピートはまた何かあったのかと興味本位でかおりに事情を尋ねると、かおりはどうやら魔理が報酬を貰わないとおキヌに言ったのだと明かす。
そんなまたもや面倒くさい話になってる魔理に横島は露骨に面倒そうな表情をして、ピートは返答に困ったのか少し渋い表情のまま無言になる。
横島からするとせっかく貰える報酬を拒否する魔理の気持ちが全く分からないし、正直事あるごとに反発する魔理が理解出来ない。
実は先程まで一緒に帰ってきていたかおりは事情をある程度聞いていたのだが、どうやら魔理は自分が足手まといだった事を理由に報酬を不要だと言ったらしい。
「本人が要らないって言うならいいんじゃないの? まあオカルトの勉強はお金が掛かるし黙って貰っておいた方が利口だけど。 横島クンじゃあるまいし足手まといと言っても邪魔になったほどじゃないんでしょ?」
そしてこの日は暇だったのか珍しく横島達の様子を眺めていた令子は、横島同様にせっかく報酬まで上手くいったのに拒否する気持ちがあまり理解出来ないようであった。
まあプライドの問題なのかとおおよその察しは付いていたようだが、それにしてもおキヌや横島達が納得してる報酬を拒否するよりはそのお金でオカルトの参考書や霊具でも買って努力すればいいのにとは思ってしまうようだ。
「なら美神さんからそう言ってあげてくださいよ」
「それはダメだって言ったでしょ。 自分で抱える気のない見習いに口出しはしちゃいけないのよ。 こればっかりは先生やエミでも同じよ」
除霊旅行後の行動といい報酬を拒否した件といい、おキヌの本音は令子に魔理を諭して欲しいらしい。
だが令子はそもそも今回の除霊をおキヌ達に任せたのは気まぐれでしかなく、間違っても弟子にする気がない魔理に余計な口出しはする気がないようである。
特にGS免許は取得する条件や試験に関して国際的な規格は本当に大まかなもので、実情はそれぞれの国の状況や宗教によってかなり違っているのだ。
日本のGS業界に合わなかったりして居場所が無くなった霊能者が、比較的GS免許取得の条件が甘い東南アジアやアメリカに渡ることも決して珍しいことではない。
それに海外でGS免許を取得して日本で活動するGSもそれなりに存在していて、こちらは日本で新たにGS協会への申請が必要にはなるが犯罪歴などがない限りは認められることが多い。
尤も海外で免許取得したGSは事実上日本では部外者扱いなためにGS協会経由で受けれる仕事に制限があったり、他者との共同での依頼をなかなか受けれないとの弊害もあるが。
まあそれでも海外に夢を見て日本を離れる霊能者は近年増加傾向にあり、その中のごくごく少数はGSになれることも事実ではあった。
正直普通に考えるなら日本で大人しく努力した方がいいのは間違いない。
「昨日依頼人から報酬の振り込みがあったわ。 報酬の七百万から事前に貸した経費を引いておいたわよ。 後は貴女達で分けなさい」
さてそんな話をしていたこの日かおりはおキヌと共に美神事務所を訪れていた。
先日の除霊の報酬が早くも振り込まれており、この日それぞれに受け取れるはずだったのだが魔理とタイガーと雪之丞は来てない。
雪之丞は例によって香港に帰ってしまった為に連絡が取れなくタイガーは仕事で都合がつかなかったのだが、魔理は忙しいからと言って来なかったのだ。
「七人で割って単純計算で六五万か。 これで当分は食費に困らないな」
「うちも先生がそろそろ限界なので助かりますよ」
結果としてこの日集まったのは横島とピートにおキヌとかおりの四人だったが、横島とピートは生活が相当厳しかったらしく臨時収入に心底ほっとしている。
一方のかおりは横島達同じく素直に喜んでいるがおキヌの表情は芳しくない。
「どうしたんだ?」
「それが一文字さんが今になって自分は報酬を要らないって言ったようでして…」
困ったような悩むようなおキヌに横島とピートはまた何かあったのかと興味本位でかおりに事情を尋ねると、かおりはどうやら魔理が報酬を貰わないとおキヌに言ったのだと明かす。
そんなまたもや面倒くさい話になってる魔理に横島は露骨に面倒そうな表情をして、ピートは返答に困ったのか少し渋い表情のまま無言になる。
横島からするとせっかく貰える報酬を拒否する魔理の気持ちが全く分からないし、正直事あるごとに反発する魔理が理解出来ない。
実は先程まで一緒に帰ってきていたかおりは事情をある程度聞いていたのだが、どうやら魔理は自分が足手まといだった事を理由に報酬を不要だと言ったらしい。
「本人が要らないって言うならいいんじゃないの? まあオカルトの勉強はお金が掛かるし黙って貰っておいた方が利口だけど。 横島クンじゃあるまいし足手まといと言っても邪魔になったほどじゃないんでしょ?」
そしてこの日は暇だったのか珍しく横島達の様子を眺めていた令子は、横島同様にせっかく報酬まで上手くいったのに拒否する気持ちがあまり理解出来ないようであった。
まあプライドの問題なのかとおおよその察しは付いていたようだが、それにしてもおキヌや横島達が納得してる報酬を拒否するよりはそのお金でオカルトの参考書や霊具でも買って努力すればいいのにとは思ってしまうようだ。
「なら美神さんからそう言ってあげてくださいよ」
「それはダメだって言ったでしょ。 自分で抱える気のない見習いに口出しはしちゃいけないのよ。 こればっかりは先生やエミでも同じよ」
除霊旅行後の行動といい報酬を拒否した件といい、おキヌの本音は令子に魔理を諭して欲しいらしい。
だが令子はそもそも今回の除霊をおキヌ達に任せたのは気まぐれでしかなく、間違っても弟子にする気がない魔理に余計な口出しはする気がないようである。