その一

「よう、そっちはどうだ?」

「こっちは終わったぜ」

その後除霊が終了するまでには、二時間ほどの時間がかかって終わっている。

今回は何よりゴミが邪魔だったのは言うまでもない。

横島とかおりは二階の一番奥の部屋で雪之丞達と合流したが、最終的に建物内は横島達と雪之丞達だけでほとんど除霊していた。

おキヌ達は横島同様にゴミを寄せて足場を確保しながら室内の除霊に参加してはいたが、おキヌ達が一階に足を踏み入れた時は主だった悪霊は横島達や雪之丞達に除霊された後だったので、時折横島達や雪之丞達から逃げて来る悪霊を除霊する程度で終わっている。


「しかし、このゴミには参ったな。 除霊どころじゃなかったよ」

「早いうちに片付けてもらうようにお願いしないとダメですね」

除霊自体は数が多い割には悪霊の質は低く弱いので苦戦はしなかったが、やはり問題だったのはゴミの山であった。

このあと横島達は土地と建物の浄化をしなければならないが、流石にゴミの片付けは仕事の範囲外だった。

ただこのゴミを放置すると霊的な環境が再び悪化する恐れもあるので、早いうちに片付けをするように依頼人に話さなければならない。



「終わったんですか?」

「ええ、除霊は全て終えましたわ」

合流した横島達はそのままおキヌ達とも合流して一端建物の外に出て休憩をすることになるが、おキヌはともかく魔理を庇い続けたタイガーと魔理自身はかすり傷が多数ある姿での合流となっていた。

結局魔理は弱い悪霊に対応出来ぬまま今回の除霊を終えたらしい。

横島達があらかた片付けた後なので大きな怪我や失敗はなかったが、ゴミが大量に散乱する室内では自慢の木刀は満足に使えなかったのだ。

魔理は霊波砲も一応使えるが建物が古く下手に壊すと倒壊の恐れもあるのでおキヌに禁止された為、彼女はお札と素手で悪霊を殴るしかなかった。

その結果彼女は自分の長所を全く発揮出来ぬままに終わったが、初の実戦だと考えればそんなもんだろう。


ただあちこちかすり傷を受けた魔理と対称的に無傷の横島達やおキヌの姿に、魔理は実力を発揮出来ない自分に苛立ちと屈辱感を味わっている。

まともに対応さえ出来ればかおりや横島には負けないのにとの悔しさもあった。

まあ実際の現場において自分に不利な状況は良くあるし、GSならばそれに対応しなければならないとおキヌに言われると魔理は返す言葉もなかったが。


「一文字さんは休んでて構いませんわ。 建物と土地の浄化は私達でやります」

休憩後一同はこの後の方針を話し合うが、かおりが魔理の疲労を考えてこの後は休憩してるように言うと魔理は不満そうな表情を見せる。


「アタシは大丈夫だよ」

「大丈夫と言われましても、貴女ほとんど霊力残ってませんわよ。 それに土地や建物の浄化が必要な場所、貴女解らないでしょう?」

一人だけ休んでていいと言われた魔理は実力不足だと言われたようでムキになるが、かおりは魔理の残りの霊力やこの後の作業に不向きなことを理由として告げた。

実は建物や土地の浄化は明確な規準がある訳ではなく、GS本人の独自の判断で行われることがほとんどである。

六道女学院では基本的な規準を教えてはいるが、戦闘以外ほとんど授業を流してる魔理に出来るとは思えなかった。

かおりとしては邪魔だと言わないだけ気を使ってはいたが、あからさまに戦力外扱いされると反発してしまうらしい。



41/100ページ
スキ