その一
その後魔理が雪之丞やピートと一度戦ってみたいとこぼすが、雪之丞は無視してしまいピートは明日に響くからとやんわりと断ってしまう。
実際戦って相手の実力を知るのは決して悪い選択肢ではない。
ただ雪之丞は特攻服の件で関わる気がないらしいし、ピートもタイガーの彼女である魔理の扱いには慎重になっていた。
そもそもピートと魔理では実力が違い過ぎるし、下手に実力差を理解見せれば魔理が霊能者として潰れる可能性もあると心配している。
本人はあまり理解してないが、現状の魔理の霊力はGS試験の一次試験で最初に落ちるレベルでしかない。
戦い以前に霊力の基礎修行に励まなければならない時期だけに、余計な刺激を与えて魔理が潰れても責任が取れないのだ。
「どうしますか?」
「いつも通りやっていいよ。 俺も弓さんの邪魔にならないようにやるからさ」
さて旅館に戻った一同は話し合いをするが、基本的にはオーソドックスに除霊するというだけである。
三組で囲むように除霊をしていき、悪霊が逃げないようにするだけだった。
慎重を期して悪霊を結界で封じ込めるという案も出たが、旅館のような大きな建物とその周囲の敷地を封じ込るには費用が嵩むので却下となっている。
文珠で結界を張るという手もあったが、それは最終手段としてとりあえずは普通に除霊することに決まった。
後は明日一緒に組む相手と連携を個別に確認するだけになったので横島とかおりは横島達の部屋で二人で話をしていたが、特に確認するような内容もなく横島はかおりの好きなようにやらせるつもりらしい。
横島とすれば細かい作戦や連携を考えるよりは、相手に合わせた方が楽なのだろう。
「問題は氷室さんと一文字さんですわね」
「おキヌちゃんに任せとけば大丈夫だって」
若干いい加減にも見える横島に対しかおりも臨機応変にやれば問題ないと判断して連携の話はすぐに終わるが、彼女が心配なのはおキヌと魔理らしい。
ただ横島はこちらも結構楽観的で、おキヌならば大丈夫だと思っている。
まあ元々横島とおキヌは戦う力などまるでない時代から一緒だっただけに、危なくなったらおキヌが無理矢理にでも魔理を引っ張っていくと理解してるからなのだが。
「そういえば雪之丞の件だけどさ、今回は言わない方がいいかもしれん」
楽観的で適当に流してもいるようだった横島だが、声を小さくすると突然何の前置きもなく今回予定していた雪之丞との別れの公表を待った方がいいと言い出す。
「えっ!?」
「なんか違和感があるんだよな。 雪之丞にもあの彼女にも……」
今までかおりは横島と何度かこの件について話したが、かおりからするとこの期に及んで降り出しに戻す意味が分からない。
ただ横島は何かを感じていたようだった。
「まあ特に理由がある訳じゃないから判断は任せるけどさ」
「霊能者の勘は決して無視できませんわよ」
「うーん、もう少し待ってくれれば知り合いに調べて貰ってもいいけど」
突然の話に困惑するかおりだが、霊能者としてかおりは横島の高い霊能力からくる勘を無視することは出来なかった。
加えて今回は魔理の件でお世辞にも話しやすい雰囲気とは言い難いとの事情もある。
どのみち今日話さなければならないとの事情がある訳でもなく、結局かおりは横島のアドバイス通り今回は無理に公表しない方向で考えることにした。
実際戦って相手の実力を知るのは決して悪い選択肢ではない。
ただ雪之丞は特攻服の件で関わる気がないらしいし、ピートもタイガーの彼女である魔理の扱いには慎重になっていた。
そもそもピートと魔理では実力が違い過ぎるし、下手に実力差を理解見せれば魔理が霊能者として潰れる可能性もあると心配している。
本人はあまり理解してないが、現状の魔理の霊力はGS試験の一次試験で最初に落ちるレベルでしかない。
戦い以前に霊力の基礎修行に励まなければならない時期だけに、余計な刺激を与えて魔理が潰れても責任が取れないのだ。
「どうしますか?」
「いつも通りやっていいよ。 俺も弓さんの邪魔にならないようにやるからさ」
さて旅館に戻った一同は話し合いをするが、基本的にはオーソドックスに除霊するというだけである。
三組で囲むように除霊をしていき、悪霊が逃げないようにするだけだった。
慎重を期して悪霊を結界で封じ込めるという案も出たが、旅館のような大きな建物とその周囲の敷地を封じ込るには費用が嵩むので却下となっている。
文珠で結界を張るという手もあったが、それは最終手段としてとりあえずは普通に除霊することに決まった。
後は明日一緒に組む相手と連携を個別に確認するだけになったので横島とかおりは横島達の部屋で二人で話をしていたが、特に確認するような内容もなく横島はかおりの好きなようにやらせるつもりらしい。
横島とすれば細かい作戦や連携を考えるよりは、相手に合わせた方が楽なのだろう。
「問題は氷室さんと一文字さんですわね」
「おキヌちゃんに任せとけば大丈夫だって」
若干いい加減にも見える横島に対しかおりも臨機応変にやれば問題ないと判断して連携の話はすぐに終わるが、彼女が心配なのはおキヌと魔理らしい。
ただ横島はこちらも結構楽観的で、おキヌならば大丈夫だと思っている。
まあ元々横島とおキヌは戦う力などまるでない時代から一緒だっただけに、危なくなったらおキヌが無理矢理にでも魔理を引っ張っていくと理解してるからなのだが。
「そういえば雪之丞の件だけどさ、今回は言わない方がいいかもしれん」
楽観的で適当に流してもいるようだった横島だが、声を小さくすると突然何の前置きもなく今回予定していた雪之丞との別れの公表を待った方がいいと言い出す。
「えっ!?」
「なんか違和感があるんだよな。 雪之丞にもあの彼女にも……」
今までかおりは横島と何度かこの件について話したが、かおりからするとこの期に及んで降り出しに戻す意味が分からない。
ただ横島は何かを感じていたようだった。
「まあ特に理由がある訳じゃないから判断は任せるけどさ」
「霊能者の勘は決して無視できませんわよ」
「うーん、もう少し待ってくれれば知り合いに調べて貰ってもいいけど」
突然の話に困惑するかおりだが、霊能者としてかおりは横島の高い霊能力からくる勘を無視することは出来なかった。
加えて今回は魔理の件でお世辞にも話しやすい雰囲気とは言い難いとの事情もある。
どのみち今日話さなければならないとの事情がある訳でもなく、結局かおりは横島のアドバイス通り今回は無理に公表しない方向で考えることにした。