その一
それから数日は横島にとって厄日のような日々が続いていく。
どうもあの日の横島とかおりのやり取りを見ていた人々の中に横島の学校の生徒や六道女学院の生徒がいたらしく、横島が街でかおりに何かをしでかしたとの噂が広まったのだ。
その結果横島は学校では笑い者にされ吊るし上げられるし、美神事務所では令子にシバかれおキヌに冷たくされるなど散々だった。
いつもは割と味方をしてくれるタイガーやピートまで横島を冷たい視線で見ていたのは、伝わった情報が横島とかおりの件だけであり雪之丞の件が全く伝わってないからだろう。
友人の彼女にちょっかいを出したとなると味方になる者はいなかった。
一方のかおりの方は横島に何かちょっかいを出されたと噂された為、おキヌや魔理を含めたクラスメートは同情的だった。
彼女自身は横島の件は一切何も語らないため、周りはそれだけ怒っているのだろうと解釈していたが。
(何故こんなことに……)
そんな横島の件が予想外に大きな噂になったことで、実は一番戸惑っていたのはかおり本人だった。
あれから数日が過ぎて横島に怒りを爆発したことがよかったのか、はたまた文珠が効いたのかは分からないがかおりは冷静さを取り戻している。
冷静になると横島に悪いことをしたと思い謝りに行こうかと悩んでいた時に、噂が広まってしまったのだ。
本来ならばすぐに噂を否定して真実を語るべきなのだろうが、雪之丞の件をクラスメートやおキヌ達には知られたくなかった。
少なくともクラスメートには、恋人に浮気をされ寝取られたなど絶対に知られたくない。
その結果何も言えぬまま数日が過ぎてしまい、噂は事実として定着してしまった。
(氷室さんにもまだ伝わってないんですのね)
そんな横島の噂も問題だったが、かおりは雪之丞の件を今だにおキヌですら知らない現状にも少々驚いている。
正直かおりからすると横島がおキヌには早々に真実を語って弁明するかと思ったのだが、どうやら横島も口をつぐんだらしいのだ。
おキヌの話では学校や美神事務所では横島が相当責められてると聞くとかおりは胸が痛む。
(何故真実を語らないのでしょう?)
雪之丞の件はいずれおキヌ達には伝わるだろう。
ならばその前に自分から言うべきかとも考えるが、かおりはその前に横島が口をつぐんだ理由を知る為に横島に会いに行こうと決める。
その後その日横島がバイトを終えて美神事務所を後にしたのは夜の九時過ぎだった。
いつもならば夕食をご馳走になって帰るのだが、かおりの件以来おキヌの機嫌が直ってなくこの日も仕事が終わると早々に帰されてしまう。
「あの……横島さん」
「あれ? 弓さん。 美神さんとこ行くのか? 今なら美神さんもおキヌちゃんも居るぞ」
事務所を出た横島はアパートに帰る為に最寄りの駅へと歩くが、駅に到着すると突然かおりに声をかけられて驚く。
しかし何か言いたそうなかおりに横島は美神事務所に用事でもあるのかと考えて、今ならば大丈夫だと教えるがかおりは違うとばかりに首をふる。
「ああ、あの件か? 俺からは誰にも言ってないから心配しなくていいぞ。 雪之丞にも口止めしておいたしな。 おキヌちゃん達には心の整理が着いたら自分で話せばいい」
あの日と違い冷静さを取り戻したかおりに横島は少しホッとしつつ、雪之丞の件は大丈夫だからと告げるがかおりはそんな横島を信じられないように見つめていた。
どうもあの日の横島とかおりのやり取りを見ていた人々の中に横島の学校の生徒や六道女学院の生徒がいたらしく、横島が街でかおりに何かをしでかしたとの噂が広まったのだ。
その結果横島は学校では笑い者にされ吊るし上げられるし、美神事務所では令子にシバかれおキヌに冷たくされるなど散々だった。
いつもは割と味方をしてくれるタイガーやピートまで横島を冷たい視線で見ていたのは、伝わった情報が横島とかおりの件だけであり雪之丞の件が全く伝わってないからだろう。
友人の彼女にちょっかいを出したとなると味方になる者はいなかった。
一方のかおりの方は横島に何かちょっかいを出されたと噂された為、おキヌや魔理を含めたクラスメートは同情的だった。
彼女自身は横島の件は一切何も語らないため、周りはそれだけ怒っているのだろうと解釈していたが。
(何故こんなことに……)
そんな横島の件が予想外に大きな噂になったことで、実は一番戸惑っていたのはかおり本人だった。
あれから数日が過ぎて横島に怒りを爆発したことがよかったのか、はたまた文珠が効いたのかは分からないがかおりは冷静さを取り戻している。
冷静になると横島に悪いことをしたと思い謝りに行こうかと悩んでいた時に、噂が広まってしまったのだ。
本来ならばすぐに噂を否定して真実を語るべきなのだろうが、雪之丞の件をクラスメートやおキヌ達には知られたくなかった。
少なくともクラスメートには、恋人に浮気をされ寝取られたなど絶対に知られたくない。
その結果何も言えぬまま数日が過ぎてしまい、噂は事実として定着してしまった。
(氷室さんにもまだ伝わってないんですのね)
そんな横島の噂も問題だったが、かおりは雪之丞の件を今だにおキヌですら知らない現状にも少々驚いている。
正直かおりからすると横島がおキヌには早々に真実を語って弁明するかと思ったのだが、どうやら横島も口をつぐんだらしいのだ。
おキヌの話では学校や美神事務所では横島が相当責められてると聞くとかおりは胸が痛む。
(何故真実を語らないのでしょう?)
雪之丞の件はいずれおキヌ達には伝わるだろう。
ならばその前に自分から言うべきかとも考えるが、かおりはその前に横島が口をつぐんだ理由を知る為に横島に会いに行こうと決める。
その後その日横島がバイトを終えて美神事務所を後にしたのは夜の九時過ぎだった。
いつもならば夕食をご馳走になって帰るのだが、かおりの件以来おキヌの機嫌が直ってなくこの日も仕事が終わると早々に帰されてしまう。
「あの……横島さん」
「あれ? 弓さん。 美神さんとこ行くのか? 今なら美神さんもおキヌちゃんも居るぞ」
事務所を出た横島はアパートに帰る為に最寄りの駅へと歩くが、駅に到着すると突然かおりに声をかけられて驚く。
しかし何か言いたそうなかおりに横島は美神事務所に用事でもあるのかと考えて、今ならば大丈夫だと教えるがかおりは違うとばかりに首をふる。
「ああ、あの件か? 俺からは誰にも言ってないから心配しなくていいぞ。 雪之丞にも口止めしておいたしな。 おキヌちゃん達には心の整理が着いたら自分で話せばいい」
あの日と違い冷静さを取り戻したかおりに横島は少しホッとしつつ、雪之丞の件は大丈夫だからと告げるがかおりはそんな横島を信じられないように見つめていた。