その一

方針や組分けが決まると現場へ向かうことになるが、仕事に入る前に着替えて来たおキヌ達の姿にピート達や近くに居た旅館の従業員は固まってしまう。

おキヌとかおりは六道女学院の制服に着替えて来たので問題ないが、魔理は例によって霊衣にしてる特攻服である。

木刀を持つその姿は喧嘩に行くヤンキーそのものであった。

おキヌはピートや従業員の人の固まった様子に気付いてないようで、かおりは我関せずと言わんばかりに無関係だからとのオーラを出している。

ピートは思わず横島に視線を向けるが、横島は無理だと言わんばかりにピートから視線を逸らした。


「じゃあ現場までお願いします」

まるで時が止まったかのような重苦しい空気になるが、横島は魔理の問題をスルーしたまま従業員の人に現場まで送って貰うように頭を下げる。

現在横島達がいる温泉旅館から現場である旧館までは、車で十分近くかかり旧館は漁村の集落の近くにあるらしい。

従業員の人も横島の態度から魔理に関して触れるのは止めようと決めたらしく、見なかったことにして送迎用のマイクロバスで一行を現場まで送ってくれた。



「本当にあの服で除霊するんだな」

現場に到着すると横島はおキヌとかおりを連れて早々に近所に挨拶に向かうが、ピート達から離れると思わず本音をこぼしてしまう。


「えっ、カッコイイじゃないですか」

横島の思わぬ本音におキヌは真顔でカッコイイと言い切るが、横島とかおりはおキヌが天然なのだと痛感する。


「恐らく一文字さんは調査についての基礎を覚えてないのだと思います。 対人戦闘以外は苦手な人ですから」

「まあ、タイガーとピートがなんとかするだろ」

天然さを発揮するおキヌに横島とかおりは何とも言えない表情をするが、かおりはそこを追求しても無駄だろうと魔理が特攻服を来てきた理由を語る。

横島もかおりもいろいろ問題になりそうな気はしたが、横島は魔理の件はタイガーとピートに丸投げして関わる気はないし、かおりも反発されるのが分かっているのでフォローする気はないらしい。

まあかおりは友人として今回学べば分かるだろうとは思っているが。


「そういえば横島さんと弓さん、最近よく話しますよね」

そんな魔理の件について話をする横島とかおりだが、一緒に居るおキヌは二人が自然に会話する姿に少し驚いていた。

二人が会話するのは少し前の話し合いの時からよく見掛けたが、よくよく見てみると自然な感じで会話する二人の姿が不思議に感じたらしい。

かおりは横島との関係を隠すことを半ば止めてしまったので、おキヌが気付くのは当然なのだが。


「ええ、見た目と違い内面はいい人のようですから」

「そうなんです、横島さん誤解されやすいんですよ。 一文字さんにも分かって欲しいんですけど」

「それは難しいかも知れませんわね」

おキヌの何気ない言葉から話の内容は魔理から横島に変わるが、見た目と違い内面はいい人だと言われた横島は苦笑いを浮かべていた。

かおりと雪之丞との別れの問題で相談に乗っていただけに、前よりは嫌われてないのかなとも感じたが見た目と違いと言われると素直に落ち込んでしまう。


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