その三

「貴様ら霊媒師か? 某を成仏させたくば戦って勝ってみよ!」

除霊現場に辿り着いた横島達を出迎えたのはかなり古い時代の甲冑を来た鎧武者だった。

恐らく室町か鎌倉時代の物だろう。

流石に数百年もさ迷っていた訳ではないようで、霊体もかつてのおキヌのようにはっきりはしてない。

何処かに封じられでもした者が何かの拍子に現れたのだと思われる相手だ。


「最初はアタシからだ!」

「おなごか? 某、おなごとは戦わね。他の者にせよ。」

「ふざけんじゃないよ!」

「某は武士でござる。おなごとは戦えぬ。」

GSチームの先手は魔理だったが、ここで鎧武者はなんと女は戦えないと拒否をすると魔理は激怒して二人は言い争いを始める。


「今はそんな時代じゃない!」

「某は男と真剣勝負がしたいのだ!」

なまじ意識が確かで話が通じるだけに不毛な言い争いをする魔理と鎧武者だが、拒否される以上はどうしようもなく次のタイガーに出番が回る。


「ワッシの出番ジャー!」

しかしここの除霊に他のGSが躊躇したのは理由があり、タイガーはやる気を見せるものの、いざ勝負となってもなかなか動くことが出来ない。


「文化財ですものね。」

「壊したら違約金だからな。」

実は鎧武者は古民家の中に居て勝負をと望むが、古民家は文化財なので土足厳禁だし壊したら違約金があるのだ。

流石に依頼料よりは高くないが、実質的なタダ働きになる可能性が高い。


「なあ、あんた。 外に出られないのか?」

「うむ。 某どういう訳か外に出られなくての。」

鎧武者は刀を抜き構えるが、タイガーは壊さないように壊さないようにと考えてるもんだから峰打ちであっさり負けた。

かおりと横島はこの依頼がかなり面倒で厄介な依頼だと理解して鎧武者と話をするが、鎧武者の方も出られないと言われるとため息を溢した。

令子の依頼にしては意地悪な依頼だが、まあ現場を壊したら違約金と言うのもよくあるタイプな依頼だった。

まあ厄介な依頼の分報酬は高いのだが。


「なあ。 なんとかならねえか? これじゃ戦えねえぜ?」

「仕方ありませんわね。 貴方。 そこから出られるようにしますから、次の勝負に勝っても負けても成仏なさい。」

「うむ。 某は好敵手と真剣勝負がしたいのでござるが。」

「ならずっとそこに居なさい。 誰も来ないですわよ。」

「うむむ。 仕方ないでござるな。 その条件で引き受けるでござる。」

最後に雪之丞の番になるが、当然ながら室内では戦えず雪之丞はかおりになんとかならないかと頼む。

流石にかおりも無駄足になるのは嫌なのか鎧武者と交渉して、最後の真剣勝負の条件を変えることに成功する。


「貴方達も覚えて起きなさい。 あの幽霊は何かしらの理由でこの屋敷に括られています。 恐らく生前に何かしらの縁なり繋がりがあったのでしょう。 GSはそんな幽霊を解放することも必要なんですわ。」

鎧武者が古民家から出られない理由は、古民家に括られているかららしい。

かおりは雪之丞やタイガー達にそれを説明しつつ、呪文を唱えて鎧武者を古民家から解放してやった。


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