その三
「あんたの彼女にしてはえらく真面目ね。 いいわ。 気に入ったわ。」
「はい?」
「自分の意思としっかりした考えがあって、それをちゃんと言える。 出来るようでなかなか出来ないわ。」
親子ゲンカを口を挟むべきではないと考えつつも介入したかおりは申し訳なさげにしていたが、そんなかおりに満面の笑みを見せて気に入ったと突然言い出した百合子にかおりは言葉が出ない。
ただ百合子からすると中途半端な関係に甘えていた令子や何も言えないおキヌよりは、遥かに評価するというか彼女好みだった。
「あー、結局何しに帰ってきたんだ?」
「父さん春から大阪勤務になるから帰国したのよ」
「はあ!?」
しかも横島家ではあの程度の喧嘩など日常茶飯事なため、百合子と横島は慣れた様子であっさりと喧嘩など忘れたかのように話を変えている。
かおりからするとさっきの険悪な空気はなんだったのかと理解できないが、横島は横島で両親が本格的に帰国したことを今更知らされて驚いていた。
「じゃあ親父も帰国したのか?」
「ええ。 今頃会社よ。 私達は今夜の新幹線で大阪にいくわ。」
「なんだ。 良かった。」
「忠夫。 人様のお嬢さんと付き合う以上中途半端は許さないからね。」
「そう言うのは親父に言えよ。」
その後も話は続くが横島と百合子が合わないのは変わりなく時々にらみ合いをして険悪になるが、流石にもうかおりは口を挟まずに途中だった料理に戻る。
変わり身の早い二人に正直かおりはついて行けなかった。
「弓さんもダメなら捨てていいから。」
「私は失敗しても間違っても、一緒に笑えて乗り越えられる横島さんと一緒に居たいので捨てるなど考えてませんわ。」
料理も一段落して喧嘩したり普通に話したりする親子を静かに見ていると、百合子は相変わらず子供にしか見えぬ息子に少し疲れた表情を見せながら、かおりにも声をかけるが彼女はやはり真剣に答えるしか出来ない。
「そう。 その若さでしっかりしてるわね。 でも妊娠は気を付けてね。 GSになるのでも高校は卒業しなきゃだめよ。」
「ちょちょっと!」
「はい。 ありがとうございます。」
軽い冗談で返してもいいような言葉にも真剣に答えたかおりに、百合子は息子のには勿体ないと思いつつ妊娠だけは釘を刺す。
まあ息子の様子からすでに一線を越えたのは当然気付いていたしヤるなとも別れろともいう気はないが、やはり若いだけに妊娠だけは心配らしい。
突然母親に妊娠などと言われて横島は慌ててしまうが、かおりはそれすら否定せず返事をしてしまい横島を唖然とさせる。
「ご両親には早めに挨拶した方がいいかしら?」
「母は理解してくれてるので、いずれ機会があればで構いません。」
「そう。 困った子だけどよろしくね。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
今一つ役に立たぬ横島を放置して百合子はかおりと必要な話をすると、最後にはお互いにきちんと挨拶をして百合子は帰っていった。
「はい?」
「自分の意思としっかりした考えがあって、それをちゃんと言える。 出来るようでなかなか出来ないわ。」
親子ゲンカを口を挟むべきではないと考えつつも介入したかおりは申し訳なさげにしていたが、そんなかおりに満面の笑みを見せて気に入ったと突然言い出した百合子にかおりは言葉が出ない。
ただ百合子からすると中途半端な関係に甘えていた令子や何も言えないおキヌよりは、遥かに評価するというか彼女好みだった。
「あー、結局何しに帰ってきたんだ?」
「父さん春から大阪勤務になるから帰国したのよ」
「はあ!?」
しかも横島家ではあの程度の喧嘩など日常茶飯事なため、百合子と横島は慣れた様子であっさりと喧嘩など忘れたかのように話を変えている。
かおりからするとさっきの険悪な空気はなんだったのかと理解できないが、横島は横島で両親が本格的に帰国したことを今更知らされて驚いていた。
「じゃあ親父も帰国したのか?」
「ええ。 今頃会社よ。 私達は今夜の新幹線で大阪にいくわ。」
「なんだ。 良かった。」
「忠夫。 人様のお嬢さんと付き合う以上中途半端は許さないからね。」
「そう言うのは親父に言えよ。」
その後も話は続くが横島と百合子が合わないのは変わりなく時々にらみ合いをして険悪になるが、流石にもうかおりは口を挟まずに途中だった料理に戻る。
変わり身の早い二人に正直かおりはついて行けなかった。
「弓さんもダメなら捨てていいから。」
「私は失敗しても間違っても、一緒に笑えて乗り越えられる横島さんと一緒に居たいので捨てるなど考えてませんわ。」
料理も一段落して喧嘩したり普通に話したりする親子を静かに見ていると、百合子は相変わらず子供にしか見えぬ息子に少し疲れた表情を見せながら、かおりにも声をかけるが彼女はやはり真剣に答えるしか出来ない。
「そう。 その若さでしっかりしてるわね。 でも妊娠は気を付けてね。 GSになるのでも高校は卒業しなきゃだめよ。」
「ちょちょっと!」
「はい。 ありがとうございます。」
軽い冗談で返してもいいような言葉にも真剣に答えたかおりに、百合子は息子のには勿体ないと思いつつ妊娠だけは釘を刺す。
まあ息子の様子からすでに一線を越えたのは当然気付いていたしヤるなとも別れろともいう気はないが、やはり若いだけに妊娠だけは心配らしい。
突然母親に妊娠などと言われて横島は慌ててしまうが、かおりはそれすら否定せず返事をしてしまい横島を唖然とさせる。
「ご両親には早めに挨拶した方がいいかしら?」
「母は理解してくれてるので、いずれ機会があればで構いません。」
「そう。 困った子だけどよろしくね。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
今一つ役に立たぬ横島を放置して百合子はかおりと必要な話をすると、最後にはお互いにきちんと挨拶をして百合子は帰っていった。