その三
三月も下旬に差し掛かると六道女学院は春休みに突入し横島の新生活も落ち着き始めていた。
「よう。 随分いいとこ住んでるじゃねえか。」
そんなこの日ふらりと横島の部屋に現れたのは数ヵ月音信不通だった雪之丞であった。
雪之丞は前のアパートに行ったらしく小鳩に新しい部屋を聞いて来たらしい。
「霊障物件だからな。 美神さんの信用貸しみたいなもんだよ。」
「なんだ。 相変わらず貧乏なのか。」
大理石の床や広い部屋に雪之丞は驚きながらリビングに入るが、この時横島とかおりはちょうどおやつにとパンの耳を油で揚げて砂糖をまぶしたおやつを食べていたためそれを見た雪之丞は少し誤解してしまう。
「いや、生活費に困るほどじゃないぞ。」
「それでそんなもん食ってんのか?」
「近所の高そうなパン屋であったんだよ。 美味いぞ。」
客観的に見て貧乏くさいというかお世辞にも生活に余裕があるように見えず部屋の割に貧乏なのかと誤解したらしいが、横島は以前の食生活から近所にパン屋を見つけた際につい買ってしまったのでかおりがおやつにと揚げただけなのだ。
ちなみに横島はパン屋の店員に受験に失敗した苦学生に間違われていたりするが。
「ならなんか食わせてくれねえか?」
「全く。 貴方という人は……。」
相変わらず突然現れて当たり前のように飯をたかりに来た雪之丞に横島とかおりは苦笑いを浮かべたが、最早過去の問題を気にもしてないかおりは文句を言いつつ雪之丞に有り合わせの材料でチャーハンと野菜入りのインスタントラーメンを作ってやる。
対する雪之丞の方も過去に踏ん切りを付けたらしく堂々とかおりの作った料理を食べていく。
「で? 飯をたかりに来たのか? 厄介ごとなら要らんぞ。」
「いや。 神父のとこで来月のGS試験受けることにしたからその報告をな。」
「へ~。 良かったじゃんか。 お前なら確実にうかるだろ。」
まさかまた厄介ごとかと横島は少し警戒するが、雪之丞の用件は唐巣の弟子としてGS試験を受けるという報告だった。
もっと早くしてればかおりとの関係もと横島は思うが流石に口に出すほど愚かではないし、ある意味あの時の件やかおりの件が無ければ雪之丞はGSを再び目指そうとは思わなかったのかもしれないとも思う。
「試験はな。 ただ見習い卒業にはもう少しまともな経験と勉強しろと言われたよ。」
「当然ですわね。 貴方の魔装術や霊波砲は強力過ぎて使いどころが難しいですから。 貴方が好む戦いなど滅多にありませんわ。」
「それも言われたよ。 ただ神父のとこだと生活出来ないらしくってな。 お前らまだ一緒に除霊してんだろ? 混ぜてくれよ。」
「俺と弓さんは構わんがあれ美神さんが回してる仕事をおキヌちゃんが魔理さんの為にやってるからな。 美神さん達に頼まんとどうにも。」
ただ雪之丞の性格上わざわざ報告だけをしにくるはずもなく、どうやらおキヌ達と今も時々続けている共同除霊に参加して生活費を稼ぎたいのでそれを頼みに来たのが本題らしい。
「ああ。 このあと行くつもりだ。 その前にお前らとタイガー達に話を通して許可を得ようと思ってな。」
結局雪之丞はお代わりまでして腹一杯飯を食って帰るが、かおりも横島も雪之丞が前を向いてGSをやるという話には素直にホッとしているのが本音だった。
「よう。 随分いいとこ住んでるじゃねえか。」
そんなこの日ふらりと横島の部屋に現れたのは数ヵ月音信不通だった雪之丞であった。
雪之丞は前のアパートに行ったらしく小鳩に新しい部屋を聞いて来たらしい。
「霊障物件だからな。 美神さんの信用貸しみたいなもんだよ。」
「なんだ。 相変わらず貧乏なのか。」
大理石の床や広い部屋に雪之丞は驚きながらリビングに入るが、この時横島とかおりはちょうどおやつにとパンの耳を油で揚げて砂糖をまぶしたおやつを食べていたためそれを見た雪之丞は少し誤解してしまう。
「いや、生活費に困るほどじゃないぞ。」
「それでそんなもん食ってんのか?」
「近所の高そうなパン屋であったんだよ。 美味いぞ。」
客観的に見て貧乏くさいというかお世辞にも生活に余裕があるように見えず部屋の割に貧乏なのかと誤解したらしいが、横島は以前の食生活から近所にパン屋を見つけた際につい買ってしまったのでかおりがおやつにと揚げただけなのだ。
ちなみに横島はパン屋の店員に受験に失敗した苦学生に間違われていたりするが。
「ならなんか食わせてくれねえか?」
「全く。 貴方という人は……。」
相変わらず突然現れて当たり前のように飯をたかりに来た雪之丞に横島とかおりは苦笑いを浮かべたが、最早過去の問題を気にもしてないかおりは文句を言いつつ雪之丞に有り合わせの材料でチャーハンと野菜入りのインスタントラーメンを作ってやる。
対する雪之丞の方も過去に踏ん切りを付けたらしく堂々とかおりの作った料理を食べていく。
「で? 飯をたかりに来たのか? 厄介ごとなら要らんぞ。」
「いや。 神父のとこで来月のGS試験受けることにしたからその報告をな。」
「へ~。 良かったじゃんか。 お前なら確実にうかるだろ。」
まさかまた厄介ごとかと横島は少し警戒するが、雪之丞の用件は唐巣の弟子としてGS試験を受けるという報告だった。
もっと早くしてればかおりとの関係もと横島は思うが流石に口に出すほど愚かではないし、ある意味あの時の件やかおりの件が無ければ雪之丞はGSを再び目指そうとは思わなかったのかもしれないとも思う。
「試験はな。 ただ見習い卒業にはもう少しまともな経験と勉強しろと言われたよ。」
「当然ですわね。 貴方の魔装術や霊波砲は強力過ぎて使いどころが難しいですから。 貴方が好む戦いなど滅多にありませんわ。」
「それも言われたよ。 ただ神父のとこだと生活出来ないらしくってな。 お前らまだ一緒に除霊してんだろ? 混ぜてくれよ。」
「俺と弓さんは構わんがあれ美神さんが回してる仕事をおキヌちゃんが魔理さんの為にやってるからな。 美神さん達に頼まんとどうにも。」
ただ雪之丞の性格上わざわざ報告だけをしにくるはずもなく、どうやらおキヌ達と今も時々続けている共同除霊に参加して生活費を稼ぎたいのでそれを頼みに来たのが本題らしい。
「ああ。 このあと行くつもりだ。 その前にお前らとタイガー達に話を通して許可を得ようと思ってな。」
結局雪之丞はお代わりまでして腹一杯飯を食って帰るが、かおりも横島も雪之丞が前を向いてGSをやるという話には素直にホッとしているのが本音だった。