その一
「弓さんはやっぱり小さい頃からGSになるのが夢だったの?」
「私はGSが夢や理想と言えるような環境ではありませんでした。 父からは跡取りとして育てられましたし、将来を考える自由などありませんでしたわ」
予期せぬ横島の過去に驚いていたかおりだが、横島が逆にGSについて尋ねると少し複雑そうな表情を見せて自身のことを語る。
後悔してる訳でも怨んでる訳でもないが、かおりも自身の過去に全く疑問がない訳ではない。
幼い頃から普通の家庭が羨ましかったのは事実だし、GS以外の未来も考えてみたいと悩むことも度々あったのだ。
「そっか。 そういう場合もあるんだな」
「そもそも霊能の技術は限られた者にのみ伝え守っていくのが常識なのです。 私の家も先祖代々霊能者でしたから」
夢や理想ではなくGSになるべく育てられたと聞くと横島は少し考え込むような仕種をするが、かおりはそれが常識であり当然だったと語る。
正直仕事や将来を誰かに強要されたことがない横島とすれば、かおりの境遇がいいのか悪いのか判断出来ない。
よく言えば英才教育なのだろうし、悪く言えば親のエゴの押し付けだろう。
実際その境界線は紙一重なのは横島にも理解できるが。
「一般的に霊能者は幼い頃から修行をすることが当然ですし、才能を伸ばすには若い方がいいと言われてます。 六道女学院なんかだと霊能科の生徒でも八割は在学中にGSを諦めますわ。 横島さんはよほど才能があるのだと思います」
将来の話は横島がかおりには始めて見せるような本当の迷いの表情をしている。
横島の過去に何があったのかかおりは知らないが、一般の霊能者が十年以上掛けて成長する道を横島は一年もかからずアッサリと越えてしまった。
それの弊害というかしわ寄せが何処か横島にあるのではとかおりは思う。
霊と向き合い人知を越える存在を相手にするのだから、本来霊能者は精神面が重要とも言われるのだ
ただ技術や才能があればいいという訳でないことは、幼い頃から修行してきたかおりもよく理解している。
「才能か。 正直、俺にはよく分からんな」
素直に横島には才能があると言うかおりに、横島は驚いた様子でかおりを見てしまう。
そもそも横島にGSの才能があると本人にはっきりと言うのは小竜姫くらいだった。
令子は基本的には横島を素直に褒めないし、周りの人間も横島に才能があると言うことはない。
それはある意味横島のキャラクターであり性格に原因があることだが、横島自身は自分の力や才能をどう受け止めるべきか定まってなかった。
「一緒に除霊するのを楽しみにしてますわ」
「……えっと、頑張ります」
将来や才能などを悩む横島だったが、かおりに柔らかい笑みで楽しみにしてると微笑まれると少し照れたように笑うしか出来ない。
(最近の弓さんやっぱり変じゃないか?)
日頃から冷たくされたり嫌われるのは慣れてる横島故に、理由もなく優しくされると逆に不安になり怖くなってしまうようである。
随分失礼な話だが横島にとってはかおりは冷たいくらいが標準なのだ。
まあここでかおりを疑うような発言をしないだけ、横島も成長はしてるらしいが。
「私はGSが夢や理想と言えるような環境ではありませんでした。 父からは跡取りとして育てられましたし、将来を考える自由などありませんでしたわ」
予期せぬ横島の過去に驚いていたかおりだが、横島が逆にGSについて尋ねると少し複雑そうな表情を見せて自身のことを語る。
後悔してる訳でも怨んでる訳でもないが、かおりも自身の過去に全く疑問がない訳ではない。
幼い頃から普通の家庭が羨ましかったのは事実だし、GS以外の未来も考えてみたいと悩むことも度々あったのだ。
「そっか。 そういう場合もあるんだな」
「そもそも霊能の技術は限られた者にのみ伝え守っていくのが常識なのです。 私の家も先祖代々霊能者でしたから」
夢や理想ではなくGSになるべく育てられたと聞くと横島は少し考え込むような仕種をするが、かおりはそれが常識であり当然だったと語る。
正直仕事や将来を誰かに強要されたことがない横島とすれば、かおりの境遇がいいのか悪いのか判断出来ない。
よく言えば英才教育なのだろうし、悪く言えば親のエゴの押し付けだろう。
実際その境界線は紙一重なのは横島にも理解できるが。
「一般的に霊能者は幼い頃から修行をすることが当然ですし、才能を伸ばすには若い方がいいと言われてます。 六道女学院なんかだと霊能科の生徒でも八割は在学中にGSを諦めますわ。 横島さんはよほど才能があるのだと思います」
将来の話は横島がかおりには始めて見せるような本当の迷いの表情をしている。
横島の過去に何があったのかかおりは知らないが、一般の霊能者が十年以上掛けて成長する道を横島は一年もかからずアッサリと越えてしまった。
それの弊害というかしわ寄せが何処か横島にあるのではとかおりは思う。
霊と向き合い人知を越える存在を相手にするのだから、本来霊能者は精神面が重要とも言われるのだ
ただ技術や才能があればいいという訳でないことは、幼い頃から修行してきたかおりもよく理解している。
「才能か。 正直、俺にはよく分からんな」
素直に横島には才能があると言うかおりに、横島は驚いた様子でかおりを見てしまう。
そもそも横島にGSの才能があると本人にはっきりと言うのは小竜姫くらいだった。
令子は基本的には横島を素直に褒めないし、周りの人間も横島に才能があると言うことはない。
それはある意味横島のキャラクターであり性格に原因があることだが、横島自身は自分の力や才能をどう受け止めるべきか定まってなかった。
「一緒に除霊するのを楽しみにしてますわ」
「……えっと、頑張ります」
将来や才能などを悩む横島だったが、かおりに柔らかい笑みで楽しみにしてると微笑まれると少し照れたように笑うしか出来ない。
(最近の弓さんやっぱり変じゃないか?)
日頃から冷たくされたり嫌われるのは慣れてる横島故に、理由もなく優しくされると逆に不安になり怖くなってしまうようである。
随分失礼な話だが横島にとってはかおりは冷たいくらいが標準なのだ。
まあここでかおりを疑うような発言をしないだけ、横島も成長はしてるらしいが。