その二

さて卒業式を終えた翌週からの横島は日中は時間が空いて暇になったが、相変わらず一人では除霊をさせて貰えないので令子の除霊に荷物持ちとして参加する他は暇になり自動車の教習所に早速通い始めていた。

ただまあ今の横島は歩合で以前ほど安くはないのであくまでも必要な時と横島の勉強になる場合しか連れていかないので日中の仕事はあまりなく、一人でGSの勉強もしていたが優先順位としては教習所の方を優先していて早く免許を取ろうと頑張っている。


「いや~、美神除霊事務所のGSが物件を探してるとは。」

「あの、俺は美神さんのように優秀じゃない。 ただの見習いなんで。」

そして週の半ばになると令子の紹介で横島とお目付け役でもあるかおりは都内のかなり大手の不動産屋に来ていた。

そこは町の小さな不動産ではなくビルの屋上にデカデカと広告の看板がありテレビCMなんかも流してる横島でも知るような大手の不動屋である。


「分かっておりますよ。 その若さですでに免許を持つとは素晴らしい。 なに心配は入りません。 美神さんにはお世話になってますから。」

しかも横島とかおりの応対をしたのは社長自らであり、基本的に小心者の横島はちょっと困惑していた。

あの美神令子の弟子が高校を卒業し物件を探していて、すでに免許もあるので手頃な霊障物件でも貸してくれないかと令子自らに頼まれると不動産屋はもろ手を上げて任せて欲しいと太鼓判を押している。

一般人にはGSの良さなんて見分けが付かないので知名度はやはり重要な要素になるし、厄介な霊障も少々高いがきちんと解決してくれる令子は企業関係には評判は悪くない。

まして令子の弟子となると将来有望なため今のうちから繋がりを持っておいて損はなく、不動産屋の社長からすると先行投資として考えていた。


「いろいろ訳あり物件はあるんですよ。 本当に噂だけの物件から霊障があった物件もありますし、中には定期的に除霊が必要な物件も。 必ず住んで頂けるならかなり勉強させて頂きます。」

そのまま横島とかおりは社長と社員の人と一緒に物件を見に行くが、大手の不動産屋だけに霊障物件もそれなりにあるらしい。


「定期的な除霊ですか?」

「ええ場所的に悪霊が集まりやすい物件などが。 だいぶ昔には寺とか神社があった場所なんかは特にそんな場所になる場合がありまして。 住んで頂けるなら土地込みでタダでお譲りしても構わないのですが一度手に入れたら二度と売れませんし定期的に除霊が必要になるという厄介な物件などでして。」

とりあえず二人は美神事務所からあまり離れてない場所から見せて貰うが、噂程度の物件や元霊障物件などは横島元かおりも特に気になるところがない普通の物件でとりあえず一年間なら無料で好きなところを貸すと言われて驚く。

しかしそんな二人を更に驚かせたのは土地込みでタダで譲るというかなりタチの悪い物件の話だった。


「それってちなみに評価額は問題がない場合は?」

「億超えですよ。 以前にも試しにと借りたGSの方は居たんですけどね。 住めないこともないが自宅で気が抜けないのは厳しいと言われて二ヶ月で越しました。」

都内のかなりいい場所で土地と建物で億超えの物件らしく住むことが条件ながらタダでいいとまで言うが、不動産屋の社長も勉強になればと話した感じで若いGSには流石に向かないと言いたげである。

一時期住むならいいのだろうがその後に売りたいと言っても売れず税金や周囲に霊障が及ばぬようにと定期的に除霊をすることなんかを考えると、まあ譲ってもいいがプロのGSでももて余した過去からどうしようもない霊障物件らしかった。

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