その二
「終わったわね。」
卒業式は特に何事もなく終わった。
タイガーや一部の女子は人目を憚らず涙を見せたが横島は正直それほど思い入れもなかったので、そんなタイガーに驚いていたが。
「ピート、制服どうした?」
「持っていかれました。 最初はボタンだったんですけど。」
ただ卒業式も終わり本当に最後のホームルームを終えるとピートは女子達に半ば拉致されるように連れ去られていて、戻ってきた時には制服の上を着てない姿で戻って着てしまい横島やタイガーを唖然とさせていた。
どうやら欲しい人が多すぎて制服を切り分けて分配するらしいと聞くと流石に引いていた者も居たが。
「身ぐるみ剥がされないことを喜ぶべきだな。」
「冗談に聞こえませんよ。」
あまりのモテっぷりも最早これが最後かと思うと横島はピートをからかう冗談を言う余裕すらあったが、ピートは笑えないらしく困った表情を見せる。
尤も後日有志の女子達から唐巣の教会にピートへのプレゼントとしてスーツが届くことになり、女子達は女子達なりに考えてはいるが。
「一つ貰うわね。 横島君もボタンの一つも取られないと格好つかないでしょ?」
「おまえなぁ。」
なお横島に関しては教室を出ようと立ち上がった瞬間に愛子に第二ボタンを取られていたが、最後まで冗談のような態度を崩さぬ愛子の様子から横島が彼女の本心に気付くことはなかった。
「横島さん! あの私にボタンを……。」
「あれ横島君はやっぱりボタン余ってるね。 可哀想だから私が貰ってあげるわ。」
ただ教室を出た横島も小鳩やクラスメートに同学年の女子なんかから何だかんだとボタンは全部持っていかれたが、こちらも最後まで恋愛めいた雰囲気がなかったのはやはり横島の普段のキャラクターのせいだろう。
まあ横島以外の見る人が見ればモテてることに違いはないし、何人かは横島を待ってる女子も居ないでもなかった。
三年になり少し落ち着いたが馬鹿ばっかりやっていた横島も本人が思う以上に周りに愛されていたのはやはり確かなようである。
横島本人がそれに気付くには今しばらくの時間が必要だろうが。
「卒業おめでとうございます。 あらボタン全部持っていかれたんですのね。」
「みんな人を珍獣扱いしやがってさ。」
学校を後にした横島はピート・タイガー・愛子にかおり・おキヌ・魔理と卒業を祝って遊びに行く約束をしていたので一旦帰宅していたが、一足先にかおりがアパートにやってくると卒業を祝ってくれるのと同時にボタンのない制服を見てクスッと笑っていた。
「いいじゃありませんか。 興味がない人や嫌いな人のボタンなんて誰も欲しがりませんわ。」
「うーん? そうか?」
「好きの反対は無関心とも言いますから。 きっと欲しかったんですわよ。」
「いまいち信じられんのだが。」
かおりは半ばこの結果を予想していたようで驚きはなく、むしろ横島がこの期に及んでボタンを持っていった女子達の好意に気付かぬというか好意を受ける自分が信じられないことに少し呆れてもいたが。
卒業式は特に何事もなく終わった。
タイガーや一部の女子は人目を憚らず涙を見せたが横島は正直それほど思い入れもなかったので、そんなタイガーに驚いていたが。
「ピート、制服どうした?」
「持っていかれました。 最初はボタンだったんですけど。」
ただ卒業式も終わり本当に最後のホームルームを終えるとピートは女子達に半ば拉致されるように連れ去られていて、戻ってきた時には制服の上を着てない姿で戻って着てしまい横島やタイガーを唖然とさせていた。
どうやら欲しい人が多すぎて制服を切り分けて分配するらしいと聞くと流石に引いていた者も居たが。
「身ぐるみ剥がされないことを喜ぶべきだな。」
「冗談に聞こえませんよ。」
あまりのモテっぷりも最早これが最後かと思うと横島はピートをからかう冗談を言う余裕すらあったが、ピートは笑えないらしく困った表情を見せる。
尤も後日有志の女子達から唐巣の教会にピートへのプレゼントとしてスーツが届くことになり、女子達は女子達なりに考えてはいるが。
「一つ貰うわね。 横島君もボタンの一つも取られないと格好つかないでしょ?」
「おまえなぁ。」
なお横島に関しては教室を出ようと立ち上がった瞬間に愛子に第二ボタンを取られていたが、最後まで冗談のような態度を崩さぬ愛子の様子から横島が彼女の本心に気付くことはなかった。
「横島さん! あの私にボタンを……。」
「あれ横島君はやっぱりボタン余ってるね。 可哀想だから私が貰ってあげるわ。」
ただ教室を出た横島も小鳩やクラスメートに同学年の女子なんかから何だかんだとボタンは全部持っていかれたが、こちらも最後まで恋愛めいた雰囲気がなかったのはやはり横島の普段のキャラクターのせいだろう。
まあ横島以外の見る人が見ればモテてることに違いはないし、何人かは横島を待ってる女子も居ないでもなかった。
三年になり少し落ち着いたが馬鹿ばっかりやっていた横島も本人が思う以上に周りに愛されていたのはやはり確かなようである。
横島本人がそれに気付くには今しばらくの時間が必要だろうが。
「卒業おめでとうございます。 あらボタン全部持っていかれたんですのね。」
「みんな人を珍獣扱いしやがってさ。」
学校を後にした横島はピート・タイガー・愛子にかおり・おキヌ・魔理と卒業を祝って遊びに行く約束をしていたので一旦帰宅していたが、一足先にかおりがアパートにやってくると卒業を祝ってくれるのと同時にボタンのない制服を見てクスッと笑っていた。
「いいじゃありませんか。 興味がない人や嫌いな人のボタンなんて誰も欲しがりませんわ。」
「うーん? そうか?」
「好きの反対は無関心とも言いますから。 きっと欲しかったんですわよ。」
「いまいち信じられんのだが。」
かおりは半ばこの結果を予想していたようで驚きはなく、むしろ横島がこの期に及んでボタンを持っていった女子達の好意に気付かぬというか好意を受ける自分が信じられないことに少し呆れてもいたが。