その二
「あの、これ。」
「チョコっすか?」
「ええ。 もちろん義理じゃありませんわよ。」
その後カラオケに来た横島とかおりであるが飲み物を頼み少し歌った頃になると、かおりは用意していたバレンタインチョコを横島に手渡す。
その際には多少冗談っぽく義理ではないと付け加える程度の余裕がかおりにはあった。
「ありがとうございます。 って手作りっすか!?」
一方の横島も今年は流石にかおりからは貰えると思っていたので流石に大きな驚きはないものの、楽しみにしていたことに代わりはなくさっそく開けてみると手作りであることには少し驚いている。
「実はお菓子はさほど作ったことがないんですけど。 今回はせっかくなのでチャレンジしてみたのですわ。」
包装紙の上からでは一見しただけでは分 からないが開けてみると丁寧に作られたトリフチョコが入っていて、チョコ自体は上手に出来ているが箱や包装紙には店の名前も賞味期限もないので手作りだとすぐに横島にも分かる物だった。
「美味いっすよ! 本当に美味いっす……。」
手作りのバレンタインチョコを貰い彼女の見守るなかでそれを味わう横島だが、その甘さと美味しさもさることながらやはりバレンタインチョコを貰えたという事実に少し涙ぐみながら溶けていくチョコを惜しみつつゆっくりと味わう。
過去の嫌な記憶がそのたった一口のチョコで本当の意味で思い出となり、未だに消えることのなかった蟠りをチョコと一緒に溶かしていく。
「そんな大袈裟な。」
ただそんな涙ぐみながら大切そうにチョコを味わう横島に、流石にかおりはそこまでしなくてもと戸惑ってもいたが。
まさか泣くほど喜んでもらえるとは思わなかったらしい。
「いや~、正直諦めてましたから。 学校じゃ特殊な変人扱いされてましたし、前には俺が義理か本命かすら分からないチョコ貰っただけで騒がれて自作自演だって言われましたし。」
戸惑い気味のかおりに横島は少し可笑しくなったのか笑ってしまうが、同時に昼間クラスメートも話していた忘れられない一件について思い出として話をし始める。
あの時騒いだ連中も令子もおキヌも過去の話として記憶の片隅にある程度だったが、横島にとっては今日この日までは決して過去の思い出ではなかったし笑って話せる話でもなかった。
「自作自演ですか?」
「誰かがたちの悪い悪戯をしたみたいなんっすよ。」
「それは流石に酷くありませんか?」
彼女が出来てバレンタインチョコを貰ったからこそ話せることだったが、横島自身は今でもたちの悪い悪戯だとしか考えとない。
正直言うとあのタイミングで学校に来た令子のことすら疑っていたほどだ。
まあ犯人が誰であれ横島にとってはよくあることであり恨んでなどないが。
「うちの学校じゃ、俺はそんな扱いなんっすよ。」
最近ではかおりの存在もあり横島の扱いも変わりはしたが、周りが変わった割に横島自身はあまり変化してなく表面的な付き合い以上の本音を話すことは今でもない。
扱いが良くなったことには素直に喜んでいるしクラスメートとの関係も多少だが良くなりはしたが、過去は過去として消えないし自作自演騒動や人類の敵と言われた前後のことを思い出すと自分すら信用しない横島が本心から仲良くしたいとも思える存在でもなかった。
期待もしないので怒ることも何もなく学校に居る間だけそれなりに楽しく居られればそれで良かった。
「チョコっすか?」
「ええ。 もちろん義理じゃありませんわよ。」
その後カラオケに来た横島とかおりであるが飲み物を頼み少し歌った頃になると、かおりは用意していたバレンタインチョコを横島に手渡す。
その際には多少冗談っぽく義理ではないと付け加える程度の余裕がかおりにはあった。
「ありがとうございます。 って手作りっすか!?」
一方の横島も今年は流石にかおりからは貰えると思っていたので流石に大きな驚きはないものの、楽しみにしていたことに代わりはなくさっそく開けてみると手作りであることには少し驚いている。
「実はお菓子はさほど作ったことがないんですけど。 今回はせっかくなのでチャレンジしてみたのですわ。」
包装紙の上からでは一見しただけでは分 からないが開けてみると丁寧に作られたトリフチョコが入っていて、チョコ自体は上手に出来ているが箱や包装紙には店の名前も賞味期限もないので手作りだとすぐに横島にも分かる物だった。
「美味いっすよ! 本当に美味いっす……。」
手作りのバレンタインチョコを貰い彼女の見守るなかでそれを味わう横島だが、その甘さと美味しさもさることながらやはりバレンタインチョコを貰えたという事実に少し涙ぐみながら溶けていくチョコを惜しみつつゆっくりと味わう。
過去の嫌な記憶がそのたった一口のチョコで本当の意味で思い出となり、未だに消えることのなかった蟠りをチョコと一緒に溶かしていく。
「そんな大袈裟な。」
ただそんな涙ぐみながら大切そうにチョコを味わう横島に、流石にかおりはそこまでしなくてもと戸惑ってもいたが。
まさか泣くほど喜んでもらえるとは思わなかったらしい。
「いや~、正直諦めてましたから。 学校じゃ特殊な変人扱いされてましたし、前には俺が義理か本命かすら分からないチョコ貰っただけで騒がれて自作自演だって言われましたし。」
戸惑い気味のかおりに横島は少し可笑しくなったのか笑ってしまうが、同時に昼間クラスメートも話していた忘れられない一件について思い出として話をし始める。
あの時騒いだ連中も令子もおキヌも過去の話として記憶の片隅にある程度だったが、横島にとっては今日この日までは決して過去の思い出ではなかったし笑って話せる話でもなかった。
「自作自演ですか?」
「誰かがたちの悪い悪戯をしたみたいなんっすよ。」
「それは流石に酷くありませんか?」
彼女が出来てバレンタインチョコを貰ったからこそ話せることだったが、横島自身は今でもたちの悪い悪戯だとしか考えとない。
正直言うとあのタイミングで学校に来た令子のことすら疑っていたほどだ。
まあ犯人が誰であれ横島にとってはよくあることであり恨んでなどないが。
「うちの学校じゃ、俺はそんな扱いなんっすよ。」
最近ではかおりの存在もあり横島の扱いも変わりはしたが、周りが変わった割に横島自身はあまり変化してなく表面的な付き合い以上の本音を話すことは今でもない。
扱いが良くなったことには素直に喜んでいるしクラスメートとの関係も多少だが良くなりはしたが、過去は過去として消えないし自作自演騒動や人類の敵と言われた前後のことを思い出すと自分すら信用しない横島が本心から仲良くしたいとも思える存在でもなかった。
期待もしないので怒ることも何もなく学校に居る間だけそれなりに楽しく居られればそれで良かった。