その二
その後この日の授業が終わると横島はクラスメートにからかわれながら学校を後にして、かおりとの待ち合わせ場所である公園に来ていた。
「ここに来るのも久々だなぁ。」
そこはまだ付き合う前に横島とかおりが何度か待ち合わせして会っていた公園であるが、季節は真冬の二月なだけに当時とは少し公園の景色も違って見える。
元々横島の高校や六道女学院から少し離れている場所なだけにいつの間にか来ることがなくなっていたが、久しぶりにここで待ち合わせしようと言われたらしい。
「お待たせしましたか?」
「いや、俺も今来たとこっすよ。」
かおりが来たのは横島が到着して十五分ほど過ぎた頃だが約束よりは五分早い到着だった。
あの頃と違いコートを着込んだ姿の二人はいつか座ったベンチに座り少し話をしていくが、この公園に来るとあの頃を思い出すのは同じらしく僅か数ヵ月前ながら懐かしさを感じてしまい不思議な感覚を感じている。
「学校でチョコ貰いました?」
「俺は義理をちょっとすね。 ピートは凄かったっすよ。」
「義理ですか?」
少し学校の話などをする二人だがかおりはどうも横島がチョコを貰ったのか気になるゆうで尋ねると、横島は素直に貰った物を見せていたがかおりはそれを見て本命らしきものがないことにホッとしていた。
横島の学校での扱いは理解しているが、一方で以前に横島が風邪を引いた時に愛子から本人が考えてるより嫌われてないと聞いてもいたので多少心配もしていたらしい。
尤も横島の学校でもかおりが有名であることは横島本人ばかりかタイガーを通して魔理からも聞いていたので、それほど心配し過ぎていた訳でもないが。
「俺バレンタインって本当いい思い出ないんっすよね。」
少し風が出てきたので久々にカラオケでも行こうかということになり街を歩いていくが、バレンタインに彼女と街を歩くという自身の姿が偶然通りかかった店のショーウインドーに映ると少し感慨深げにバレンタインについて口を開いた。
あまり辛気くさい話をする気も愚痴る気もないが積み重なった過去の負の感情が全て洗い流された訳でもない。
今は違うが過去は過去として消える訳でもないしもっと言えば消す気もないのだ。
「私も特に思い出などありませんわよ。 基本的に放課後は修行漬けの日々でしたから。」
一方のかおりもまたバレンタインに思い出らしい物が全くないらしく、こちらもまたこちらで少し複雑そうな表情をした。
放課後に部活も出来なければ一緒に遊ぶことも出来なかったかおりとしては、好きな男の子や気になる男の子が居てもバレンタインにチョコなど渡せるはずもなかった。
「弓さんモテたでしょうし俺と真逆なんっすけどね。」
「さあ? どうなのでしょう。 放課後は家に帰らねばなりませんでしたし、テレビもあまり見れませんでしたから話題に着いていけませんでしたから。」
全ては立派な霊能者となるための日々であり、それ故に得たものもあるが得られなかったものもまた多い。
横島からすればかおりの話は相変わらず信じられないような話だが、それ故に何と言っていいかすら分からない。
ただ一つ理解したのは自分だけが不幸でも苦しんだ訳でもないということだけだろう。
「ここに来るのも久々だなぁ。」
そこはまだ付き合う前に横島とかおりが何度か待ち合わせして会っていた公園であるが、季節は真冬の二月なだけに当時とは少し公園の景色も違って見える。
元々横島の高校や六道女学院から少し離れている場所なだけにいつの間にか来ることがなくなっていたが、久しぶりにここで待ち合わせしようと言われたらしい。
「お待たせしましたか?」
「いや、俺も今来たとこっすよ。」
かおりが来たのは横島が到着して十五分ほど過ぎた頃だが約束よりは五分早い到着だった。
あの頃と違いコートを着込んだ姿の二人はいつか座ったベンチに座り少し話をしていくが、この公園に来るとあの頃を思い出すのは同じらしく僅か数ヵ月前ながら懐かしさを感じてしまい不思議な感覚を感じている。
「学校でチョコ貰いました?」
「俺は義理をちょっとすね。 ピートは凄かったっすよ。」
「義理ですか?」
少し学校の話などをする二人だがかおりはどうも横島がチョコを貰ったのか気になるゆうで尋ねると、横島は素直に貰った物を見せていたがかおりはそれを見て本命らしきものがないことにホッとしていた。
横島の学校での扱いは理解しているが、一方で以前に横島が風邪を引いた時に愛子から本人が考えてるより嫌われてないと聞いてもいたので多少心配もしていたらしい。
尤も横島の学校でもかおりが有名であることは横島本人ばかりかタイガーを通して魔理からも聞いていたので、それほど心配し過ぎていた訳でもないが。
「俺バレンタインって本当いい思い出ないんっすよね。」
少し風が出てきたので久々にカラオケでも行こうかということになり街を歩いていくが、バレンタインに彼女と街を歩くという自身の姿が偶然通りかかった店のショーウインドーに映ると少し感慨深げにバレンタインについて口を開いた。
あまり辛気くさい話をする気も愚痴る気もないが積み重なった過去の負の感情が全て洗い流された訳でもない。
今は違うが過去は過去として消える訳でもないしもっと言えば消す気もないのだ。
「私も特に思い出などありませんわよ。 基本的に放課後は修行漬けの日々でしたから。」
一方のかおりもまたバレンタインに思い出らしい物が全くないらしく、こちらもまたこちらで少し複雑そうな表情をした。
放課後に部活も出来なければ一緒に遊ぶことも出来なかったかおりとしては、好きな男の子や気になる男の子が居てもバレンタインにチョコなど渡せるはずもなかった。
「弓さんモテたでしょうし俺と真逆なんっすけどね。」
「さあ? どうなのでしょう。 放課後は家に帰らねばなりませんでしたし、テレビもあまり見れませんでしたから話題に着いていけませんでしたから。」
全ては立派な霊能者となるための日々であり、それ故に得たものもあるが得られなかったものもまた多い。
横島からすればかおりの話は相変わらず信じられないような話だが、それ故に何と言っていいかすら分からない。
ただ一つ理解したのは自分だけが不幸でも苦しんだ訳でもないということだけだろう。