その一
それから数日は横島が雪之丞とかおりを仲介するような形で双方と連絡を取りつつ、共同除霊の日時の最終的な調整や別れを報告するタイミングなどを合わせていく。
その一方でかおりと魔理の価値観の違いは日を追うごとに深まってしまい、安易なけんかにはならないが対立は深まっていた。
元々上から目線のかおりに魔理は常々不満を抱えていたが、今回仕事として除霊を行うに辺りかおりは魔理のことに口出しする機会が増えたのだ。
まずかおりが問題視したのは魔理の霊衣である。
かおりはあんな格好で除霊するなど認められないと言い切るが、魔理は本来は自由な霊衣に何故口出しするのかと反発してしまう。
元々依頼人は令子の客であり、暴走族のような服装で行けば令子の迷惑になるからと言うがそれも魔理には理解出来ない。
まあ魔理も本心では理解してるのだろうが、他人に言われると反発してしまうようである。
ただかおりとすれば本来は木刀も認めたくはないが、魔理が霊具を買えない以上は仕方ないとこちらは我慢していたのだ。
「全く、一文字さんはGSをなんだと思っているのでしょう!」
そしてこの日かおりは放課後にまた横島と会っていたが、何故か横島に魔理の愚痴をこぼしている。
実のところもう雪之丞絡みでは会うような用件はないが、魔理のことに悩むかおりが横島を呼び出して相談していた。
「基本的に美神さんは細かいこと気にしないぞ。 所詮は他人だし、服装くらいじゃ何も言わんと思うが」
愚痴のような相談を静かに聞いていた横島は、あまり融通が効かないかおりに思わず出会った頃の小竜姫を思い出してしまう。
「そうなのですか?」
「ああ、型にはまるのも他人に干渉するのも嫌いな人だからな。 ただダメだと思ったら二度と呼ばれなくなるとは思うけど」
そんなイマイチ令子の実情を知らないかおりに横島は少し苦笑いを浮かべている。
令子を極端に美化しているかおりにどこまで真実を言っていいのか横島は正直迷うが、問題がないだろう範囲で令子の考えを説明していく。
そもそも令子がかおり達を巻き込んだのは、遠方の安い依頼に自分が行くのが面倒だっただけである。
恐らく多少の問題ならば気にしないだろうし、服装程度ならば後で依頼人にフォローすればいいだけなのだ。
かおりや魔理はおキヌの友達なので多少扱いが違うが、令子が弟子にする訳でもない相手に口出しはしないだろうと横島は見ていた。
「それは、まあそうですわね」
魔理のことに不満をぶちまけていたかおりだが、令子が弟子でもない人の行動は気にしないというと毒気を抜かれたように大人しくなる。
実際他人の弟子に口出しすることはGS業界ではタブーに近い。
魔理の場合は師匠すら居ないが、育てるつもりもない者に注意するGSは令子に限らずなかなか居ないだろう。
というか六道女学院の教師ですら、反抗的な魔理には愛想を尽かしてる者も居るのをかおりは知っていた。
「除霊の経験がないんだろ? 今回は好きにさせてやれば、自分で学ぶと思うけどな」
結局魔理に苛立つかおりに、横島は初めてなのだから好きにさせたらいいと宥めることになる。
横島自身はかおりには言えないほど恥ずかしい経験を繰り返して来たし、正直除霊未経験の魔理にさほど目くじらを立てる必要があるとは思えなかった。
その一方でかおりと魔理の価値観の違いは日を追うごとに深まってしまい、安易なけんかにはならないが対立は深まっていた。
元々上から目線のかおりに魔理は常々不満を抱えていたが、今回仕事として除霊を行うに辺りかおりは魔理のことに口出しする機会が増えたのだ。
まずかおりが問題視したのは魔理の霊衣である。
かおりはあんな格好で除霊するなど認められないと言い切るが、魔理は本来は自由な霊衣に何故口出しするのかと反発してしまう。
元々依頼人は令子の客であり、暴走族のような服装で行けば令子の迷惑になるからと言うがそれも魔理には理解出来ない。
まあ魔理も本心では理解してるのだろうが、他人に言われると反発してしまうようである。
ただかおりとすれば本来は木刀も認めたくはないが、魔理が霊具を買えない以上は仕方ないとこちらは我慢していたのだ。
「全く、一文字さんはGSをなんだと思っているのでしょう!」
そしてこの日かおりは放課後にまた横島と会っていたが、何故か横島に魔理の愚痴をこぼしている。
実のところもう雪之丞絡みでは会うような用件はないが、魔理のことに悩むかおりが横島を呼び出して相談していた。
「基本的に美神さんは細かいこと気にしないぞ。 所詮は他人だし、服装くらいじゃ何も言わんと思うが」
愚痴のような相談を静かに聞いていた横島は、あまり融通が効かないかおりに思わず出会った頃の小竜姫を思い出してしまう。
「そうなのですか?」
「ああ、型にはまるのも他人に干渉するのも嫌いな人だからな。 ただダメだと思ったら二度と呼ばれなくなるとは思うけど」
そんなイマイチ令子の実情を知らないかおりに横島は少し苦笑いを浮かべている。
令子を極端に美化しているかおりにどこまで真実を言っていいのか横島は正直迷うが、問題がないだろう範囲で令子の考えを説明していく。
そもそも令子がかおり達を巻き込んだのは、遠方の安い依頼に自分が行くのが面倒だっただけである。
恐らく多少の問題ならば気にしないだろうし、服装程度ならば後で依頼人にフォローすればいいだけなのだ。
かおりや魔理はおキヌの友達なので多少扱いが違うが、令子が弟子にする訳でもない相手に口出しはしないだろうと横島は見ていた。
「それは、まあそうですわね」
魔理のことに不満をぶちまけていたかおりだが、令子が弟子でもない人の行動は気にしないというと毒気を抜かれたように大人しくなる。
実際他人の弟子に口出しすることはGS業界ではタブーに近い。
魔理の場合は師匠すら居ないが、育てるつもりもない者に注意するGSは令子に限らずなかなか居ないだろう。
というか六道女学院の教師ですら、反抗的な魔理には愛想を尽かしてる者も居るのをかおりは知っていた。
「除霊の経験がないんだろ? 今回は好きにさせてやれば、自分で学ぶと思うけどな」
結局魔理に苛立つかおりに、横島は初めてなのだから好きにさせたらいいと宥めることになる。
横島自身はかおりには言えないほど恥ずかしい経験を繰り返して来たし、正直除霊未経験の魔理にさほど目くじらを立てる必要があるとは思えなかった。