その二

その後も時おり雪の降るなかでの除霊は想像以上に大変なものがあったが、それでも何とか力を合わせて除霊を続けていた。

それぞれに得意とする能力もあるし基礎的な除霊の仕方ならば下手すると横島よりきちんとしてるエリートとも言える生徒達なのだ。


「あの人が弓さんの彼氏?」

「霊波刀なんてレアで使い勝手のいい能力持ってるわね。」

ただ途中から休憩になると生徒達が注目したのは令子と横島の二人であった。

令子はやはり日本最高とも言われるGSなので当然だが、今回は噂のかおりの彼氏が来てると早くも話題となりつつある。

横島達と一緒なのがかおりの二年と言うこともあり、かおりの変化と原因の彼氏という話は横島の学校並に大きな話題として同学年では噂れていたのだ。


「霊力高過ぎない? 美神お姉さまとほとんど変わらないじゃない!」

「嘘!?」

「そんな噂ついてどうすんのよ! 私ほとんど戦えないけど霊視は自信あるのよ!」

そんな注目を集める横島であるが同学年に霊視と霊感に特化した生徒が居るらしく、彼女の霊視により横島の高い霊力が明らかになると生徒達は更に騒がしくなっていく。

霊力に関しては修行にて上げることも不可能ではないが一般的にはある程度の才能がなければほとんど上がらないと考えられていて、霊力が高ければ当然ながら使うアイテムやお札を効率的かつ強力に使えるのでそれだけで評価もされる。

まして横島は自前の霊波刀でサポートを続けていて使い減りのしない能力なのでそれもまた評価が高かった。

本人的にはあまりにも格上とばかり戦って来たからか霊波刀の価値に気付いてないが、かつて八房を持った人狼にさりげなく深手を負わせるなど横島の霊波刀は強力な割に伸ばしたりと形が変わるのでかなり使い勝手がいいのだ。


「美神お姉さまの弟子で優秀なGSかぁ。 弓さんにはお似合いなんでしょうね。」

「男性の霊能者も優秀な人はたいがいどっかの紐付きだもの。 フリーの人見つけるのでさえ苦労するのに。」

流石に若い女性なので才能や将来産む子供への遺伝とかまでは考えてないが、単純に考えて医者や弁護士のようにGSもまた高収入が期待できるので人気がある職業とも言える。

まして美神令子の弟子ならば将来を約束されてると楽観的に見てしまうし、寺や神社の跡取りだと面倒だが横島にそれがないのはすでに明らかになっていた。

正直なところGSで苦労するのは闘竜寺のような寺社仏閣系に属する者達で、伝統やら慣例に縛られたりするしなまじ歴史があり宗教なので儲からない仕事も断れないことが多いことが理由にある。

逆に言えば普通に職業としてGSをする場合は免許を取れる力量があれば、贅沢さえしなければ食いっぱぐれがないとも言えて客観的に若い女性が望むのは後者のGS達だった。

まあ生徒達からするとかおりのように見た目と実力のある女だからこそ、そんな相手が見つかったのだろうと女性週刊紙のノリで考えていたが。

一方噂されてる張本人だが横島はまさか自分が噂されてるとは夢にも思ってなく、かおりの方は何を言っても嫌みや自慢になるのが分かりきっているので聞き流している。

表面上は特に気にしてない様子とはいえおキヌも近くに居るので正直あまり過度な反応が出来ないてとも言えるが。


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