その二

「ええか、長期戦や。 ペース配分間違ったらあかんで!」

神社とその敷地には集落のの住人に町の担当者など少なからず一般人も集まって来ている。

六道女学院の生徒達は彼らを守るべく防衛線を構築して、日頃悪霊を山からなるべく出さぬようにと存在する神社に集まってくる悪霊の除霊を始める。

ただ数はさほど多くはないし強さも慌てなければ生徒で十分対応出来る程度なのだ。

問題は弱い悪霊ほど見つけるのに苦労するということであり、かつて魔理が除霊旅行で役に立たなかった時と少し状況が似ていた。


「右から来ますわよ!」

尤もこういった集団除霊ではチームワークが試されるため必ずしも全員が悪霊を正確に見極める必要はない。

かおりやおキヌのような霊視が出来る者が指揮してクラスを纏めてある程度の方向を指示すれば不意打ちをくらうほどでもなく対応出来ている。

そして特にかおり達のクラスはここ最近で以前と比べてチームワークが格段に良くなっている。

かおり自身が変わったこととクラス対抗戦に出なかったことで改めてその実力をクラスメートが見直したことも影響しているだろう。

皮肉なことだがかつてのかおりが求めてもあまり得られてなかったクラスメートからの信頼が今はあり、魔理ですら反抗することなくかおりの指示に従っていた。


「弓さんは良くなったわ~。 令子ちゃんに預けて正解だったわ。」

「私が教えた訳じゃないんですけどね。 」

「いいのよ~。 それで。 育つ環境さえ整えて上げれば育つんだから~。」

ただ生徒達が上手くやればやるほど令子と横島の仕事はなくなる。

何人か来ているGS達も交代で参加していて今は横島が後方から援護するように参加しているも、はっきりいって横島の場所まで悪霊は来れないまま監督するというか見てるだけで令子は相変わらず焚き火に当たり冥菜と話していたが冥菜はここ一月のかおりの成長に満足げであった。

人としてGSとしてかおりは一皮むけつつある。

しかし令子としてはたいしたことは教えてなく実戦の機会を与え多少のアドバイスをしているに過ぎないので、あまり褒められても複雑な気分のようだった。

まあ結果的に上手くいっているし、GSの師弟も様々で教えなくてもいいようなことまで教えようとしたりするGSも居ないわけではない。

歴史と伝統がある業界なだけに歴史と伝統を受け継ぐのも必要なのだろうが、歴史と伝統ばかり見て目の前の現実を見てない者も少なからず存在する。

それに比べると現代的なGSを職業と割りきって指導する令子はまだいい方であり、かおりのような霊能者には特に令子のような現実を見る霊能者になってほしいと冥菜は願っていた。


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