その二

さて六道女学院の生徒達は一足先に仮眠を取っていた。

一般的に除霊は昼と夜では夜に行われることが多く悪霊の動きが活発になるのが夜であり、今回の除霊でも夜から朝方まで除霊を行う予定になっている。

敵は悪霊ではなく自然だと言っても過言ではないほど厳しい環境での除霊となるが、途中休憩を挟みつつ交替しながら除霊をすることで乗り切ることになっていた。


「ええか、今から言うことをよう聞くんやで。」

そして夕食を食べると生徒達はミーティングを行い今回の除霊についてと、雪国と雪山での基本的な除霊の仕方について教師から指導をされる。

基本的なものだと雪道の歩き方から除霊以前に遭難しないようにと徹底的に指導をされていく。

すぐそこだからと道を外れたら吹雪で周りが見えなくなり遭難するなんてのは割とよくある話であり、六道女学院の生徒なんかだと悪霊を追いかけるうちに山に入り迷子になりかけたなんて前例が以前にはあった。


「目的は人里に降りてくる悪霊の除霊や。 間違えたらあかんで。」

そして除霊目的目的に関してだが、こちらは人里に降りてくる悪霊の除霊であり山から悪霊を完全に駆逐することが目的ではない。

加えて悪霊自体も人型よりも動物型の悪霊が多く山が多いこの地域の周辺の山々から集まって来ているのではと近年の調査で明らかになっている。

どうやら現場の山は魔界か何処かの異界に接触している場所らしく、下手につつくと何が出てくるか分からないとの結構危険な調査結果も出ていた。

山には山の妖怪などもおり霊的バランスを壊さぬ程度で除霊を納めなくてはならないのはGSにとって重要なことなのだ。


「そういやタイガーは連れて来なかったんっすか?」

「こんな現場にタイガーを連れてきて暴走したらどうするワケ?」

「ああ、そういやそれもありましたね。」

なおGS達も生徒達の後ろでミーティングに参加していたが横島はふとエミがタイガーを連れてきてないことに疑問を抱くも、魔理のおかげでだいぶマシになってはいるが相変わらず女性が苦手なタイガーの扱いにはエミも苦慮してるらしい。


「おたく達がつれ回したおかげでだいぶマシになったんだけどね。 タイガーにまだ人のサポートは無理なワケ。」

横島同様に小心者であり横島よりも真面目なタイガーは地道に修行をしてはいるが、相変わらず精神感応の能力はコントロールが苦手なようであった。

何より今回はエミも生徒のサポートをする立場でありタイガーの面倒まで見てられないのだろう。


「そういえば闘竜寺の娘に手を出したんだって?」

「いや、手を出したって言うか何て言うか……。」

「へ~、そう。」

そんなエミだがついでと言わんばかりに横島にかおりとのことを尋ねるが、満更でもないというか手を出したという表現には抵抗するも内容は否定しない横島に少し面白そうな表情を見せる。

令子と横島の複雑な関係を理解していた一人として多少興味はあるらしいが、面白そうな表情に気付いた令子がエミを睨むと横島を挟んで二人は何故かバチバチと火花を散らす。

間に挟まれた横島は右往左往するが途中で巻き込まれた冥子が泣きそうになると二人はようやく火花を散らすのを止めるが、横島はどっと疲れた表情をしていた。



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