その二
現地は人の身長以上の雪が積もる山間の豪雪地帯だった。
スキー人気があったバブル期に関東からの客も見込んで作られたスキー場と温泉宿はあるものの、特に観光地という訳でもなく雪に埋もれそうな家々がある小さな田舎町。
スキー場はそれなりに立派だが毎年赤字を出して閉鎖が議論される感じで、平日であるこの日は地元や近隣の市町村からのスキー客がいる程度だ。
温泉旅館の方は一応民営だがそれほど特徴がある訳でもないもののスキー合宿など学校の団体が来ることが多いようで、それなりに大きな温泉旅館になる。
「吹雪いてるよ。 除霊どうするのかしら?」
「さあ? 去年は天気良かったからね。」
六道女学院一行は吹雪のため少し予定より遅れての到着すると、ひとまず拠点となる温泉旅館で休息を取ることになった。
除霊に関しては教師陣とGS達が今日と明日の二日間のどちらで除霊をするか話し合って決めることになっていて、一部の教師とGSは先行して現地の偵察に行っている。
「氷室さん?」
「私が居た山もこんな感じに冬には真っ白になるんですよ。 ちょっと懐かしくって。」
そんな生徒達であるが同部屋となったかおりは窓に叩き付けるような吹雪を見つめるおキヌにふと声をかけていた。
何も見えないほど真っ白い景色に建物が揺れそうなほどの強い風が窓を叩くのを見ているおキヌは、少し遠くを見ているようで気になったらしい。
「もしかしたら私も悪霊として退治されたかもしれないんです。 そう思ったらちょっと……。」
ネクロマンサーとなり元幽霊の経験を生かしてGSを目指してるおキヌだが、自身も一歩間違えれば除霊されても可笑しくはなかったことを思い出している。
実際横島を殺してでも成仏したいと殺そうとしたし、もしあれが成功していたらと思うと今でも恐ろしくなるようだ。
「難しいですよね。 GSって。」
自分が一人でも多くの迷える霊を助けられるならとGSへの道に踏み出したおキヌであるが、死にたくないとさ迷う霊を半ば無理矢理除霊することには未だに戸惑いがある。
それに令子と横島と一緒に並びたいと願い踏み出した一歩でもあるのに、すでに令子と横島は別々の道を歩み始めてしまった。
かおりが事務所に来てようやく横島の待遇も変わるというのに喜びもあまりなくGSになるのを躊躇っている横島を見て以来、おキヌもまたGSになる意味を改めて考えさせられている。
当たり前に選んだ道であるが、それは自分が思い描いていた道とは少し違っていたのだ。
「みんな悩むものですわ。 GSだけが人生ではありませんから。」
おキヌは横島ほどGSを辞めようとは考えてないが横島の姿を見て改めてGSという職業を、そして自分の人生を考える機会となっていた。
かおりはそんなおキヌを見て、もしかすれば生きる辛さをおキヌは生き返ってから始めて感じているのかもしれないと思うと申し訳ないような少し複雑な気持ちもある。
この一ヶ月でかおりは気付いてしまった。
令子とおキヌにとって横島はただの弟子でも従業員でもなかったことに。
仕事を越えた信頼関係がかつてはあったのだ。
結果的に二人から横島を奪う形になったかおりはどうしても少し負い目を感じてしまう。
無論実際にはルシオラの件ですでに令子とおキヌと横島の関係は変わっていたこともなんとなく理解はしていたが。
まあ横島の気持ちを思えば中途半端に束縛し繋ぎ止めようとしていた令子とおキヌにはどうなんだろうと思う気持ちもあり罪悪感までは感じてないが。
しかし人の関係の難しさは改めて考えさせられていた。
スキー人気があったバブル期に関東からの客も見込んで作られたスキー場と温泉宿はあるものの、特に観光地という訳でもなく雪に埋もれそうな家々がある小さな田舎町。
スキー場はそれなりに立派だが毎年赤字を出して閉鎖が議論される感じで、平日であるこの日は地元や近隣の市町村からのスキー客がいる程度だ。
温泉旅館の方は一応民営だがそれほど特徴がある訳でもないもののスキー合宿など学校の団体が来ることが多いようで、それなりに大きな温泉旅館になる。
「吹雪いてるよ。 除霊どうするのかしら?」
「さあ? 去年は天気良かったからね。」
六道女学院一行は吹雪のため少し予定より遅れての到着すると、ひとまず拠点となる温泉旅館で休息を取ることになった。
除霊に関しては教師陣とGS達が今日と明日の二日間のどちらで除霊をするか話し合って決めることになっていて、一部の教師とGSは先行して現地の偵察に行っている。
「氷室さん?」
「私が居た山もこんな感じに冬には真っ白になるんですよ。 ちょっと懐かしくって。」
そんな生徒達であるが同部屋となったかおりは窓に叩き付けるような吹雪を見つめるおキヌにふと声をかけていた。
何も見えないほど真っ白い景色に建物が揺れそうなほどの強い風が窓を叩くのを見ているおキヌは、少し遠くを見ているようで気になったらしい。
「もしかしたら私も悪霊として退治されたかもしれないんです。 そう思ったらちょっと……。」
ネクロマンサーとなり元幽霊の経験を生かしてGSを目指してるおキヌだが、自身も一歩間違えれば除霊されても可笑しくはなかったことを思い出している。
実際横島を殺してでも成仏したいと殺そうとしたし、もしあれが成功していたらと思うと今でも恐ろしくなるようだ。
「難しいですよね。 GSって。」
自分が一人でも多くの迷える霊を助けられるならとGSへの道に踏み出したおキヌであるが、死にたくないとさ迷う霊を半ば無理矢理除霊することには未だに戸惑いがある。
それに令子と横島と一緒に並びたいと願い踏み出した一歩でもあるのに、すでに令子と横島は別々の道を歩み始めてしまった。
かおりが事務所に来てようやく横島の待遇も変わるというのに喜びもあまりなくGSになるのを躊躇っている横島を見て以来、おキヌもまたGSになる意味を改めて考えさせられている。
当たり前に選んだ道であるが、それは自分が思い描いていた道とは少し違っていたのだ。
「みんな悩むものですわ。 GSだけが人生ではありませんから。」
おキヌは横島ほどGSを辞めようとは考えてないが横島の姿を見て改めてGSという職業を、そして自分の人生を考える機会となっていた。
かおりはそんなおキヌを見て、もしかすれば生きる辛さをおキヌは生き返ってから始めて感じているのかもしれないと思うと申し訳ないような少し複雑な気持ちもある。
この一ヶ月でかおりは気付いてしまった。
令子とおキヌにとって横島はただの弟子でも従業員でもなかったことに。
仕事を越えた信頼関係がかつてはあったのだ。
結果的に二人から横島を奪う形になったかおりはどうしても少し負い目を感じてしまう。
無論実際にはルシオラの件ですでに令子とおキヌと横島の関係は変わっていたこともなんとなく理解はしていたが。
まあ横島の気持ちを思えば中途半端に束縛し繋ぎ止めようとしていた令子とおキヌにはどうなんだろうと思う気持ちもあり罪悪感までは感じてないが。
しかし人の関係の難しさは改めて考えさせられていた。