その一

それから数日後には二度目の共同除霊の話し合いが行われるが、この時かおりから雪之丞の参加が伝えられる。

そして除霊日時や移動手段などについて話し合いが行われるが、話し合いの空気は前回と全く変わっていた。


「ピートさんと横島さんはどう思いますか?」

「調査から始める必要がありますし、最低でも二日は欲しいですね」

「ピートがそう言うんなら、それがいいんじゃないっすか」

この日一番変わったのはやはりかおりであり、明らかに横島への態度が変わっている。

前回の話し合いでは冷たく接していた態度も今回はカケラもなく、横島とピートを同等に扱っておりおキヌ達を驚かせていた。

尤も一番驚いていたのは横島本人であったが。

自分との関わりは絶対かおりは隠したいだろうと考えていた横島にとって、何故態度を変えたのか理解出来ない。


「横島さん。 貴方もプロのGSなのですから、きちんと考えて頂かないと困ります」

突然のかおりの変化に驚き戸惑う横島にかおりはしっかりして欲しいとダメ出しをするが、その口調にトゲはない。

無論かおりの突然の態度の変化の原因は横島にある。

かおりは今まで数回相談に乗ってもらったことで、少なくとも横島の人となりが僅かながら見え始めていた。

特に前回の公園での会話から、横島が予想以上に他人に対して冷めてることを理解したが故の変化だった。

横島は決して口にはしないが、かおりに対しても何も求めない現状にも繋がる気がしたのだ。

少なくともあのまま人前で冷たく接したままでは、雪之丞との問題解決と共に横島との縁が切れるのがほぼ確定である。


(やはりこの人は私にも期待してなかったのですね)

突然二人の時と同じように接して横島の反応を見極めるかおりだったが、予想以上に驚く横島にかおりは横島が自分に期待してなかったことを悟ってしまう。

そんな横島が何故かおりに優しくするのか、かおりも本当のところはよくわからない。

ただ横島との縁を切らしたくないならば、かおりから動かなければいけないのだけは確かだった。

その結果かおりは、人前での横島への態度を変えないことに決めたのだ。

都合のいい時だけ頼り自分の都合で態度を変えるような相手を、横島が信頼するともかおりには思えなかったのが原因である。

プライドよりも失いたくないと考えてしまったのだ。


「やっぱり日程には余裕を持たせた方がいいんじゃないか? 中途半端に調査して失敗したらマズイし」

結局この日の横島は、かおりに促されるまま話し合いに参加することになる。

そんな突然の変化におキヌと魔理は理由も分からずに首を傾げるばかりだが、扱いが変わった横島が一番不思議そうな為に理由を聞くにも聞けない。

ただおキヌはかおりと横島が和解することを元々目指していただけに、今回の変化を今のところは好意的に受け止めていたが。

そのままこの日の話し合いは、かおりが主導することでスムーズに進んでいく。

かおり自身は本当はリーダーになるつもりも自身が主導するつもりもなかったのだが、本来主導すべきGS免許持ちの横島とピートが消極的な以上は誰かが纏めねばならなかった。

前回はかおりはそれをおキヌに任せたが、おキヌでは魔理を抑えられないし横島を参加もさせられなかったので自分でやるしかないと考えたようだった。



16/100ページ
スキ