その二

「給料に関しては弓さんは歩合がいいかしら。 学校もあるし修行もするでしょうし時給だとちょっとね。 固定給でも構わないけど弓さんなら歩合の方が稼げるわ。 ただし今まで貴女達に回してたみたいに利益の総取りは無理ね。 失敗したら赤字も背負うなら報酬の総取りでもいいけど。」

横島も来たことで雇用具体的な条件を詰めることになるが令子はかおりを完全歩合制にするつもりらしい。

現状では横島が時給でおキヌは固定給だがかおりの場合は完全に預かった人材なので独立を前提に考えると歩合の方がいい。

横島の時給は相変わらずGSというよりは荷物持ちの時給のままであり、おキヌはネクロマンサーとしての固定給で年俸制にしてる。

ちなみに横島が時給255円なのに対しおキヌの年俸は一千万ほどになる。

実はおキヌの年俸は一千万でも格安であるが、おキヌ自身があまり金銭欲がないことと学業優先で日頃は土日くらいしか除霊に参加しないことからその程度に落ち着いていた。

なんと言っても正式なネクロマンサーが世界に三人しか居ないおキヌをその辺のバイトと同レベルにするには無理があった。

稀少能力というなら横島の文珠の方が上ではあるが、こちらは伝説過ぎて市場価値云々以前に能力の実体があまり知られてないので注目は集めても価値は今一つはっきりしてない。


「その辺りはお任せしますわ。」

「なら歩合ね。 当面は貴方一人で除霊したら利益の三割。 私と一緒なら一割ってとこかしら。 赤字は事務所持ちで事務所を通さぬ依頼を受けるなら必ず私の許可を取ること。 必要な霊具は事務所で買うからあとで目録でも出して。 ああ弓式の宝珠に関しても事務所から経費分とするから。」

さてかおりの待遇だが給料は完全歩合制になることになった。

固定給でもいいが能力的にもおキヌ程は出せないがかおりならば歩合制で一千万稼ぐのも難しくない。

ただし霊具の類いは事務所持ちなので、かおりの弓式除霊術に使う宝珠にも経費として幾らかかおりにキックバックするらしい。


「美神さん、依頼の許可なんて必要だったんですか?」

「おキヌちゃんや横島クンは別にそこまでしなくてもいんだけど弓さんは闘竜寺絡みの依頼が来る可能性があるのよ。 聞いた話じゃあんまり上手く行ってないみたいだし。 お母さんのツテとかで頼まれて受けても仕事を横取りしたとか難癖付けられたら面倒なのよ。 間に入ってるのおばさまだからどうしてもって人にはおばさまを通してGS協会も通して貰うことね。 あと無いとは思うけど嫌がらせに面倒な依頼とか押し付けられても困るし。」

しかしまあ闘竜寺を飛び出したかおりの扱いは令子を持ってしても少し厄介らしく、要らぬ争いや嫌がらせから身を守る為にもかおりは暫く個人で依頼は受けぬようにと釘を刺された。

おキヌはそこまでするのかと驚き横島は令子やエミ以外のGSもえげつないなと顔をしかめていたが、かおり自身はある程度自覚してるらしく申し訳なさそうだ。


「あと横島クンのことだけど貴方はどうしたいの? 見習い卒業したいなら実力より知識面の勉強が必要なんだけど。 同じ歩合にして彼女と一緒に仕事しながら教わる? 私が教えてもいいけどその前に事務所にある本くらいは読んでからにしてよね。 子供じゃないんだから。」

そして横島のことだがこちらはまあようやく見習いGSとしての待遇にシフトするも、見習いを卒業するには圧倒的に知識が足りない。

給料は何でもいいらしいが実力があっても知識がないので一人でほとんど使えぬことから、待遇が上がらなかったという訳もあった。

令子も積極的に教えようとはしなかったがこの場合自助努力による修行も勉強も一切しない横島が悪いという面もある。


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