その二
「えっ!? 美神事務所ですか?」
「そうよ~。 どうかしら~。」
そして三学期の始業式の日になるとかおりは理事長である六道冥菜に修行先について呼ばれていたが、まさか美神事務所がここで候補となるとは思わなかったようで驚きを通り越して衝撃を受けていた。
闘竜寺の関係から仏教系GSはないと考えていたし一番いいのは非宗教系のGSであることは確かであるものの、令子が弟子を取らないのは有名だしかおり自身は世話になっているがここで令子が手を差し伸べてくれるのは完全に予想外になる。
「その私としては願ってもないお話ですが、本当によろしいのでしょうか? 美神お姉さまにはお世話になってますし、あまりご迷惑をおかけするのは……。」
「貴女の実力を考えると~、令子ちゃんのとこが最適だとおばさん思うのよ~。 心配しなくても令子ちゃんもおキヌちゃんも了解してくれたわ~。」
横島との関係を考えるとこれ以上ない申し出であったがかおりとしてはあまりにいい話に少し戸惑っているし、第一かおりとしては世話になっている令子や友人のおキヌが本当に自分を喜んで受け入れてくれたとはあまり思えないでいた。
ただかおりの実力を考慮すると美神事務所が最適なのは冥菜から見て明らかであり、最悪六道家や小飼のGSの元で育て資格を取らせる道も検討したがこちらはかおりが得るものはあまりないと判断せざるを得ない。
「横島君とも仲がいいんでしょう~? 令子ちゃんの元なら二人とも修行が捗ると思うの~。」
加えてかおりが驚いたのは冥菜が横島との関係をある程度理解していたことになる。
別に隠していた訳ではないし六道一門の唐巣が学校の生徒であるかおりに修行場所を提供することを、冥菜に一言報告しても何もおかしいことではないから問題がある訳ではない。
それに元々六道女学院では学校外での修行などは何処のGSや霊能者に師事したかは、報告しなくてはならない規則があるのでかおりも新学期が始まったら報告しようとはしていたことであるが。
「貴女のような霊能者が~、何の気兼ねもなく活躍出来ることがおばさんの楽しみなのよ~。 令子ちゃんも分かってくれてるわ~。」
「理事長先生……。」
決して綺麗事だけの善人ではないオカルト業界の最大派閥の首領として時には業界に恨まれることもある冥菜であるが、一人でも多くの生徒を一人前のGSにしたいと努力していることもまた業界では評価されている。
伝統や格式を重んじる闘竜寺のような宗教系GSの派閥には疎まれてもいるが、かおりのように訳あって修行先を飛び出した霊能者を受け入れて仕事を回したりする面倒見の良さは他のオカルト業界の派閥にはないものだった。
令子にしても六道家は厄介な依頼や冥子のお守りを頼むので少し苦手な相手だが、その令子の後ろ楯は六道家でありオカルト業界の秩序なんて関係ないとばかりに好きに仕事をしていられるのも全く無関係ではない。
「よろしくお願いいたしますわ。」
結局かおりは冥菜の提案を素直に受け入れ美神事務所での修行を頼むことになる。
正直横島との関係から修行先は少なくとも六道一門で令子とあまり関係が悪くない人が望ましいと考えていたので、助かったというのが本音だろう。
師匠同士が関係が悪いと弟子同士の関係にも影響するのがオカルト業界の常識であり、令子とエミの関係が良好に見えるほど仲の悪い関係者は弟子や一門に一切関わるなと言うほどに仲の悪いことも珍しくないのだ。
結果としてこの日の放課後にさっそく挨拶に向かうことになり、知らないのはあと横島だけであった。
「そうよ~。 どうかしら~。」
そして三学期の始業式の日になるとかおりは理事長である六道冥菜に修行先について呼ばれていたが、まさか美神事務所がここで候補となるとは思わなかったようで驚きを通り越して衝撃を受けていた。
闘竜寺の関係から仏教系GSはないと考えていたし一番いいのは非宗教系のGSであることは確かであるものの、令子が弟子を取らないのは有名だしかおり自身は世話になっているがここで令子が手を差し伸べてくれるのは完全に予想外になる。
「その私としては願ってもないお話ですが、本当によろしいのでしょうか? 美神お姉さまにはお世話になってますし、あまりご迷惑をおかけするのは……。」
「貴女の実力を考えると~、令子ちゃんのとこが最適だとおばさん思うのよ~。 心配しなくても令子ちゃんもおキヌちゃんも了解してくれたわ~。」
横島との関係を考えるとこれ以上ない申し出であったがかおりとしてはあまりにいい話に少し戸惑っているし、第一かおりとしては世話になっている令子や友人のおキヌが本当に自分を喜んで受け入れてくれたとはあまり思えないでいた。
ただかおりの実力を考慮すると美神事務所が最適なのは冥菜から見て明らかであり、最悪六道家や小飼のGSの元で育て資格を取らせる道も検討したがこちらはかおりが得るものはあまりないと判断せざるを得ない。
「横島君とも仲がいいんでしょう~? 令子ちゃんの元なら二人とも修行が捗ると思うの~。」
加えてかおりが驚いたのは冥菜が横島との関係をある程度理解していたことになる。
別に隠していた訳ではないし六道一門の唐巣が学校の生徒であるかおりに修行場所を提供することを、冥菜に一言報告しても何もおかしいことではないから問題がある訳ではない。
それに元々六道女学院では学校外での修行などは何処のGSや霊能者に師事したかは、報告しなくてはならない規則があるのでかおりも新学期が始まったら報告しようとはしていたことであるが。
「貴女のような霊能者が~、何の気兼ねもなく活躍出来ることがおばさんの楽しみなのよ~。 令子ちゃんも分かってくれてるわ~。」
「理事長先生……。」
決して綺麗事だけの善人ではないオカルト業界の最大派閥の首領として時には業界に恨まれることもある冥菜であるが、一人でも多くの生徒を一人前のGSにしたいと努力していることもまた業界では評価されている。
伝統や格式を重んじる闘竜寺のような宗教系GSの派閥には疎まれてもいるが、かおりのように訳あって修行先を飛び出した霊能者を受け入れて仕事を回したりする面倒見の良さは他のオカルト業界の派閥にはないものだった。
令子にしても六道家は厄介な依頼や冥子のお守りを頼むので少し苦手な相手だが、その令子の後ろ楯は六道家でありオカルト業界の秩序なんて関係ないとばかりに好きに仕事をしていられるのも全く無関係ではない。
「よろしくお願いいたしますわ。」
結局かおりは冥菜の提案を素直に受け入れ美神事務所での修行を頼むことになる。
正直横島との関係から修行先は少なくとも六道一門で令子とあまり関係が悪くない人が望ましいと考えていたので、助かったというのが本音だろう。
師匠同士が関係が悪いと弟子同士の関係にも影響するのがオカルト業界の常識であり、令子とエミの関係が良好に見えるほど仲の悪い関係者は弟子や一門に一切関わるなと言うほどに仲の悪いことも珍しくないのだ。
結果としてこの日の放課後にさっそく挨拶に向かうことになり、知らないのはあと横島だけであった。