その一
令子により逃げ道を完全に塞がれた横島だが、一方で先に帰ったかおりは言葉に出来ない不安が心に広がっていた。
(普通に話すことも出来ないのは厄介ですわね)
今日の話し合いで痛感したのは、横島とかおりの本来の距離感だろう。
友達とすら呼べないその距離感は今のかおりにとって遠すぎるものだった。
横島が突然参加しないと言い出したことにも驚いたが、その訳を聞くことも出来ない状況には正直かなり焦ってしまったのだ。
「氷室さんは横島さんの評価を気にしてるようですわね」
そして今回の共同除霊において、おキヌが何を狙っていたかをかおりは気付いている。
恐らく一ヶ月前のかおりにちょっかいを出した件で下がった、横島の評価を変えたいのだろうと。
(よく分からない人ですわね)
はっきり言うと横島が何を考えているのか、かおりには全く理解出来ない。
そもそもかおりと雪之丞の件で、何故横島が一人評価が下がったままの状況を放置するのかも理解に苦しむのだ。
最初は何か狙ってるのかと考えたが、横島からのアプローチは全くない。
まさか自己犠牲にして雪之丞やかおりの名誉を守ろうとしてるのかとも考えたが、横島がそんなタイプでないのは薄々感じている。
「近寄れば近寄るだけ遠く感じるなんて……」
雪之丞との別れの日を含めても二人で会った回数は僅か三回だが、かおりの横島に対する印象は思ってた以上に親切でちゃんとした人だというものだった。
まあクラス対抗戦の時やクリスマス合コンの時の態度が態度なたけに仕方ないことだが。
ただそんな横島の新たな一面を知れば知るほど、本来の横島が見えなくなってしまう。
まるで蜃気楼のようだとかおりは感じる。
「今回の依頼でせめて普通に話せる関係にはなりたいですわね」
いろいろなことが頭に浮かんでは消えていくかおりだが、一つだけ確実なのはコソコソと隠れずに話せる関係になりたいとの願いだった。
実際かおり自身はあまり自覚してないが、先程からいろいろ考えてしまう不安の原因は横島との遠すぎる距離感にある。
雪之丞への気持ちの整理こそ出来たが、裏切られ失った心の傷が完全に癒えた訳ではない。
そんなかおりが無意識に頼りにしていたのは、今回の件で関わりを持つようになった横島だった。
それは特別なことをするのではなく話を聞いて受け止めてくれるだけの存在ではあったが、その存在がかおりには安心感となり心の支えの一つになっている。
それを失うことにかおりは恐さと不安を感じ始めていた。
そして雪之丞との別れをおキヌ達に告げるべきかどうかよりも、横島との関係がどうなるのかが気になってしまい、そちらばかり考えてることにかおりは全く気付いてない。
無論この時点でもかおりにとって横島は、恋愛対象ではなく本音を言える友人ていどではあるが……。
その気持ちの行く末に気付いてる者は、かおり本人を含めて今のところは誰もいない。
(普通に話すことも出来ないのは厄介ですわね)
今日の話し合いで痛感したのは、横島とかおりの本来の距離感だろう。
友達とすら呼べないその距離感は今のかおりにとって遠すぎるものだった。
横島が突然参加しないと言い出したことにも驚いたが、その訳を聞くことも出来ない状況には正直かなり焦ってしまったのだ。
「氷室さんは横島さんの評価を気にしてるようですわね」
そして今回の共同除霊において、おキヌが何を狙っていたかをかおりは気付いている。
恐らく一ヶ月前のかおりにちょっかいを出した件で下がった、横島の評価を変えたいのだろうと。
(よく分からない人ですわね)
はっきり言うと横島が何を考えているのか、かおりには全く理解出来ない。
そもそもかおりと雪之丞の件で、何故横島が一人評価が下がったままの状況を放置するのかも理解に苦しむのだ。
最初は何か狙ってるのかと考えたが、横島からのアプローチは全くない。
まさか自己犠牲にして雪之丞やかおりの名誉を守ろうとしてるのかとも考えたが、横島がそんなタイプでないのは薄々感じている。
「近寄れば近寄るだけ遠く感じるなんて……」
雪之丞との別れの日を含めても二人で会った回数は僅か三回だが、かおりの横島に対する印象は思ってた以上に親切でちゃんとした人だというものだった。
まあクラス対抗戦の時やクリスマス合コンの時の態度が態度なたけに仕方ないことだが。
ただそんな横島の新たな一面を知れば知るほど、本来の横島が見えなくなってしまう。
まるで蜃気楼のようだとかおりは感じる。
「今回の依頼でせめて普通に話せる関係にはなりたいですわね」
いろいろなことが頭に浮かんでは消えていくかおりだが、一つだけ確実なのはコソコソと隠れずに話せる関係になりたいとの願いだった。
実際かおり自身はあまり自覚してないが、先程からいろいろ考えてしまう不安の原因は横島との遠すぎる距離感にある。
雪之丞への気持ちの整理こそ出来たが、裏切られ失った心の傷が完全に癒えた訳ではない。
そんなかおりが無意識に頼りにしていたのは、今回の件で関わりを持つようになった横島だった。
それは特別なことをするのではなく話を聞いて受け止めてくれるだけの存在ではあったが、その存在がかおりには安心感となり心の支えの一つになっている。
それを失うことにかおりは恐さと不安を感じ始めていた。
そして雪之丞との別れをおキヌ達に告げるべきかどうかよりも、横島との関係がどうなるのかが気になってしまい、そちらばかり考えてることにかおりは全く気付いてない。
無論この時点でもかおりにとって横島は、恋愛対象ではなく本音を言える友人ていどではあるが……。
その気持ちの行く末に気付いてる者は、かおり本人を含めて今のところは誰もいない。