その二
部屋の中では付けっぱなしのテレビと焼きそばを食べる音が静かに響いていた。
突然のことに共に頭が真っ白になった横島と雪之丞だが先に我に帰ったのは平然としたかおりを見ている横島であり、よくよく考えてみると自分は何も悪くないのではと今更ながらに気付く。
友人だか知人だかを助ける為とはいえ下手な嘘をついて後始末を押し付けられた身としては最低限やれることはしたはずなのだ。
ただかおりの姿を見て以降ずっと生返事はしてもまともな返事や言葉がない雪之丞を見ていると、横島には開き直る勇気もなく結局三人は無言のまま食事を続ける。
「邪魔したな。」
「……お前なんか話あったんじゃねえのか?」
「別に、近くに来たから寄っただけだ。」
そのまま無言の雪之丞とかおりに挟まれた横島は逃げ出したくなるほど重苦しい雰囲気の中で食事を続けるが、雪之丞は食べ終えると何も言わずに帰ろうとする。
「お前さ、今本当のこと話さないでいつ話すんだ?」
「横島、てめえ……。」
横島はたまらず雪之丞に声をかけて何とか真相を話す方へと導こうとするも、最終的には意外に鈍い雪之丞に横島から話を言い出してしまった。
正直雪之丞は動揺していてまともに考えられる状態ではなかったのだろう。
横島の言葉に思わず睨んでしまう。
「何故本当のことを素直に話してくれなかったのですか?」
ただそこで睨む以上のことをしなかったのは雪之丞にも横島が悪い訳ではないと分かって居たからで、そんな緊張感高まった横島と雪之丞にずっと無言だったかおりは割って入るように自身が知りたかった核心を単刀直入に尋ねる。
「……あっちは日本とは訳が違う。 表も裏もはっきりしてねえしどこまでも深い。 ダチを助けられても組織がある以上危険が続く可能性が高かかったんだよ。」
怒りもなく悲しみもなくただ真剣に真実を求めるかおりに帰ろうと立ち上がった雪之丞は座り直すと真相を話始めるが、雪之丞が関わっていた件はかおりが考えていた以上に厄介だった。
日本も決して清廉潔白とは言えないが、魔都とも呼ばれる香港は中華圏であるが故に裏は深く何処で表と繋がっているかも定かではない。
雪之丞は最悪でも捕らわれていた友人を助けた後に友人夫婦を何処か海外に逃がし、自身もしばらく身を隠すことも選択肢に入れていたようである。
かおりに話さなかったのはかおりの身を案じたこともあるし、元々成功するかすら定かではないので理解してもらえると思えなかったからであった。
「貴方、それはもうGSの仕事じゃありませんわよ。 警察なりオカルトGメンなりに相談するべきだったのでは?」
「その警察の一部が裏で関わってた形跡があったんだよ。 あそこはそんな国なんだ。 オカルトGメンは余程の証拠が無ければあの国じゃ動けねえ。 お前はどうせヒャクメに頼んだんだろうがそんなこと出来るのはお前か美神令子だけだ。」
どうやら雪之丞は急転直下で自身が関わっていた組織が壊滅した裏事情を悟ったらしく、雪之丞なりに調べたことや方法を考えたことを明かすも他に方法がなかったらしい。
いくらヒャクメが神族らしくないとはいえ神界から呼び出して頼み事を出来るほど雪之丞は神族に借りも繋がりもない。
加えて今回一件が片付いたのは横島が西条に流した情報が確かだったこともあるが、実はそれを生かし上手く国や関係各署と交渉した西条の手腕も大きかった。
突然のことに共に頭が真っ白になった横島と雪之丞だが先に我に帰ったのは平然としたかおりを見ている横島であり、よくよく考えてみると自分は何も悪くないのではと今更ながらに気付く。
友人だか知人だかを助ける為とはいえ下手な嘘をついて後始末を押し付けられた身としては最低限やれることはしたはずなのだ。
ただかおりの姿を見て以降ずっと生返事はしてもまともな返事や言葉がない雪之丞を見ていると、横島には開き直る勇気もなく結局三人は無言のまま食事を続ける。
「邪魔したな。」
「……お前なんか話あったんじゃねえのか?」
「別に、近くに来たから寄っただけだ。」
そのまま無言の雪之丞とかおりに挟まれた横島は逃げ出したくなるほど重苦しい雰囲気の中で食事を続けるが、雪之丞は食べ終えると何も言わずに帰ろうとする。
「お前さ、今本当のこと話さないでいつ話すんだ?」
「横島、てめえ……。」
横島はたまらず雪之丞に声をかけて何とか真相を話す方へと導こうとするも、最終的には意外に鈍い雪之丞に横島から話を言い出してしまった。
正直雪之丞は動揺していてまともに考えられる状態ではなかったのだろう。
横島の言葉に思わず睨んでしまう。
「何故本当のことを素直に話してくれなかったのですか?」
ただそこで睨む以上のことをしなかったのは雪之丞にも横島が悪い訳ではないと分かって居たからで、そんな緊張感高まった横島と雪之丞にずっと無言だったかおりは割って入るように自身が知りたかった核心を単刀直入に尋ねる。
「……あっちは日本とは訳が違う。 表も裏もはっきりしてねえしどこまでも深い。 ダチを助けられても組織がある以上危険が続く可能性が高かかったんだよ。」
怒りもなく悲しみもなくただ真剣に真実を求めるかおりに帰ろうと立ち上がった雪之丞は座り直すと真相を話始めるが、雪之丞が関わっていた件はかおりが考えていた以上に厄介だった。
日本も決して清廉潔白とは言えないが、魔都とも呼ばれる香港は中華圏であるが故に裏は深く何処で表と繋がっているかも定かではない。
雪之丞は最悪でも捕らわれていた友人を助けた後に友人夫婦を何処か海外に逃がし、自身もしばらく身を隠すことも選択肢に入れていたようである。
かおりに話さなかったのはかおりの身を案じたこともあるし、元々成功するかすら定かではないので理解してもらえると思えなかったからであった。
「貴方、それはもうGSの仕事じゃありませんわよ。 警察なりオカルトGメンなりに相談するべきだったのでは?」
「その警察の一部が裏で関わってた形跡があったんだよ。 あそこはそんな国なんだ。 オカルトGメンは余程の証拠が無ければあの国じゃ動けねえ。 お前はどうせヒャクメに頼んだんだろうがそんなこと出来るのはお前か美神令子だけだ。」
どうやら雪之丞は急転直下で自身が関わっていた組織が壊滅した裏事情を悟ったらしく、雪之丞なりに調べたことや方法を考えたことを明かすも他に方法がなかったらしい。
いくらヒャクメが神族らしくないとはいえ神界から呼び出して頼み事を出来るほど雪之丞は神族に借りも繋がりもない。
加えて今回一件が片付いたのは横島が西条に流した情報が確かだったこともあるが、実はそれを生かし上手く国や関係各署と交渉した西条の手腕も大きかった。