その二
イブのデートも終わり翌日のクリスマスを過ぎると街は一気に年末になる。
すでに美神事務所は年末年始休業となっていたが年末年始は寝てると公言する令子なだけに自堕落な生活を送っていた。
「ちょっと~、相談したいことがあるの~。」
そんな年末のとある日令子の元には六道冥菜が訪れていた。
相変わらずのほほんとした雰囲気ではあるが微妙に厄介事の気配を感じてか令子の表情は冴えない。
「おばさま、年末だし面倒な依頼は嫌ですよ。」
「実はね~、弓かおりちゃんのことで……。」
クリスマスを前におキヌは氷室家に里帰りしていてこの日は事務所に一人であり、仕事はしたくないと顔にもろに出ている令子だが。
冥菜はそんな令子の表情を特に気にせずマイペースに相談したいことを話始めるが、それはかおりの修行先の一件であった。
母親と一緒に闘竜寺を飛び出したと聞いて令子は横島の影響で抗議でも来たのかと身構えるが、内容は今後のことに移っていく。
「令子ちゃんのとこでお願い出来ないかしら~? あの子は才能があるわ~。 令子ちゃんほどでないにしても。 でも今のままでは小さく纏まってしまうの~。」
「おばさま、私が弟子は取らないって知ってますよね?」
「弓ちゃんは基礎も出来てるし自分で修行もできるわ~。 あとは経験を積ませるだけよ~。 令子ちゃん随分気にかけてくれてるみたいだし、ちょうどいいかなって~。」
どうやら冥菜はかおりの修行先として美神事務所を考えているらしくお願いするが、令子は少し興味を持ちつつも断るつもりで返事をする。
だが冥菜としてもその答えは予測済だったようで細かいことを指導する必要がないということや、令子がおキヌの口実を理由にかおりに仕事を回していることを知ってることも匂わす。
「私は別に……。」
「横島君とも親しいんでしょう~?」
相変わらず地獄耳な人だと令子は少し身構えるが、冥菜は冥菜で合理的な判断としてかおりを預ける先に令子を考えていた。
流石に令子が何を思いかおりを気にかけて居るかは想像でしかないようだが、かおりの修行先は意外に難しい。
今のところ父親は何も動いてないが、すでに関係が深い仏教系GSでは母親とかおりの行動を問題だと非難してるとの噂も聞こえている。
六道一派にも仏教系GSは居るが下手にそちらに頼めば要らぬ角がたつのは考えるまでもない。
ここまでくれば完全に商業化している令子のようなGSが師匠には最適であった。
「彼女が男なら唐巣君に頼んだんだけど~。」
それに実のところ冥菜は令子がかおりを気にかけている理由をほぼ間違いなく推測出来ている。
令子がアシュタロス戦のけじめを早く着けたいならば、横島とかおりの関係を見守りそれとなく後押ししてやる必要があるのだ。
無論かおりの才能を買ってるのも本心で中途半端なGSではかおりの修行にならないとの現実的な理由もあったが。
「仏教系GSに恨まれそうね。」
「大丈夫よ~。 陰口を言う以上のことはさせないから~。」
一方の令子は少しというかかなり悩み揺れていた。
弟子は取らないというのは変わらないが従業員として面倒を見るならば百歩譲って考えなくもない。
かおりを手元に置いて見極めるのも悪くはないと思うし、肝心の横島もそろそろ独り立ちが必要な時期なのだが本人のやる気の問題もあり進んでないのだ。
今までのことで二人を一緒にしてれば少なくとも仕事をやれるのは確かで、このまま二人を一緒に扱うのは横島にとっても悪い話ではない。
すでに美神事務所は年末年始休業となっていたが年末年始は寝てると公言する令子なだけに自堕落な生活を送っていた。
「ちょっと~、相談したいことがあるの~。」
そんな年末のとある日令子の元には六道冥菜が訪れていた。
相変わらずのほほんとした雰囲気ではあるが微妙に厄介事の気配を感じてか令子の表情は冴えない。
「おばさま、年末だし面倒な依頼は嫌ですよ。」
「実はね~、弓かおりちゃんのことで……。」
クリスマスを前におキヌは氷室家に里帰りしていてこの日は事務所に一人であり、仕事はしたくないと顔にもろに出ている令子だが。
冥菜はそんな令子の表情を特に気にせずマイペースに相談したいことを話始めるが、それはかおりの修行先の一件であった。
母親と一緒に闘竜寺を飛び出したと聞いて令子は横島の影響で抗議でも来たのかと身構えるが、内容は今後のことに移っていく。
「令子ちゃんのとこでお願い出来ないかしら~? あの子は才能があるわ~。 令子ちゃんほどでないにしても。 でも今のままでは小さく纏まってしまうの~。」
「おばさま、私が弟子は取らないって知ってますよね?」
「弓ちゃんは基礎も出来てるし自分で修行もできるわ~。 あとは経験を積ませるだけよ~。 令子ちゃん随分気にかけてくれてるみたいだし、ちょうどいいかなって~。」
どうやら冥菜はかおりの修行先として美神事務所を考えているらしくお願いするが、令子は少し興味を持ちつつも断るつもりで返事をする。
だが冥菜としてもその答えは予測済だったようで細かいことを指導する必要がないということや、令子がおキヌの口実を理由にかおりに仕事を回していることを知ってることも匂わす。
「私は別に……。」
「横島君とも親しいんでしょう~?」
相変わらず地獄耳な人だと令子は少し身構えるが、冥菜は冥菜で合理的な判断としてかおりを預ける先に令子を考えていた。
流石に令子が何を思いかおりを気にかけて居るかは想像でしかないようだが、かおりの修行先は意外に難しい。
今のところ父親は何も動いてないが、すでに関係が深い仏教系GSでは母親とかおりの行動を問題だと非難してるとの噂も聞こえている。
六道一派にも仏教系GSは居るが下手にそちらに頼めば要らぬ角がたつのは考えるまでもない。
ここまでくれば完全に商業化している令子のようなGSが師匠には最適であった。
「彼女が男なら唐巣君に頼んだんだけど~。」
それに実のところ冥菜は令子がかおりを気にかけている理由をほぼ間違いなく推測出来ている。
令子がアシュタロス戦のけじめを早く着けたいならば、横島とかおりの関係を見守りそれとなく後押ししてやる必要があるのだ。
無論かおりの才能を買ってるのも本心で中途半端なGSではかおりの修行にならないとの現実的な理由もあったが。
「仏教系GSに恨まれそうね。」
「大丈夫よ~。 陰口を言う以上のことはさせないから~。」
一方の令子は少しというかかなり悩み揺れていた。
弟子は取らないというのは変わらないが従業員として面倒を見るならば百歩譲って考えなくもない。
かおりを手元に置いて見極めるのも悪くはないと思うし、肝心の横島もそろそろ独り立ちが必要な時期なのだが本人のやる気の問題もあり進んでないのだ。
今までのことで二人を一緒にしてれば少なくとも仕事をやれるのは確かで、このまま二人を一緒に扱うのは横島にとっても悪い話ではない。