その二
「その人を産むのが人間では無理だということですか?」
それからどれほど時が過ぎただろうか。
あまりアトラクションで遊ぶ気にもなれずに園内のカフェで無言のままお茶をしていたが、ようやく頭と気持ちが働きだしたかおりは状況を整理し始めていた。
「いや、人間でも可能らしいんですけどね。」
横島としては先程の会話で話は全て終わったと考えていてこのあとどうしようかなと考えていたのだが、ずっと無言だったかおりが再び話を戻したのでビクッと反応して答える。
正直なところ横島は無言になったかおりの様子から今までのような関係も終わりかなと落胆していただけに、また話を戻すとは思わなかったらしい。
「ではどなたかにすでに頼んでいるのですか?」
「そんなこと誰にも頼めませんって。 実は産まれてくる子供はルシオラの生まれ変わりですけど、特殊な事例なんでそのまま人として育つかルシオラの記憶と魔族の力が覚醒するかも産まれてみないと分からないらしくって。」
この時かおりは二つの可能性を考えていた。
一つはすでに転生する計画があり相手も決まってる可能性と、もう一つは転生が可能な相手を探してる可能性だ。
本音を言えばすべて受け止めて消化したとは言えないが、それでも気持ちが横島から離れることだけはなかった。
「頼めない? ではどうするのです?」
「いや、どうしようもないのが現状でして。」
しかし横島は考えてるようで具体的なことは何一つ考えてなく、それは日頃横島が除霊する時と同じで感性と気持ちだけで進もうとしてる姿だった。
実際はなんとか前向きに考え前に進んではいるが、あまりに重く複雑な問題なだけに具体的なことは一切進まなかっただけとも言えるが。
「氷室さんはこのことを?」
「おキヌちゃんも美神さんも知ってますよ。」
横島のあまりに無策な様子にかおりは軽い頭痛を感じつつも知りたかった最後の質問を投げ掛ける。
それは友人であるおキヌがそのことを全て知っているかということだった。
恐らく知ってるような気はしたが、かおりとしてはそこはしっかり確認しなくてはならないことなのだ。
「本当に頼りになるのに計画性は全くない人なんですのね。 まあ、いいですわ。 そのことは二人でゆっくり考えていきましょう。」
「……はい?」
「何を驚いてるんですの? 先程そう言ったはずですが。」
とりあえず聞きたいことを聞いたかおりはこの場でルシオラのことを決断するべきではないと考え、今は横島との関係をきちんと始めることにする。
しかし横島はもう終わりだと勝手に諦めていたので、目の前のかおりを何を言ってるか理解できないと言わんばかりにポカーンと見つめた。
「いや、だって。 その……」
「思うんですが、子供の魂の前世までいちいち気にしていたらキリがありませんわ。 前世の記憶や先祖帰りのような力を持つ子供というのも多いとは言えませんが前例がありますし。 幸い私はその方のことよく知りませんから。 冷たいかもしれませんが私は横島さんや氷室さんほど特別視はしてません。 仮に将来結婚して産まれた子がその方だったとしても私の子供であることにも変わりありませんから。」
今度は横島が頭を真っ白にする番だった。
かおりとしてはこの場で決断する気はないが正直な感想を口にすると、それは横島にとってあまりに予想外だったようで口をパクパクとさせてしまう。
深刻に考えればどこまでも深刻になるが現状のかおりとしてはそこまで深刻に考えることかと疑問も感じている。
少し冷たいかもしれないと自分でも思うが、かおりにとってルシオラは顔をうっすらと知る程度の魔族の女性でしかない。
特殊な事例であることに変わりはないが、人が産まれてくる子供の魂を選ぶなどしていいこととは思えないとの考えが根底にあった。
それに所詮は誰かの生まれ変わりが子供になるならば、横島の為に命を賭けたヒトが生まれ変わりでもいいのではと思うのだ。
それからどれほど時が過ぎただろうか。
あまりアトラクションで遊ぶ気にもなれずに園内のカフェで無言のままお茶をしていたが、ようやく頭と気持ちが働きだしたかおりは状況を整理し始めていた。
「いや、人間でも可能らしいんですけどね。」
横島としては先程の会話で話は全て終わったと考えていてこのあとどうしようかなと考えていたのだが、ずっと無言だったかおりが再び話を戻したのでビクッと反応して答える。
正直なところ横島は無言になったかおりの様子から今までのような関係も終わりかなと落胆していただけに、また話を戻すとは思わなかったらしい。
「ではどなたかにすでに頼んでいるのですか?」
「そんなこと誰にも頼めませんって。 実は産まれてくる子供はルシオラの生まれ変わりですけど、特殊な事例なんでそのまま人として育つかルシオラの記憶と魔族の力が覚醒するかも産まれてみないと分からないらしくって。」
この時かおりは二つの可能性を考えていた。
一つはすでに転生する計画があり相手も決まってる可能性と、もう一つは転生が可能な相手を探してる可能性だ。
本音を言えばすべて受け止めて消化したとは言えないが、それでも気持ちが横島から離れることだけはなかった。
「頼めない? ではどうするのです?」
「いや、どうしようもないのが現状でして。」
しかし横島は考えてるようで具体的なことは何一つ考えてなく、それは日頃横島が除霊する時と同じで感性と気持ちだけで進もうとしてる姿だった。
実際はなんとか前向きに考え前に進んではいるが、あまりに重く複雑な問題なだけに具体的なことは一切進まなかっただけとも言えるが。
「氷室さんはこのことを?」
「おキヌちゃんも美神さんも知ってますよ。」
横島のあまりに無策な様子にかおりは軽い頭痛を感じつつも知りたかった最後の質問を投げ掛ける。
それは友人であるおキヌがそのことを全て知っているかということだった。
恐らく知ってるような気はしたが、かおりとしてはそこはしっかり確認しなくてはならないことなのだ。
「本当に頼りになるのに計画性は全くない人なんですのね。 まあ、いいですわ。 そのことは二人でゆっくり考えていきましょう。」
「……はい?」
「何を驚いてるんですの? 先程そう言ったはずですが。」
とりあえず聞きたいことを聞いたかおりはこの場でルシオラのことを決断するべきではないと考え、今は横島との関係をきちんと始めることにする。
しかし横島はもう終わりだと勝手に諦めていたので、目の前のかおりを何を言ってるか理解できないと言わんばかりにポカーンと見つめた。
「いや、だって。 その……」
「思うんですが、子供の魂の前世までいちいち気にしていたらキリがありませんわ。 前世の記憶や先祖帰りのような力を持つ子供というのも多いとは言えませんが前例がありますし。 幸い私はその方のことよく知りませんから。 冷たいかもしれませんが私は横島さんや氷室さんほど特別視はしてません。 仮に将来結婚して産まれた子がその方だったとしても私の子供であることにも変わりありませんから。」
今度は横島が頭を真っ白にする番だった。
かおりとしてはこの場で決断する気はないが正直な感想を口にすると、それは横島にとってあまりに予想外だったようで口をパクパクとさせてしまう。
深刻に考えればどこまでも深刻になるが現状のかおりとしてはそこまで深刻に考えることかと疑問も感じている。
少し冷たいかもしれないと自分でも思うが、かおりにとってルシオラは顔をうっすらと知る程度の魔族の女性でしかない。
特殊な事例であることに変わりはないが、人が産まれてくる子供の魂を選ぶなどしていいこととは思えないとの考えが根底にあった。
それに所詮は誰かの生まれ変わりが子供になるならば、横島の為に命を賭けたヒトが生まれ変わりでもいいのではと思うのだ。