その一

「へ~、そんなことがあったの。 若いわね」

「美神さん、笑い事じゃないんですよ」

その後かおり達が帰り日が暮れた頃には令子が戻ってくるが、おキヌが今日の話し合いでのことを教えると令子は笑っていた。


「普通に考えて女子高生が横島クンと一緒に仕事するの嫌がるのは当然よ。 私から見れば横島クンが乗り気じゃない方が不思議だわ」

魔理の態度や考えは令子も理解出来るらしいが、彼女はどちらかと言えば横島が乗り気でない方が不思議らしい。


「あの依頼失敗して怒られるのってどう考えても俺でしょ!? しかもずっと睨まれてまで行きたくないっすよ」

「横島クンが責任取るのは当然でしょうが。  何のためのGS免許なのよ。 でもあの一文字って子は横島クンが苦手なタイプなのも確かよね」

女子高生相手に尻込みする横島を令子は若干疑うように見るが、横島が責任をとりたくないと騒ぎ睨まれてまで行きたくないと言うと納得した表情になり呆れていた。

令子は気付いているが横島が元々タイプなのはかおりであり、魔理はどちらかと言えば横島が苦手なタイプである。

昔からヘタレで臆病な横島は、不良やヤンキーが男女問わず苦手で嫌いと言ってもいい。

しかもさほど可愛い訳でもない魔理なだけに、睨まれると苦手意識が生まれても仕方なかった。


「私は別に横島クン抜きにしてもいいけど。 そっちはピートも居るし大丈夫なんじゃない?」

「ダメです! 今回の依頼で弓さんと一文字さんにきちんと横島さんを知ってほしいんです!」

最終的に令子は横島を外すことを認めようとするが、そんな令子におキヌが珍しく反発する。

おキヌとしては横島をきちんと評価して貰う絶好の機会なだけに譲れない一線があるらしい。


「なんでおキヌちゃんがあんなにこだわるんだ?」

「アンタが前に弓って子につまんいちょっかい出したから、おキヌちゃん肩身の狭い思いしたんでしょ。 もう私にも止められないわよ」

結局おキヌは横島に対し、参加しないならもうご飯を作ってあげないと宣告してしまい怒って部屋を出て行ってしまう。

横島とすればおキヌの考えが全く理解出来なずにポカーンとするが、令子もここまでくるとおキヌを止めれないから諦めろと言わんばかりだ。


「仕方ないわね。 横島クンにはみんなと同じ成功報酬以外にも、別にいつもの時給も出すから行って来なさい」

「えっ、あの成功報酬って俺も貰えたんですか!?」

「アンタね。 私のことどう思ってるのよ」

そのまましばらく困ったように悩んでいた令子だが、横島に対し成功報酬以外にも時給を出すから行って来いというと、成功報酬など貰えないと思っていた横島は驚き令子を見つめる。

日頃の令子ならば横島だけは貰えなくても当然なのだが、流石にあのメンバーを前に横島だけ成功報酬ナシだとは考えてなかったらしい。

まるで信じられないモノを見るような横島に令子は額に青筋を浮かべるが、最終的にはおキヌのために行けと命令されてしまった。



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