その二

その後はデジャヴーランドのアトラクションで遊ぶ二人だが、やはり園内は混雑していて待ち時間が長い。

ただ待ち時間にあれこれと話をするのもまた、こういった場では楽しいもので横島とかおりもいろいろな話をしていく。


「酷いと思いません?」

「あいつらしいな。 雪之丞といえば、あいつそのうち戻ってくるぞ。」

途中かおりは先程少し説明したデジャヴーランドについて子供だましだと酷評された件を愚痴るように横島に話してしまうが、横島は雪之丞の名前に半ば忘れそうになっていた現在の雪之丞のことをかおりに教えていた。


「例の仕事が片付いたのですか? 早かったですわね。」

「まあな。 偶然内偵を進めてたオカルトGメンが解決したからな。」

「偶然内定って、まさか……。」

特別報告する必要はない気もしたが隠しておくと後で知られて機嫌を損ね兼ねないので思い出した時に教えたのだが、オカルトGメンが解決したと聞いたかおりは先日あった西条を思い出してあまりに出来すぎた偶然に思わずその言葉の意味に気付いてしまう。


「死なれたら寝覚め悪いからな。 でも弓さんの存在と雪之丞のことは西条には気付かれたけどあいつはああ見えて優秀だから大丈夫。」

「あの、もしかして私が雪之丞と寄りを戻すとか考えてたりしませんわよね?」

この時横島は仕方ない奴だと笑うように雪之丞の件が片付いたことを説明していたが、かおりはなんとなく女の勘とも言うべきものがこの時働く。

横島が未だに自分と雪之丞の関係を気にしてるのだと気付いてしまったらしい。


「えっと、そんなことも全くない訳じゃないような……。」

「はっきり言っておきますが二度と雪之丞と友達以上になることはありませんわ。 もう好きでも嫌いでもないですし、嘘をつかれたことに対する怒りすらありませんから。」

男女関係といえばどうしても自分の両親のイメージがある横島は雪之丞が謝れば元サヤに収まると漠然とだが考えているものの、かおりはそれだけはないと言い切り最早良くも悪くも雪之丞への関心がないと言い切る。

ぶっちゃけ帰ってくるのは構わないが、勝手に元サヤに収まるものだと横島が変な気を利かせるのだけは不愉快にしかならない。


「というかイブの日にデートをしておいて数日したら他の男と元サヤに収まるなんて、私はそんな女じゃありませんわ!」

「いや、でもさ……。」

「でももへちまもありませんわ!」

正直雪之丞のことはどうでもいいが、横島に元サヤに戻ると思われていたことは面白くなく段々腹がたってくる。

込み上げてくる怒りを抑えるようにかおりは元サヤに収まることはないと完全に言い切った。

もうここまで来ると実質的に告白してることと変わらないのだが、この期に及んでも確信が持てずに狼狽えるしか出来ないのが横島という男だった。

ちなみにかおりのような美人にベタぼれされてるのにヘタレ全開な横島に周りに居る人々は呆れた視線を向けたり嫉妬の籠った視線を向けたりしているが、ほとんど二人の世界を作ってる横島とかおりはそれに気付くことはなかった。



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