神と人と魔の狭間で

「メドーサね。 GS復帰早々に厳しい仕事になるわね。」

オカルトGメン出向を最後までやり遂げた令子だが、復帰早々に小竜姫はメドーサの行方が判明したからと令子に協力の依頼を頼んでいた。

ちなみに依頼料は神界から出ていて小竜姫の懐からは出してないのがこの時代の小竜姫の特徴だろう。

今の小竜姫は妙神山の管理人ではないので妙神山の財産を持ち出すのもまずいし、せっかく一ヶ月で横島と一緒に貯めたお金を出すのも勿体ないからとヒャクメを通して最高指導者に直接令子への依頼料を頼む厚かましさを見せている。


「どっちにしても協力するけど神界に報酬を要求するって凄いことするわね。」

「任務に必要な軽費ですよ。 私一人でメドーサが簡単に倒せる訳ないですから。」

ちなみに令子は当初最悪タダ働きも覚悟したが小竜姫が神界に金塊を報酬として出させたことには少し驚いていて、それを巡りめぐって横島と雪之丞の収入にする手際の良さには関心すらしていた。

令子も参加する事務所総出の依頼なので二人の割合は高くはないが、大量の金塊のほぼ一割ずつなのだからかなりの収入になる。

最終的には横島と小竜姫の将来の資金になるのだろうし、有るところに出させた小竜姫の厚かましくも思えるやり方にはかつての小竜姫と比べて愛は人を変えるのだろうかと思ってもいたが。


「勘九郎のやつ本当に人間を捨てる気か?」

「人なんて些細なきっかけで道を踏み外すわ。 アンタたちも気を付けなさいよ。」

「些細なきっかけか?」

「小竜姫様は別だけど私もアンタたちも勘九郎も別に見ず知らず他人がどうなろうが知ったこっちゃないのは一緒でしょ。 でもね、人間としてGSとして踏み外してはいけない最後のラインは私達は越えてないわ。 勘九郎はそこを片足くらいは越えてるんじゃないかしら?」

さてGS試験以来のメドーサ絡みの一件に横島は緊張感を持ちつつも怯える表情は見せてなく微かだが成長の証をみせていたが、雪之丞はかつての仲間が本当に人間を捨てるようなことをすることがにわかには信じられないようだった。

ただ令子はそんな雪之丞に自分達と勘九郎は実は大差ない人間で立場もさほど変わらないと言い出し、横島と雪之丞を驚かせる。

明日は我が身だとまでは言わないが令子は令子なりに勘九郎の立場と現状に思うところがあるらしい。


「伊達君。 貴方の気持ち少しは理解するけど、もし敵として会っても命までは取られないなんて甘い考えがあるなら、それは今のうちに捨てなさい。 さもなくば小竜姫様が許しても今回の件には私の権限で連れていかないわよ。」

「……分かった。」

やはり雪之丞にとって勘九郎は元仲間であり意外に義理人情に熱い雪之丞なだけに心のなかに勘九郎を信じてる部分があることを令子は見抜き、それを捨てるように告げると小竜姫の意向を無視しても連れていかないと厳しいことを口にする。

小竜姫はそんな令子と雪之丞のやりとりを静かに見ていたが否定しないのが彼女の答えなのだろう。

無論更生出来るならばとの思いもあるが、仲間や自分を危険にさらしてまですることではない。

オカルトGメン出向の件もあり令子は精神的に大きく成長していて小竜姫はそんな令子の姿に満足げであった。


1/30ページ
スキ