母からの伝言

「小竜姫様を侮辱するのだけは許さん。」

一方この頃横島の学校で彼女らしき存在が出来たことを認められない数人のクラスメートが、我慢出来なかったのかとうとう吊し上げをしようとしたがその流れはクラス全体に広がることはなかった。

原因は吊し上げにしようとした連中に横島が放った一言が全てであり、数人のクラスメートが横島ばかりか小竜姫のことも悪く言い出したことに横島が初めてクラスで怒りの表情を見せたことが理由である。

以前から何かあるたびに横島はクラスで吊し上げにされていたが、見方を変えれば吊し上げにしても横島が笑いに持っていき問題にしてなかったからこそ成立していたことであり横島次第ではいじめかケンカになっても不思議はないことであった。

横島自身は別に自分のことだけならばあまり気にしないが、吊し上げにしようとした連中が今回は小竜姫のことも攻撃材料として侮辱するような発言をしたことだけは横島にとって許せることではない。


「彼女って神様なの?」

「マジ!? おとぎ話みたい。」

元々横島の吊し上げは幾つもの要素から行われていて今回吊し上げにしようとした連中のように横島が自分達の上に行くのが認めたくないとする半ばいじめのような理由や、ただ単にいじりやすい横島をからかっていただけの者など個々により理由が全く違う。

小竜姫を侮辱するのだけは許さないと本気で怒りの表情を見せた横島の行動によりクラス内のカーストはあっさり崩壊したが、ここで横島にとって厄介だったのはつい小竜姫の名前を出してしまったことで噂の彼女が神族だとクラスメートに露見したことだった。


「いや、そのことはちょっとな。」

それと言うのも崩壊したカーストは横島を貶めようとしていた連中だけであり横島を好意的にいじっていたクラスメートにはなんのダメージもなかったことから、横島はうっかり小竜姫の名前を出してしまったことから芋づる式に神族であることや同棲してることまであっさり露見してしまっている。

本人がどう感じてるかは別にして実際横島はピート程ではないにしてもクラスでモテるかモテないかの二者択一にするとモテる方に入り、裏表がなく明るい性格や黙っていれば見た目も悪くないからと全くモテない訳ではないのだ。


「なるほどピート君が横島君の彼女を怒らせない方がいいって言った理由はそれか。」

「おとぎ話ってか、漫画の主人公みたいな生活しやがって。」

「お前らなぁ。 俺も大変なんだぞ!」

結局横島としてはクラスメートに振り回されることに代わりはなかったので本人としてはあまりクラスでの扱いに変化があったとは受け取ってなかったが、それでもクラスメートは小竜姫ばかりか横島のことも貶めるようないじり方をすることはなくなることになる。

もちろん幸せそうな横島は男女共に妬まれいじられることになるが、その扱いが以前とまるで変わったのは言うまでもなく相対的に横島を貶めることに情熱を燃やしていた連中はクラスでの立場がなくなりクラスメートからあまり相手にされなくなっていた。

まあクラスメートの側からしたら自分達は連中とは違うと掌を返したように態度が変わったし、実際にそこまでの意図がなかったクラスメートが大半だった。

これが横島ならばまだいじられるなりしてクラスメートとの交流があるが、人を貶めることに情熱を燃やす根暗な野郎の場合は誰も関わりたがらなくなりクラスメートで浮くようになり教室の隅で大人しくしてるしかない立場に追いやられてしまう。


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