あの素晴らしい日々をもう一度

「横島さん、凄い霊力でしたね」

「横島サンいつのまに」

「本当に受かっちまった……」

一次試験が終わり同じく試験を受けていた者達が次々に会場から退出する中、ピートとタイガーと横島の三人は驚きの真っ最中だった

まさか横島が一次試験を通過するなど思ってなかったのだ

まあ横島本人は小竜姫が大丈夫だと言ったのだから受かるとは思っていたが、本当に何にもしてないのに合格したのが信じられないようである


「横島さん、そろそろお昼にしましょう」

驚きが収まらない三人だったが、相変わらず緊張感のカケラもない小竜姫がニコニコとした笑顔でやってくる

まるでデートでもしてるかのような小竜姫の態度に、ピートとタイガーはまたもや驚きで固まってしまう


「ピートさん達も一緒にお昼どうですか?」

「いや僕は午後に向けて少し集中したいので……」

「ワッシも……」

にこやかな笑顔の小竜姫はそのままピートとタイガーも昼食に誘うが、何かを感じたらしいピートはそれらしい理由を付けて断っていた

というかどう考えても邪魔者にしかならない空気を出す小竜姫に、素直にうんとは言えるはずもない



「味はどうですか?」

「美味いっす!」

さてピートとタイガーと別れた横島と小竜姫は、天気がいいからと外で昼食にしていた

何故か小竜姫は敷物や飲み物まで持参しており準備万端だったのだ

相変わらず様子のおかしい小竜姫に横島は多少戸惑ってはいるが、それでも弁当を食べ始めると美味しくて止まらないらしくガツガツと食べ始める


「早起きして作った甲斐がありましたね。 ところで……、話があるなら出て来たらどうですか?」

横島が食べる姿を嬉しそうに見つめていた小竜姫だが、ちょっとだけいつもの表情に戻りどこかに語りかけると、近くに隠れていたミカ・レイ姿の令子が現れた


「おお! 見知らぬ美女!?」

「あら、横島さんはあの方が好みなのですか?」

ミカ・レイ姿の令子に若干興奮気味になる横島だったが、ちょっと冷たい口調の小竜姫に気付きハッとしたように首を横に振る

先程までは何をしても許してくれそうだった小竜姫が、何故か微妙に不機嫌そうなのだ


「いや、どっかで見たかな~ なんて思って……」

僅かに冷や汗を流して言い訳をするような横島に、小竜姫は少しクスッと笑い不機嫌そうな表情が収まる


「彼女は横島さんがよく知る人ですよ。 髪型や服装ではなく彼女自身を見れば分かります」

一瞬横島の態度にムッとした小竜姫だが、まあこの時期の横島はこんなものかと思うと腹もたたなかった

というか逆に自分に言い訳をしてくれたことが小竜姫は若干嬉しかったらしい


「よく知ってるって…… あんなスタイルの人は美神さんくらいしか……」

一方小竜姫の言葉にミカ・レイの正体を考える横島だが、彼の判断規準は身体だった

身体のスタイルをじっと見た横島はハッとしたように小竜姫を見る



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