母からの伝言

「ちょっと出掛けて来るわ。 小竜姫様あとお願いね。」

「いいのですか? あの子の言葉を信じるならば貴女も狙われる可能性がありますよ。」

「親父がなんか手掛かり持ってるみたいなのよ。 ママもいつ来るか分かんないしこのままじゃ商売上がったりだもの。」

その後二度寝した令子が起きて来たのはお昼を過ぎてれーこが昼寝している時だった。

一眠りして頭が働き出したのか、どうやら史実通り父の大学に連絡して手紙がある情報を手に入れたらしく出掛けるつもりらしい。


「相手は魔族でしょう。 気を付けて下さい。」

「大丈夫よ。 魔族を怖がってたらGSなんてやってらんないわ。」

引き留めるべきか少し悩む小竜姫であるが令子の意思を尊重して警告を与え送り出す。

小竜姫としてはもう少し慎重に考えてほしい気もするが、令子には令子のやり方がありそれが結果に結び付いて来たのも事実なのだ。

令子にはこの程度の試練は乗り越えて貰わねば困るしその力は十分にある。

ただ一つ不安なのは未来において令子の活躍の影には横島の存在があって、それは戦いを重ねるごとに大きくなりアシュタロス戦では超えてしまうほどの結果に繋がるはずなのだが、他ならぬ小竜姫自身が令子から横島を奪った形になることだった。

今回の一件で小竜姫はそれがどう変化するのかも見極める必要があった。


「さてさて、難しい問題ばかりですね。」

神族とはいえ出来ることは多くない。

今は幼いれーこを守ることで令子が自由に戦える状況を作り見守るしか出来なかった。



「親父のやつ、やっぱり。」

「死ね! 美神令子!」

一方令子は父親の勤める大学に行き父が預かっていた母からの手紙を見ていたところをやはりハーピーに襲われてしまうものの、史実と同じく強化セラミックのアーマーを来ていたことでダメージを受けながらも反撃するがやはり取り逃がしてしまう。


「ちっ! 逃がした!」

ただここからは史実とは違い小竜姫に幼いれーこを預けたことで焦って事務所に帰る必要はなく、なんとかハーピーを倒す方法はないかと思案を始める。

以前の小竜姫ならばともかく今の小竜姫ならば安心して任せられる故に冷静になった令子は、客観的に考えるもハーピーと戦うには自分一人では厳しいと考えざるを得ない。

特にあの弾丸並の攻撃を防ぎ遠距離を攻撃するには一人では難しく、時計をちらりと見た令子はすぐに雪之丞の住まいに行き雪之丞を連れ出すと続いて横島を連れ出す為に学校に向かった。


「どうしたんっすか?」

「仕事よ。 あんたの結界が必要なの。 いい敵は離れた場所から狙ってくるわ。 いつでも結界を出せるようにしといて。 雪之丞は私と一緒に攻撃して。 遠慮は要らないわ。 全力でぶちかましてやんなさい。」

雪之丞と横島を最近買った新車のポルシェに乗せた令子はさっそく敵の情報と作戦を告げるが、作戦は至ってシンプルでGS試験で横島が使った心眼の結界に防御を任せて自身と雪之丞で攻撃するというものになる。

ハーピーは恐らく事務所に行ったのだろうがどうせ小竜姫が相手では逃げ出すのは目に見えていて、そこで小竜姫が倒してくれればいいが深追いはしないと思うので何処か障害物などがない場所で再びハーピーが来るのを待った方がいいと判断したらしい。


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