あの素晴らしい日々をもう一度

「横島君に彼女が出来るなんてね。」

それから数日が過ぎてメゾピアノの一件が落ち着くとピートはメゾピアノの除霊の成果からクラスや学校に馴染んでいた。

横島が当初予想した通りメゾピアノの一件は主にピートの活躍として学校では認知されていて、横島やタイガーは評価されてない訳ではないが居なくても良かったんじゃないかという程度でしかない。

まあこれに関しては横島の過去の行いが主な原因であり自業自得な面が大きいが。


「横島さんの彼女のことは、あまり騒がない方が……。」

「そうですノー。 怒らせたら大変なことに。」

加えてこの時期になると横島に彼女が出来たという噂が学校中に広がりつつあった。

横島のアパートは学校から徒歩で通学出来る場所にあり、近所の商店街などでは少し前から横島が年上の美人と一緒に居る姿が度々目撃されていたことが理由にある。

令子の前例もあるので相手は仕事関係の人間でこき使われているだけではとの憶測もあり噂が噂を呼んでいる状態だが。

ただ現時点でも横島への追求という名の吊し上げは行われてなく、その原因は横島の彼女を知るピートとタイガーが不思議なほど歯切れが悪く横島の彼女について僅かながら脅えるような様子も見えることだろう。

それにより相手の女性は一体何者なのだと更なる憶測を呼ぶ原因になるが、ピートとタイガーもまさか相手が神族だとは言えるはずもないし二人は横島や令子ほど小竜姫を知らないので恐怖心も無いわけではない。

小竜姫の名誉の為に説明すると小竜姫は二人に恐れられるようなことはしてないのだが。

まあ一般的に見ると横島や令子や雪之丞のように必要以上に恐れも敬いもしない霊能者が普通ではないだけだったりする。



「見鬼君はダメね。 小竜姫様は?」

「だめですね。 相手の力が弱すぎます。 それに人間の街は雑念が多すぎますよ。」

さて学校で横島の彼女の噂がされてる頃、令子はおキヌに小竜姫と横島と雪之丞を連れて都内の最高級ホテルに来ていた。

ホテルに出没するスライムという最下級妖怪を退治するのが目的であるが、アメーバ状でろくな力もないスライムは退治よりも探すのが大変な相手になる。

令子は小竜姫の能力を少し期待したようだが、いかに小竜姫でもそう簡単には見つけられないらしい。


「最高級ホーテールーー!!」

「うるせえよ!」

一方横島はといえば小竜姫と令子とホテルに来てテンションが上がったらしく無意味に叫んで雪之丞にどつかれていた。

美神事務所にもそろそろ慣れてきた雪之丞は元々神経が太かったのか、順調に令子や横島に適応してるようだ。


「おおっ! これは新鮮だ!!」

その後除霊を開始した令子であるが、探すのが面倒なのかスライムが現れるまで待つことにしてホテルのプールでゆっくりあて寛いでいた。

これが並のGSならば依頼人が激怒するところだろうが美神令子の場合は許されるらしく、依頼人は少々不安げにしながらも口出しするつもりはないらしい。

そして残る横島達であるが何故か小竜姫が令子と一緒に水着に着替えてしまったので、横島・小竜姫・雪之丞・おキヌの四人でビーチボールで遊び始めている。


「おりゃ!」

「甘いですよ。 その程度のアタックなどお見通しです!」

横島は当然ながら小竜姫と令子の水着姿を見比べて始めて見る小竜姫の水着姿に興奮気味であるが、そのまま横島と小竜姫がいちゃつきつつ遊び始めると雪之丞とおキヌも加わり除霊らしさの欠片もなくなってしまう。

見た目からもまるで学生が遊ぶ姿にしか見えない四人は、すぐに熱くなる雪之丞が本気で小竜姫に挑むが当然のごとく軽くあしらわれている。

令子はそんな横島達を半ば呆れたように見ていたが、同時にあの堅物な小竜姫は一体何処に行ったのかと不思議で仕方ない。

まあ令子としては堅物な小竜姫よりは今の小竜姫の方が付き合いやすいので別に構わないと言えば構わないのだが。




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