「頼んだわよ。 除霊委員。」

さてピートが転校して来て数日が過ぎたこの日、横島の学校では音楽室のピアノが鳴り止まないとの怪事件があり横島はピートとタイガーと愛子と共に勝手に除霊委員なる役職にされて解決しろと半ば無理矢理教師に言われていた。


「こう言うのはみんなの人気者のピート君に任せるわ。 どうせ俺が何かしてもお前が評価されるんだし。」

そんなピアノが鳴り止まない音楽室の前で基本的に押しに弱く教師に逆らえないピートやタイガーは困った表情をしていて愛子は何で自分までと言いたげな表情だったが、横島はついさっきまで寝ていたからかまだ眠そうでありテンションが低い。


「そんなこと言わないで一緒に考えてくださいよ！ 僕だって除霊は素人なんですからっ！！」

ピートが転校して来て以来、女子にちやほやされてるピートに些か機嫌がよくない横島はこんな時こそピートが何とかすればいいと早々に解決を放棄して帰ろうとするが当然ながらピートに止められる。


「神父でも呼べばいいだろ。 あの人ならお前が世話になってる学校の事件に知らんフリはしないだろうしな。 うちは美神さんはタダで働きたがらないし、小竜姫様を呼ぶと騒ぎになるだろうし無理だよ。」

「確かに唐巣神父に任せる方がいいと思いますケン。」

制服を掴んでまで止めるピートに横島は仕方なく考えるというか対策を口にするが、要はプロを呼ぶべきだと言い他人に丸投げして終わるつもりらしい。

そのあまりに無責任な意見にピートの表情は渋いが、横島同様にどうせ除霊しても評価されないだろうタイガーは怖いからか横島の意見に賛成してしまう。

ぶっちゃけ横島の経験上素人が除霊しようとして成功するとは思えなかったのだ。


「それはそうですが……。」

基本的に押しに弱いピートは失敗したら責任を誰が取るのという横島の意見に負けてしまい、電話で唐巣に来てもらうことで妥協することになる。


「ところで小竜姫様って誰？」

「ああ、秘密だけど今うちの事務所にいる神族でな。 優しくていい人だぞ。」

結局唐巣が来るまで放課後の教室で待つことになる横島達だが、話が一段落した頃に愛子は先程横島が口にしていた小竜姫について尋ねていた。

なんとなく初めて聞く名前に興味があったらしいが、実はここ最近の横島の変化はクラスメートではいろいろ噂になっていて愛子も横島のことが気になっている。

あえてあまり興味のない素振りを見せる愛子に横島は騒ぎにならない範囲で小竜姫のことを教えるが、ピートとタイガーは最近の小竜姫が優しいのは横島だけではと心の中で思う。


「やあ、待たせてしまって済まないね。」

その後さすがに愛子も小竜姫のことを根掘り葉掘り聞く訳にもいかずに小竜姫の話は終わってしまい、ほどなくして唐巣が学校に来ると教師に挨拶して再び音楽室に向かう。


「横島君の言うことも一理あるね。 確かに君達だけでは少し不安だ。」

史実では怪現象の原因を早々に突き止め危険がない相手だったので唐巣も横島達だけでの解決に賛成したが、流石に相手が分からず難易度も分からない段階では横島達だけでやれとは言わなかった。