神と人と魔の狭間で

さて時を少し遡り地下でメドーサから逃げていた横島はなんとか地上までメドーサを誘き出すことに成功していた。


「いい加減にしな!」

流石にここまで来るとメドーサも自身が地下から誘き出されたことに気付くも、そもそもメドーサは風水盤の成否に疑念を抱いていたこともあり横島を殺すことを優先させる。


「ほらほらいいのかい? 逃げ遅れた人間が居るかもしれないよ?」

「避難せん奴のことなんか知るか!」

「ほう? 面白い。 小竜姫がそれを許すのかい?」

メドーサは横島の目的を理解してなおそれに付き合って遊んでいるとも言えて、横島がメドーサの攻撃をかわす度に町が破壊されていき横島を精神的に揺さぶろうとするも横島はその程度では全く動揺しなかった。

言い方が適切かは分からないが横島は見知らぬ香港がどうなろうが知ったこっちゃないし、散々小竜姫や自分達の足を引っ張った香港を守ろうなんて気はこれっぽっちもない。


「怒られても構わん! 俺は見ず知らずの他人より小竜姫様が大事なんじゃ!」

「フフフ。 気に入らないね。 その瞳。 お前はここで死ぬんだよ!」

最早横島は開き直っていた。

怯えた表情をしつつもその瞳にあるのは恐怖ではなく確かな強い意思であり、それがメドーサには面白くない。

その瞬間メドーサは横島を確実に葬る為に奥の手を使う決心をする。


「残念だけど遊びは終わりだよ。 ボウヤ。 勘九郎より才能ありそうだしあと何年かあればもっと楽しめたんだけどね。」

超加速。

それはメドーサにとっても奥の手であり横島ごときに使うには少しプライドが引っ掛かったが、町中で建物を盾にして逃げに徹する横島は本人が思う以上に厄介だった。

勘九郎ではいつまでも小竜姫を抑えるのが無理なのはメドーサが一番理解しているのだ。

全てが止まったかのようになる超加速空間に入ったメドーサは、ようやく動きを止めた横島に自らの刺す叉を突き刺そうとするが。


「やれやれ。 超加速は困りますよ。 まだ教えてないんですから。」

しかしメドーサの刺す叉は横島には届くことはなく、同じ超加速を使い背後から斬りかかった小竜姫の神剣を防ぐのに使われていた。


「小竜姫!? 貴様超加速を!?」

「えっ!? 小竜姫様!?」

先に奥の手を見られたメドーサの動揺と小竜姫もまた本来は韋駄天の超加速を使えたショックにメドーサの超加速は解けてしまい、小竜姫も合わせるように超加速を解いた二人は横島の前に突然姿を現す。


「貴女が使える技を私が使えてもおかしくはありませんよ? 尤も切り札が切り札でなくなったのは困りますけど。」

「戯れ言を!」

「横島さん! 貴方は美神さん達のところに! 鎌田勘九郎は最早人間ではありません! 残念ながら私にももう救いようがありません! 何か奥の手があるでしょうから確実に倒して下さい!」

小竜姫の過去ではメドーサが超加速を使えたショックで精神的に劣勢に立たされた小竜姫だが、やはり知っていた事実は大きく切り札が使えなくなり困ったという余裕すらあった。

そんな小竜姫にメドーサは苛立ちながら襲い掛かるが、小竜姫は横島を令子達の元に行くように指示を出すとメドーサと戦いに集中する。



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