同じ頃香港市内では軽いパニックになっていた。

香港政府は霊障の内容を明かしてないがオカルトGメンが近隣や各国に伝えているので、各国は大使館を通じて自国民の退避を始めたのだ。

ただ飛行機による退避はそれほど急に増やせるものではく空港の輸送能力も限りがある。

日本はアメリカと協力して米軍や自衛隊も一部投入し、たまたま近くに居た原子力空母を含む艦隊が急遽アメリカ国民と同盟国から要請のあった日本やドイツなどの国民をほぼ着の身着のまま収容し近隣の基地である日本に輸送しそこから本国に退避させる計画を早くも実行していた。

香港人も噂を聞き付けてか香港から脱出しようと陸続きの中国側へと大量に押し寄せるなどパニックになりつつあるが、香港政府は事態はそれほど緊迫してないと根拠のない火消しをするが外国人が逃げ出してる状況では説得力はない。

実際香港駐留英軍もイギリス国籍を持つ本国の女子供から避難をさせていたし、香港政府の内部にも家族を逃がす者もいる。

噂は噂を広げて香港は計画的な避難さえ不可能になっていた。


「困りましたね。」

そして香港の状況に小竜姫は流石に困ったようでため息を溢している。

未来と違い人間に情報を与え可能な限り人間界の問題は人間に解決させるべく根回しをして配慮したらこの結果なのだ。

改めて歴史の難しさを痛感していた。


「混乱を煽ってるのメドーサなのね。」

「チッ、あのオバハンは。」

「流石はメドーサというべきでしょうか。 不謹慎かもしれませんが。」

ただあまりに急な混乱の影には勘九郎の暗躍があり、人間を動かしている小竜姫の邪魔をするべくメドーサが混乱を煽ってもいる。

小竜姫は未だ自分が直接戦わぬ戦いには不向きなことに苦虫を噛み潰したような表情をした。


「どうしましょうか？」

「もう行くっきゃないんじゃない？ この状況は当分変わらないわよ。」

「そうね。 ここまで来てなにもしないで逃げるのはシャクなワケ。」

「現在国連安保理が緊急会合が開かれてます。 仮に元始風水盤が作動したら核を含むあらゆる攻撃で破壊する為の会合です。 イギリスと中国が難色を示してますがアメリカはアジアの同盟国防衛の為に単独でも攻撃すると。」

最早香港当局の対応は誰も期待も見てもなかった。

小竜姫は再度令子達と対応を話し合うが令子もエミもここで何もしないで撤退する気はないらしい。

ただ事態は更に逼迫していて元始風水盤が作動したら香港は完全に終わりになる。


「西条さん。 風水盤作動から攻撃まで何分待って貰えるか確認をお願い。 私達は行くわ。」

「いいのかい？ ここにいるメンバーが昨日からただ無駄に待たされていたことはすでに承知済みだ。 撤退しても誰も責めないぞ。」

「別に香港が無くなっても私は構わないわ。 でも戦う前に逃げるのは嫌なのよ。 それに可能性はあるわ。」

ようやく仕事かと覚悟を決めたＧＳ達は出発の準備を始めるが令子は最後に西条にタイムリミットの確認をした。

一方の西条は最早小竜姫達を撤退させるべきかと悩んでいた。

事実オカルトGメン本部では部隊の強硬投入をとの声もでていたし、アメリカに神族が作戦に加わってることで攻撃のタイミングを考慮するようにと話をしていて中にはこの状況での突入は危険すぎるのでオカルトGメンの判断として小竜姫や令子達を撤退させるべきだとの意見も出ている。

ただ令子達や小竜姫の決意を見た西条は突入をすることと攻撃のタイムリミットを決めるべく本部と連絡を取り始めた。